会社員はリスクフリー?「最強のサラリーマン」に必要なこと (田端信太郎×箕輪厚介対談レポ)
起業家やフリーランスに比べると基本的にローリスク・ローリターンのサラリーマン。ですが会社をうまく使えば、個人の力では為しえない大きなことができる「最強のサラリーマン」になれるかもしれません。むしろそれはリスクフリー。
そんな「最強のサラリーマン」になるために必要なものは何か。それをテーマに、田端信太郎さん (スタートトゥデイ コミュニケーションデザイン室 本部長)と箕輪厚介さん(幻冬舎 編集者)が対談を行いました。
多くの就活生がつめかけた対談の模様をご紹介します。
あなたは給料がいくら欲しいのか?
自分にとって成功とは給料をたくさんもらうことなのか、それとも経験を得ることなのか。自分の価値観を見定めよ。(田端)
田端さんは採用面接で、「あなたは給料がいくら欲しいのですか?」と質問するそうです。それが500万円と答える人には、それ以上でも以下でもない理由も聞くといいます。
仕事において、いくらお金を得られればいいのかは、誰もが決着をつけなければならない深い問題。その答えには、その人なりの価値観や考えの深さが表れるといいます。
サラリーマンになるとはどういうことか?
"Company"(会社)とは、「ともにパンを食べる」という意味。それを受け入れよ。(箕輪)
会社に所属するということは、リターンは少ないけれどリスクも少ない。その代わり、仮にアウトプットがいまいちでもパンを食べることを約束してくれる家族的な組織に属するということだと田端さんはいいます。
家族であれば、お母さんがご飯を作ったからといって請求したりはしません。逆にご飯が美味しくなくても、その日からお母さんのお小遣いが減るわけでもありません。
一方、市場にさらされている飲食店では、美味しいものには高い値段がつくし、まずい店にはお客さんは来なくなります。
会社に属するとは、市場にさらされないこと。つまり、会社では「個人」に値段がつかない代わりに、生活が保証されるのです。それを受け入れることがサラリーマンの大前提だと二人は話していました。
企業はなぜ新卒を採用するのか?
会社は、組織に新しいものを取り入れるために、新卒を採用をする。(田端)
優秀な人でも会社に長くいると、いつしか既存のやり方に引っ張られ、そもそもこうした方がいいという当たり前のことを考えられなくなると田端さんはいいます。
そのためにも会社は新卒を採用し、新たな視点を取り込むといいます。
そのメタファーとして「金魚鉢理論」が紹介されました。
<金魚鉢理論>
10匹ぐらいの金魚が入っている金魚鉢があります。
その金魚鉢の真ん中に透明の板で仕切りを入れます。
すると、金魚たちは仕切りの片側にずっといることになります。
その後仕切りを取っても、仕切りがある時と同じ場所に、金魚たちはとどまり続けます。
では、金魚たちを反対側に行かせるためにはどうしたらいいでしょうか?
正解は、新しい金魚を2、3匹の入れること。
仕切りがあったことを知らない新しい金魚は、金魚鉢全体を泳ぎ回ります。すると、元からいた金魚も全体を泳ぐようになります。
この寓話が示すように、年長者は成功体験に縛られ、記憶を消すことができません。ですが、新入社員は、成功体験にとらわれず、ゼロベースで考えることができます。この寓話でいうところの「新しい金魚」が新入社員に当たります。
企業が新卒採用を行う意味はそこにあると田端さんは解説していました。
ゴルフ接待で見返りを得ることは卑怯なのか?
仕事の本質は、相手が求めることをして、そのお礼にお金をもらうこと。(田端)
今、「かわいげ格差」が広がり、「愛され力」がためされる時代になったと田端さんはいいます。
恋愛と同じように、仕事は相手次第で動くもの。だから理不尽なことも多いのですが、相手が求めることをしてお礼をもらうのが仕事の本質です。
それが卑怯だと若いころは思っていたと田端さんはいいますが、実はこれが、社会に出てから一番大切な能力。
箕輪さんも、「かばん持ち」を選ぶ基準は、圧倒的理不尽を経験してきている人だといいます。仕事は相手の都合で動くので、理不尽だらけ。だけど、自分のできることで理不尽を乗り越えた経験がある人は強いといいます。
「かわいげがある」とはどういうことか?
かわいがられるためには、正直でいることが大事。大物ほど打算やお世辞は見抜く。(箕輪)
では、相手に気に入られるために、お世辞を言えばいいのでしょうか。
その人のことを知ろうとして、著書を読み相手の考えを想像することはもちろんいいことです。箕輪さんの上司の見城徹さんは、五木寛之さんの著作を読んで、5日以内に感想文を送ることを自分に課した結果、25通目で一緒にお仕事をすることになったといいます。
単なるおべんちゃらを言っても、大物にはたいてい見抜かれます。
それよりも、正直でいること、思ってもないことは言わないことが大事です。
子供は打算がないからこそ可愛いのと同じように、可愛げを出そうと思ったりせずに、正直でいると結果かわいがられると話していました。
何をやるかより、何をやらないかが大切
最後に、自分は、自分にしかできないことをやり、それ以外のことは他の人に割り振ること。そして「私はこのことについては日本一です」と言える程の強みを持てれば、それを元に他のことも横展開できるようになると二人は強調していました。そのためにも、何をやるかでなく、何をやらないかが大切だといいます。
また、田端さんはセルフ・エスティーム(Self-esteem)と自信(Confidence)を持つことが大切だといいます。Self-esteemは自己効力感。ありのままの自分を受け入れ、認める力です。そしてConfirenceは、何かをやり遂げられるという未来の自分を信じる力。その両方をしっかり持ってほしいとメッセージを投げかけていました。
「時間内に聞けなかった質問は、#田端攻めでツイートしてください」との箕輪さんの言葉で、イベントは終了になりました。
イベント後の質問と回答
<質問1>
<回答>
<質問2>
<回答>
※本記事は、2018年4月6日(金)に開催されたNewsPicksアカデミアイベント田端信太郎「ブランド人になれ」をまとめなおしたものです。(ゲスト:田端信太郎、司会:箕輪厚介)
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