ケアの現場から残業が無くなる
「残業ゼロ」良い響きです。
「定時で帰れる」それもとても良い事です。
ICTの活用等、ケアの現場の生産性を高めることで目指すべき
いわゆる「働き方改革」。
自分達の仕事ぶりを振り返り検証することで
それらが達成されていく姿には喜びを感じますが
「ケアの現場における喜ばしくない働き方改革」について耳にする事もあります。
例えば・・・
「定時に帰るためにご利用者に職員の働き方に合わせた生活パターンを強いる」
「洗い物を減らすために、調理を簡素化した」
「トイレ誘導の時間を一斉に早めることで効率化を図った」など。
ここで覚えておいて欲しいのは
「ケアの質の維持・改善を伴わないものは
ケアの現場における働き方改革とは言えない」という事です。
つまり、その「働き方改革」は「誰のため」の「働き方改革」でしょうか。
多くは「求職者をGETするため」「良い職場アピールをするため」でしょうか。
「退職させない」「従業員本位」を示すためでしょうか。
それで本当に良い従業員が、質の高い介護を志す人間が集まって来るのでしょうか。
いやいや、その組織風土で「良いケア」を提供できるなんてとてもじゃないが思える訳がありません。
一般企業で考えてみましょう。
「働き方改革」で残業を減らすためにお客様へのサービスの質を下げました。
職員は定時で帰り残業は減りましたが、なぜか売上が下がりました。
「当たり前じゃね?」と思いませんか。
ケアの現場で考えると
「定時に帰ることが目的となる」↓
「細やかなケアが行き届かない」↓
「じわじわ心身の状態が変化していく」↓
「しかし目的がずれているためその”じわじわ”に気付けない」↓
「入院、退所、ベッドが空く、利用が減る」↓
「でも”数字”で考えていないから働く側は痛くも痒くも無い」
「また、ケアに想いが無いので心も痛まない」
つまり
その事実を「当たり前じゃね?」と思っていない訳です。
間違いなく自分達に影響があるにも関わらず、ですよ。
だから、それは「当たり前じゃない」って誰かが言わなきゃならないのです。
「それ、目的間違っていますよ」
「誰のための私たちですか?」
「先ずは皆さんのことから考えてこその働き方改革ですよ」ってね。
ではどうすれば
我々ケアの専門家が高めるべき生産性を高める事とは、その高めて生まれた時間を如何にご利用者との直接支援のための時間として多く担保できるかに掛かっています。
先ずは業務上の無駄・無理・ムラは検証しできる限り削ります。
因みにそのノウハウは介護よりも一般企業の方が持っています。
我々はあくまでご利用者との直接支援の時間を増やし
ケアの質の向上に繋げること、利用者本位、自立支援、利用者満足度を高めるためのもの、と理解しましょう。
そのために、そのケアに合わせて柔軟に勤務時間、体制、待遇を変えていく。
そうやって環境を整える中でも管理側は
声高らかに「利用者のために」「お客様のために」
そう言うべきであり
「早く帰りなさい」「残業代は出さないよ」と簡単に言わないように。
すべきは「目的」の確認ですよ。
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