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ノート術で強化するビジネスパーソンのクリエイティビティ

ビジネスとクリエイティブの境界線が融合しつつある今、ビジネスパーソンにとってもクリエイティビティは遠い存在ではなくなりました。モノの価値が相対的に低下し、目に見えないサービスに競争力がシフトしている今、シンボル的にその良さを伝えるイメージと、それを生み出すクリエイティビティの価値は増しつつあります。

とはいえ、正確さや効率性を求められてきた多くのビジネスパーソンにとって、クリエイティビティは子供時代どこかに置き忘れてきてしまったようで、自分の中を探してもなかなか見当たりません。もう一度クリエイティビティを取り戻すにはどうしたらいいのでしょうか。

NewsPicksインフォグラフィック・エディターの櫻田潤さんが日々実践しているノートの活用法を学びながら、今、改めてクリエイティビティに向き合うワークショップが開催されました。

櫻田さんのノートといえば、きれいに整理された情報に独特な世界観をはなつグラフィックが添えられ、もはや作品レベルの美しさ。

このノートがベースとなり、アウトプットの魅力が引き上げていると想像されます。

そんな櫻田さんのノート術ワークショップは、「マインドセット編」と「使い方編」の2つのセクションで進められました。

「マインドセット編」については、櫻田さんのアカデミアレター『クリエイティブの正体』に詳しく書かれていますので、ぜひそちらをご覧ください。

本記事では「使い方編」を中心に、ビジネスパーソンがノート術を学ぶ意味を考えながらレビューしたいと思いますが、まずは「マインドセット」を簡単におさらいします。

前述のレターでも語られていますが、クリエイティブな人に共通することは以下の3つと櫻田さんは整理していました。

1.自分のスタイル(世界観)がある

2.多作である

3.社会に影響を与える

中でも特に大事なのが、1.自分のスタイル(世界観)があるということ。

この自分の世界観を作るために、ノート術がとても役に立つといいます。

でも、ただ転記するようにノートを書いても自分の世界観は生まれません。自分の視点や気づき、アイデアを加えつつ、まとめながら書くことが大切だと櫻田さんは解説します。

まとめるために役に立つのが、「レイアウト」や「パーツ」です。いわばノート術における「フレームワーク」です。

ノートの「使い方」

まず「レイアウト」の種類をご紹介します。

スクエア小x4

ノートの片側に4つの正方形を並べ、それぞれの箱の下に説明文を加える形式です。

スクエア大x1

ノートの片側に大きめの正方形を配置する形式です。ノートを象徴するような印象的なイメージが入るのが特徴です。ちなみに左側は、ドラクロワの名画『民衆を導く自由の女神』が現代版にアップデートされていてまさに櫻田さんの世界観が表現されているなと思います。

ミニポスターx4

ノートの片側に、長方形の箱を4つ並べる形式です。

全面

ノートの片側前面に、イメージを配置する形式です。

ハーフ&ハーフ

ノートの片側を半分に分け、イメージを配置する形式です。

ニュースペーパー

新聞のようなヘッドラインがあり、イメージや図解、解説を配置する形式です。左側中断の自由の女神が色々な角度から描かれています。

マガジン

雑誌の表紙のように、大きめのタイトルとイメージ、コピーを組み合わせた形式です。ちなみに右側は、イーロン・マスクのファルコン・ヘビーの打ち上げ成功とデヴィッド・ボウイの名曲『スターマン』を組み合わせた櫻田さんらしいオリジナリティあふれる1ページだなと思います。

インフォグラフィック

複雑なものごとや一見ばらばらのデータをわかりやすく伝えるために、ビジュアルで関係性を整理しながら伝える手法です。

埋め込まれている絵の秀逸さに目を奪われてしまいますが、ここで紹介されているレイアウトの種類を知って実際に使ってみることが、情報を「編集」する第一歩になるということがここでのメッセージでした。

更に、そのレイアウトに埋め込む「パーツ」の特徴が紹介されました。

引用、メモ

文字情報も立派なパーツです。

リスト、区切り線

リストや線で情報の整理に役立てます。

図解

図形と短い言葉で、物事の関係性を説明します。

イラスト

文字通りイラストです。絵が苦手という方は、右側のような感情を表現する絵文字だけでも十分だといいます。

これらパーツを使いこなせるようになるとノートのクオリティがぐんと増すといいます。

とはいえ、実践はちょっと難しいと思う方もいるかもしれません。その場合は無理にやる必要はなく、自分らしく、たのしむ感覚でとにかくノートをたくさん書くことが世界観を作るうえで大切だとお話ししていました。

最後に、「櫻田さんはノートの作成にどのくらい時間を使っているのですか?」と質問がありました。「下書きで約1時間。そのあとの清書に1時間かけるので、トータル約2時間」とお話ししていました。

2時間。デザインを本業としないビジネスパーソンにとってはかなりハードルが高いようにも思えます。

ですが、実際手を動かしてみると意外とあっという間かもしれません。一般の会社員である筆者も以前ノート術にトライしたのですが、その時は約2時間、集中し続けることができました。瞑想状態に入っていたのかなというほど、その間、時間の経過はほとんど感じませんでした。

実は筆者は、このノートを書いた翌日にとある読書会に参加したのですが、ノートにまとめたプロセスが自分の中での意見形成に大いに役立ったことは間違いありません。

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自分のスタイルや世界観を持つことは、英語やプログラミングなどのハードスキルを持つこと以上に、今後付加価値型が上がっていく可能性があります。

特に今、企業がビジョンを示す力が弱まりつつある中、ビジネスの最上流の会社や事業のビジョンをどう作り、どう浸透させるかをうまくデザインする力と、それを発想するクリエイティビティが求められています。

クリエイティブになろうと思うと身構えてしまいますが、ノートを書くことならすぐに始められます。ピンときた方は、ぜひノート術にトライしてみてはいかがでしょうか。

※本記事は、2018年5月9日(水)に開催されたNewsPicksアカデミアイベント【入門】クリエイティブ・ノート術をまとめなおしたものです。(講師:櫻田潤)

文:山口 晶子
編集:柴山 由香

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