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【書評】株式分割による成長株投資

本日は、小型成長株に投資する上で、必ず知っておきたい「株式分割」について書いていきます。

私は、投資全般の本を読むことが好きで、今までに株式投資、インデックス投資、資産運用に関する書籍を数多く読んできました。

株式投資」であれば、グレアム、シーゲル、ピーターリンチ、ミネルヴィニ、ティリングハスト、そしてバフェット、「インデックス投資」であればエリス、ボーグル、マルキール等々、投資家の誰しもが知っている世界的に名著と呼ばれる書籍は一通り読んできました。

今挙げた書籍は、投資理論を学ぶための重要な考え方(投資マインド)が盛り込まれております。先人の知恵は今の時代においても役立つことを考えれば、読む価値は十分あると思います。

しかし、どれも古典的な洋書で、改訂版が出ているものもありますが、大半が20年以上も前に出版された古い本です。また、全て著者は外国人によるものであり、取り上げられている企業も外国企業が殆どです。

もちろん、資料もドルベースとなりますので、株式初心者にとっては、内容が古い上に外国(米国)基準となれば、理解するまでのハードルが高く、最後まで読めずに挫折してしまう可能性が高いかと思います。


そこで、私がお勧めしたい本が「株式分割による成長株投資」です。小型成長株への投資を考えている投資家の方には是非読んでおいて損は無い内容となっておりますので、ご紹介させて頂きます。

この本は、京都大学法学部を卒業した菊池誠一氏が書いた本です。

著者は、日本経済新聞社において、経済・産業記者としてご活躍され、格付けアナリストを経て、大学教授まで歴任されています。

また、資産運用や株式投資の研究、調査、実践を行う傍ら、大学では企業評価論や財務諸表論を学生・社会人に教えていたという経歴の持ち主です。

一攫千金を手にしたとかそういう最近の流行本とは一線を画しており、きちんと一つ一つの解説が理に適っていて、至って賢明な投資手法です。

現在70歳を過ぎて、仕事はリタイアされているそうですが、この本の中には著者自らの知識と経験、投資手法が惜しみなく書き記されています。

本のタイトルは地味で、レイアウトも味気なくて、いかにも高齢の元大学教授が書いた本という印象ですが、その内容は実に素晴らしく、株式投資初心者でも読み進めていける分かりやすい内容となっています。

特に「成長株に対する長期投資」を実践したいとお考えの方には、自信を持ってお勧めしたい本となりますので、最後までお付き合い下さい。


「株式分割」とは、上場企業が発行済み株式を対象に1株を2株に、あるいは1株を3株などに分けて株数を増やしていくことです。

「株式分割」により、株数が2倍に増えれば、株価は2分の1となり、株数が3倍に増えれば株価は3分の1となります。

例えば、A社の株を100株保有していたとします。株価は10万円でした。

1株を2株にする株式分割が行われた場合には、株価は5万円と半減しますが、保有株数は2倍の200株となります。

実質的な保有資産は変わりません。これが「株式分割」です。

この本は、成長株投資と上場企業が時々行う「株式分割」を組み合わせることで、株式運用の大きな成果を上げる方法を解説してくれています。

著者自身もこの考え方をユニークな内容と前置きしていますが、「株式分割」が投資家にとって資産拡大の大きなテコになるという考え方は、まさに衝撃的であり、この理論には私自身も納得のいくものでした。

成長株で資産を大きく拡大したいとお考えの方には、本当に勉強になると思います。


著者は、大学で企業評価論や財務諸表論を教えていた経歴がありますので、財務分析のプロともいえるでしょう。

財務分析(ファンダメンタルズ分析)というと、計算式が多く出てきて苦手意識を持たれる方が多いかと思いますが、この本では計算式は殆ど出てきません。

難解な経済(会計)用語も然程出てきません。自らの失敗談、意見も織り交ぜながら、学識のある方がどのように銘柄分析をされるのか興味を持って読むことが出来ます。

結論としては、「自分の手で成長企業、それも比較的若い段階にある元気いっぱいの成長銘柄、そうした銘柄を早い段階で投資すること」となります。

また著者は、「株式分割は、中小型企業に多く、上場してから1年か2年ぐらい経過した段階から10年以内の会社が狙い目となる。ただし、上場後あまりにも早すぎる分割は、逆に警戒すべき対象となる。」とも解説しています。

そして、投資先を選ぶ際の決め手は、「将来の成長力」と主張しています。

初心者の方にも理解できるように、成長力を図る5つの分析項目についても項目ごとに詳しく解説されていますので、ご興味がある方は、是非購入されることをお勧めします。

ちなみに、今回ご紹介した「株式分割による成長株投資」は、残念ながら書店で見かけたことはありません。私はAmazonで見つけて購入しました。Amazonでタイトルを検索するとヒットしますので参考にして下さい。


株式分割による成長株投資」は、私にとっては永久保存版(一生売ることはない本)となりました。

内容は初心者向けとなりますが、「長期成長株投資の教科書」と言っても過言ではない程の素晴らしい本でした。

257ページの本となりますが、文字が大きく、横文字であるため、重要なところを赤線で引きながら自分で最強の教科書に仕上げることが出来ます。

また、著者は70歳を過ぎた方ですが、考え方は決して古臭くはありません。

取り上げている銘柄もエムスリーやラクスなど、株式分割を繰り返して成長してきた企業となります。

私が集中投資しているニューラルポケットの保有株数は1700株です。

1⇒2の株式分割が1回おこなれれば3400株、2回行われれば6800株、3回行われれば13600株と大きく増やすことが出来ます。1銘柄に現物で1万株以上の株式を保有していたら、個人投資家の水準で考えれば大株主の仲間入りと言っても良いでしょう。

当然、株式分割の度に株価は2分の1となる訳ですが、成長株には半減した株価がまた元の株価(分割前の株価)まで戻るという特徴があります。

これが、著者の言う「テコの原理」です。

私が保有するニューラルポケットという「成長株」が、「株式分割」を繰り返すことによって、エムスリーのような大きなリターンをもたらすことが出来るのか、じっくりと腰を据えて見届けたいと思います。

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