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海外発電所プロジェクトに関わってきた商社パーソン。「首都圏一極集中」解決のために動く理由

NewsPicks NewSchoolインタビュー部は、NewsPicks NewSchoolに集う素敵な仲間たちの活躍や想いをNewsPicks NewSchoolでの学びと絡めてお伝えしていく部活動です。その初回に登場するのは、ローカルプロデュースプロジェクトを受講中の村上一馬さん。村上さんはこれまでどのような人生を歩み、そしてNewSchoolに参加することになったのかー。 

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ローカルプロデュースを受講中の村上一馬さん(発電所プロジェクトに従事中の一枚)
      

「生きたい人生を生きることがこんなにも難しい社会。それは紛れもない ”東京”のことだ」

村上がそんなことを思ったのは、意外にも東京を遠く離れた駐在中の出来事だった。

インドネシアで見た幸せのカタチ

村上が駐在したのはインドネシア。その中でも特に貧しいジャワ島中部の田舎だった。

家も自分達が作る粗末な小屋。その軒先に、日がな一日寝そべりながら暮らす。家の周りに植えた作物を食べていれば、飢えることは無い。

そんなインドネシアの片田舎で、人口は日本の2倍近いのに、電力供給量が日本に比べ遥かに小さいその国の発電所を作るプロジェクトをに携わることができた。

プロジェクトを担う技術は日本を代表する重電メーカーや土木建築会社のもの。目指してきた日本の高度な技術を海外に活かす仕事。

しかし、その仕事の駐在中に、人生における究極の選択を何度も迫らることになる。そのひとつが祖母の死だ。

「祖母の死に目にも、会うことが出来なかったんです」

当時は、発電所プロジェクトの真っ最中。戻りたくても、動く現場を離れることはなかなか出来ない。

「自分も辛かったけど、おばあちゃんは、僕に会えずどんな気持ちで旅立って行ったんやろって、、」

仕事との究極の選択は、さらに続く。生後5ヶ月の子供と妻と、離れ離れで暮らさなければならない事だった。

そこで感じたのは、日本、いや、東京という社会システムが抱える不条理だ。少子化と言われて久しいのに、待機児童の山。
ほとんど母子家庭のような状況の妻は、子供を保育園に預け、仕事。限られた時間の中での仕事と育児の両立をワンオペで行うのはとても大変だったに違いない。そして、妻も仕事か育児かを迫られる。そんな中、自分は、妻をそばで支えることもできず産まれた子供には年に2、3回の休暇でしか会うことが出来ない生活。

多くの人が経験する、大切な人とのごく当たり前の人生の一場面。

にも関わらず、なぜ「仕事と家庭」というように究極の選択を迫られることになるのか?

なぜ両立出来ないのか?

しかも、そんな大切なものを犠牲にして仕事しているのに、日本も、東京も、そして自分の家族の生活も何も変わらない。

それに比べてこのインドネシアの片田舎の人々は、ずいぶんと幸せそうに見えた。

毎年8月は体育月間(!!)。町中の老若男女が参加する。

「子供も、年寄りも、ヤンキーも女性も、男性も。とにかく、みんなが参加するんです」

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竹馬や綱引き、カラオケ大会など、日本人の大人にとっては、ある意味くだらないと思えるようなことに1日中夢中になって楽しむ。そんな姿に、本当の幸せ、人としてのあるがままの幸せのあり方を見た様な気がしたのだ。

高専への進学 叩き込まれた日本の技術

村上が、商社で海外のプロジェクトを目指したきっかけは、高専時代に遡る。都市工学科と言う名前になんとなく魅力を感じて入学。そこで5年間、土木に関する技術を叩き込まれる。

そこで感じたのは、日本の技術力の高さ。そして、それを日本の成長に活かしきれていない現状である。日本がこれからも成長し続けるためには、もっとこの高度な技術を海外で知ってもらい、活用してもらうことが必要なのではないか?

そんな思いを持つ村上に、当時の指導教官が教えてくれたのが「商社」の存在だった。商社の仕事を知り、海外に日本の技術を広めると言うミッションを果たそうと考える。

そのため、高専から大阪大学工学部に編入、大学院を修了後は大手総合商社に入社した。

当初のミッションを果たすべく、海外駐在し仕事を進めた中で遭遇した問いが「人生における究極の選択」と「幸せの在り方」だった。

新たなるミッション

村上が特に感じていた課題は「首都圏一極集中」だ。

「生きたい人生を生きることがこんなにも難しい社会はなかなか無い。生きたい人生を生きるための機会は少なくとも均等に与えられるべきで、その制約となってきたもののひとつが”首都圏一極集中”に代表される物理的な距離がもたらす機会格差だと思う」

「首都圏一極集中の課題を解決すること。この課題が解決できれば、制約されていた人々を解き放つためのまちづくりができるのではないか。しかも現在の技術革新により実現できる可能性が高まってきているのではないだろうかー」

この課題と真正面から向き合うことで、村上の新しく壮大なミッションが始まった。今度は海外から日本を変えるのではなく、日本の中からこの生きにくい社会を変えていこう。

日本の成長のボトルネックはそこにあるのではないか。

村上が新しいミッションを実現するためのプロジェクトとして、今、目を向けているのが首都圏近郊に新しいコンセプトのまちを創ることだ。

新しいまちを創るためには

「日本の持つ様々な技術を統合し最適化することが必要」

「日本を代表するような大企業であっても、ひとつの企業だけではダメ。大企業もベンチャーも、そして個人でもあらゆる技術と能力を持つプレイヤーがつながることが必須」

と村上は言う。

そのプレイヤーたちの能力を見極め、点と点を繋ぎインテグレートしていくスキルこそが重要になっていく。それこそが自分が今まで発電所建設のプロジェクトの中で培ってきたスキルだと思った。

そういったまちづくりのプロジェクトをやろう。

発電所の時のように

「ボタン押したら動きますんで」

というところまで具体化しないとこの大規模なプロジェクトを認めてもらうことは出来ない。「今はそのための点を集めているのだ」と言う。

目指す山が高すぎることは理解している。しかしその目標に一歩でも近づくため動き続ける。

NewsPicks NewSchoolのローカルプロデュースプロジェクトには、課題感を共有し、一緒に取組み、解決策を見出せる仲間に出会えると考え参加を決めた。

クラスでは、村上が事前に抱いていた期待以上に高い課題意識を持った仲間が集っているという。そんなクラスのメンバーと毎週オンラインで様々な議論を進めている。

村上の新たなミッションへの挑戦は、さらにパワーアップして進んでいく。

(2020年7月インタビュー 文:おぐちあやこ

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