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「正直、マネジメントしたくない…」本音のキャリア相談室#04
仕事とキャリアの悩み、プロに直接きいてみた
「キャリア流動化時代」に必要なすべてが詰まった『キャリアづくりの教科書』(NewsPicksパブリッシング刊)。約5年の歳月をかけて完成し、発売直後に重版が決まるなど話題となっています。
そこで、2万人のキャリアを支援してきた著者の徳谷智史さんが、仕事とキャリアに悩むビジネスパーソンの「リアルな悩み」に答える「本音のキャリア相談室」を開催。第4回は、「正直、マネジメントしたくない」「ITが苦手でついていけるか不安」「レイオフが怖い」などの赤裸々な本音をぶつけてみました。
(NewsPicksメルマガでの連載に加筆しお届けしています。前回はこちら)
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正直、マネジメントしたくない
違う世界に飛び込むことを想像しただけで、不安になります。そのうちマネジメントをやらされるかもしれないのですが、正直やりたくないです。このままメンバーとして働いていたいのですが、マネジメントはやらないといけないのでしょうか?
💡まずは「やりたくない理由」を明確に
マネジメントは必ずやらないといけないことではないので、無理にやらなくてもいいと思います。
ですが、マネジメントってめちゃくちゃしんどくて嫌なことだけではないはずです。実際にやってみて気づくこともあると思います。でも、パーフェクトなマネージャー像を求められるとしんどいですよね。
例えば、自分以外の誰かと一緒に仕事をすることも、広い意味では「マネジメント」です。
マネージャーでなくても、今の仕事の延長で他者を巻き込んでちょっとしたマネジメント的なことをやってみるというのもいいと思います。
実際にやってみると、「意外と一人ぼっちでやるよりは楽しいな」とか、「一緒に誰かと目標に向かう方が大きな成果が出るな」とか、「こんな力もつけられるといいな」という考えになるかもしれません。
それでも、「絶対にやりたくない」のだとすると、やりたくない理由を明確にできるといいですね。本当にその思いが強いのだとしたら、その気持ちを受け入れて、意思決定していくといいと思います。
この方の「マネジメントしたくない」という理由の一つに「自分の周りのマネジメントしている人たちが魅力的に見えない」という組織要因もあるのではと思っています。本人だけの問題というより、組織側の構造もあるかもしれないと思いました。
常に一人で仕事しているわけではないのであれば、業務の中でマネジメント的な仕事も多少はあるはずです。
仮に個人事業主だったとしても、誰かと一緒に仕事をする機会があれば、それも一種のマネジメントになるかもしれません。会社や組織の求めるマネージャー像に縛られすぎる必要はないと思います。
未経験の人事の仕事に興味があります。
30代後半です。今まで全く経験のない人事の仕事に興味があります。 今やっている業務と人事をかけあわせてなにか価値を生み出せるイメージはないのですが、なにかアドバイスいただけないでしょうか。(30代・男性・プロダクトマネージャー・管理職)
💡一人だけで完結せず、誰かと組むことで、組織としての価値は生み出せるはず
人事の仕事に興味がある理由をまず明確にした方がよさそうです。隣の芝は青く見えたり、面白そうに見えたりすると思うのですが、実際には曖昧なケースもあります。
そのうえで、スキルの棚卸をしてみるとよいと思います。
この方はプロダクトマネージャーとのことですが、例えば新規事業や新商品のプロマネ業務を担っているのであれば、おそらく色々な「ポータブルスキル」を備えていると思います。
さらに、企画や構想、人を巻き込む力などの「テクニカルスキル」もお持ちでしょう。
人事は、企画もするし、人も動かすし、制度設計も行うなど担当領域はかなり広いです。
プロダクトマネージャーで培ったスキルとの掛け算であればかなり幅広い役割が担えると思うので、価値は生み出せると思います。
人事の方と話す機会が持てるのであれば、自分が棚卸したスキルをベースに、 人事全体の目標やゴールを含めて、どこなら新しい価値が作れるかを考えてみてもいいかもしれません。
人事一筋よりは、少し飛び地のスキルがあった方が、 キャリアの4種型でいうH型的(※『キャリアづくりの教科書』図4-2)な掛け算が絶対に出せるはずです。
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とはいえ、自分に例えば労務や給与などの専門性がないのであれば、その方面に強い人と一緒に仕事をしたらいいと思います。
そうすることで、違う強みが掛け合わさって 新しい価値が出せるはずです。一人だけで完結せずとも誰かと組むことで組織としての価値を出すことも、大事だと思います。
ITが苦手です
ITが苦手なので、これからの時代にやっていけるか不安です。
💡全部自分でできるようになる必要はないはず
苦手なのであれば、強い人に頼るというのも一つだと思います。
結局、ITが得意と言ってもITはどんどん進化していきますし、例えばAIなら、どんなに詳しくなったとしても、より詳しい領域の知識が必要になるので、その場合は周囲を頼ることも有効です。
とはいえ、ITが苦手でもある程度わかった方が会話もできますし、誰かと仕事をする際も何にもわからないとコミュニケーションが取れないので、最低限キャッチアップする努力はした方がいいと思いますが、全部自分でできるようになる必要はないと思います。
そのためにも、やはり、好奇心を持つとよいと思います。
この方も「ITが苦手」と言いつつも、スマホは持っているのではないでしょうか。
「スマホを持っている」こと自体もITとも言えますよね。あまりハードル高く捉えすぎる必要はないと思います。
あと、興味のあることと重ねるのもいいと思います。自分の好きなことや、趣味×ITだったら、学ぶモチベーションが上がります。
例えば、どれだけ携帯電話が苦手なおじいちゃんやおばあちゃんでも、孫と電話したいからスマホの操作を覚えることがありますが、そういった事例と同じような感覚だと思います。
会社のカルチャーが変わっていくことに不安を感じる
会社が吸収合併されて、会社のカルチャーが変わってきています。これまでの組織と変わっていくことに漠然と不安があります。自分の不安とどうやって向き合っていけばよいのでしょうか。
💡不安な気持ちはわかる。まずは変化について自分で確認し、仮説検証する努力をしよう
合併すると実際に、カルチャーが変わるケースもあるので、こうした事例は結構多いと思います。
ただ、漠然とした不安を抱くだけではなくて、その会社がどのような方向に行こうとしているのか、組織として何を大事にしようとしているのかを、自分から確認したり、仮説検証したり、努力はすべきと思います。
「合併されたから変になるんじゃないか」と漠然と考えるだけでは、少し拙速かもしれません。
しかし、今後の組織の方向性が具体化されて、ご自身が元々の組織を選んだ理由とは少し違う方向に向かっていることが事実なのであれば、外を見るべきかもしれません。
あるいは、ご自身が組織を変える努力ができる立場の方であれば、より良い方向に進むように働きかけるという選択肢もあります。
もし、組織として全体最適ではない方向に行こうとしているのでしたら、違和感を明確にしてトライしてみてもいいかもしれません。
レイオフ(解雇)が怖いです。
外資系企業で働いていて、レイオフが怖いです。 会社も無闇に人を切りたいわけではないので、残れるように頑張るしかないと思っていますが、身近なところでレイオフがあり、「明日は我が身」です。 (30代・男性)
💡他の会社に行っても通用するか、常に自分の力を客観視することが大事
レイオフ(解雇)の時でも、「それでもあなたは必要だ」と言われるような力をつけておくのが一番のレイオフ対策なので、やはり自分の力をつけることが安全策です。
あとは、市場価値=「希少性」×「市場性」×「再現性」(『キャリアづくりの教科書』図3-8)の観点で今の自分の仕事が「誰でもできる仕事」なのかどうかを考えてみるといいと思います。
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仮に、会社自体が潰れて全員レイオフになり他の会社に行ったとしても通用するような力がついているかどうか、自分の力を客観視してみてください。
もちろん、レイオフは怖い気持ちもわかりますが、レイオフがあり得るというのは緊張感があります。
自身の成長に責任を持つのは自分自身です。自身の成長を意識できるという点では、ぬるま湯の中で飼い慣らされて突然切られる組織よりもいいともいえるかもしれません。
(全4回の連載は終了です。最後までお読みいただきありがとうございました)
執筆:平松伊織
編集:井上慎平
デザイン:石丸恵理