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今後の世界は「選択的雑談社会」になる。

アフターデジタルの社会を生きる私たち

コロナの影響で、リモートワークやオンライン会議は活況を見せている。そんな中、私たちの生活はダイナミックに変化を続けている。都内企業のリモートワーク比率は62.7%を超えて、ついに過半数になった。
https://www.news24.jp/articles/2020/05/12/07641365.html

これはコロナウィルスの影響であり一過性の現象だと考える人もいるだろう。しかし、一時的にせよ、過半数を超えたと言うことは、今後、このリモートワーク時代の文化は大きく変わるきっかけになることは間違いない。

よりマクロ視点で考えると、「アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る(日経BP社)」などでも指摘されているように、デジタルとアナログの主従関係が逆転し、デジタルが中心となった社会の訪れを感じる。「デジタルツール」と言う言葉が死語になる、と言う指摘があるが、それはデジタルが日常化し、アナログが非日常化したからである。

雑談する相手を誰にするか?

そんな中、私が密かに注目しているのは「雑談」だ。雑談は誰にするものだろうか。これまでは、物理的に近い人に対して、雑談をすると言う人が多かった。家族・学校・会社・近所。これらの共通点は物理的な距離が近いことだ。そして、これまでの社会では、物理的な距離が近い人の中で、心理的な距離が近い人と雑談をすることが多かった。

物理的な距離が近い (1)

例えば、職場において、雑談をする相手は物理的な距離が近い人だった。上司や同僚・部下と話をすることが多かっただろう。学校や近所もそうだ。しかし、職場・学校・近所の雑談は完全な自由意志ではない。物理的な距離が近い人がいて、何も話さないのも不自然だし、気まずい思いをするから話していた、と言うことも実際にはあったはずだ。もちろん、学校の中に恋人がいたり、好きな人がいるケースもあるし、職場恋愛もあるだろう。近所のあの子が好き、なんてこともあると思う。

しかし、ここで議論したいのは、「物理的な距離」が「心理的な距離」に優先されて雑談が行われたと言う現象そのものについてだ。この現象はリモートワークが中心となると様変わりする。雑談が物理的な距離に影響を受けなくなった。

「SNSでちょいと話す」、と言うのはSlackで社内の人と話すハードルとそれほど変わらない。非同期型のコミュニケーションが当たり前になり、同期型のコミュニケーションが珍しい時代において、対面型のような同期コミュニケーション前提の縛りはないし、非同期コミュニケーションで盛り上がったら、ZoomやGoogleMeetなどを通じた同期コミュニケーションへの切り替えも瞬時にできる時代になった。

「発注先の選び方」もこれに伴って変わる。

これまでとは、発注先の選び方も変わる。これまでは、事務所には事務所の空気があったので、その空気に反することはやりづらかった。**部長が仲の良い業者の**さん、みたいなことが認識されやすい。しかし、リモート時代は、課題ドリブンに全員が必死に取り組む社会になるため、課題に合う人に声を掛けるようになる。

「あの人って仕事請けてくれるのかなあ」と言う社内雑談の結果、「いやあ、難しいんじゃないの?」みたいな結論に陥ることなども多かったはずだ。だが、今の時代、その検証のために必要なことは社内雑談ではなく、本人に直接聞いてみることだ。

だとすれば、まずは、ヒョイっと聞いてみる、と言うことがこれまでよりも圧倒的にやりやすくなる。空間的雑談社会から、選択的雑談社会に変化したのである。

選択的雑談社会においては、どんな人に雑談をするのだろうか。

物理的な距離が近い (2)

仕事において「好きな人」が雑談相手に選ばれる。心理的な距離が近いからと言って、発注するわけではないからだ。好きと言うのは信用できる、信頼できる、専門家である、実績がある、などの情報は最低限として、もう1つ重要な要素がある。話しかけやすい、と言う要素だ。アフターデジタルに生きる今にぴったりな話しかけやすさを持っているだろうか。SNSはROM(リードオンリーメンバー)と言う人も多いが、更新されていない人を思い出す確率は残念ながら低い。かと言って、更新していても嫌いな人はブロックされてしまう。更新されていて、好きな人が雑談相手に選ばれるのだ。

選択的雑談社会の生き方

選択的雑談社会においては、「何の人なのか」と言う記号が今まで以上に重要視される。そして、「語っている言葉そのもの」に対する価値がよりクローズアップされるようになるだろう。

☑︎ あなたは何の人として認識されているのか?
☑︎ あなたは話しかけるに値する人なのか?
☑︎ なぜ、あなたの言葉が大事なのか?
☑︎ そもそもあなたの情報を発信しているのか?
☑︎ あなたとカジュアルに話すにはどうやって話しかければいいのか?

そんな本質的だけど、耳が痛い言葉に対して、自分なりの解を持つ必要があるだろう。

リモートワークになって、雑談が減った、と言う人は自分の価値について、見直しが迫られている。雑談は減っているのではなく、二極化している。今後ますますリモートワークで人との交流が増えた人と、減った人ははっきりしているに違いない。

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