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うちのおじいさん何でデイサービスに行ってくれへんのやろ?

24年間、介護の現場を見てきた者として
マスメディアは決して伝えないことを本日は少しだけ。


要介護状態、被介護者となった際に
「上手くいかない」「困ったな」といったケースにて
家族も専門職も先ず持ってぶち当たる壁の一つが
タイトルにもある「サービスが入れない、入らない」こと。

先日も某週刊誌に
「介護に困らないために」としてありましてね。
「正しいサービスの使い方」
「後悔しない施設の選び方」
そして「良いケアマネ、悪いケアマネの見分け方」みたいな。

介護保険制度になって措置から契約に変わりまして
高齢者介護はサービス偏重主義になりました、これは否定しません。

その上で介護保険制度の利用に関する重要な二つのことについて本日はお伝えします。

先ず一つ目は「家族がやらなきゃ誰がやる」
介護保険制度は穴だらけ。
あなたが思っている以上に頼りない制度です。

これまで介護してきた上で新たに利用する方にとっては
「それだけでも十分、助かります」とはなりますが

初めて介護に臨む家族からしたら
「それだけしか助けてくれないの」となりがちです。


すると自宅で介護する前に「無理無理無理」
自宅→入所になってしまう訳です。

しかし、ここで考えて頂きたい。


私たち介護支援専門員は
「要介護者と要介護者を支える被介護者を支えるためにサービスを提案する」のであって
「要介護を支える被介護者の全てに成り代わるサービスを提案する」のではありません。

そう介護保険制度は当事者にも家族にも等しく
「要介護状態にならないための国民の努力義務」が前提にあります。

国民よ、要介護状態に出来る限りならないように努力して過ごしてね、みたいなね。

そして、その先に発生した要介護状態についても
「あくまで自立支援に資するもの、維持改善に努めるもの」
そのように記してある訳です。

この前提をちゃんと伝えることが出来るのは
介護支援専門員としての基本スペックかと思います。

ハイハイと御用聞きケアマネは、それこそどうかと思います。

(そのように言わせてしまう要介護者や被介護者の存在や介護報酬の現状もありますが)

そうです、介護保険制度は決して魔法ではなく
介護支援専門員も魔法使いではありません。

あくまで被介護者の今以上の介護や看護有り気の上で
それらを少しでも多く減らすことで
在宅介護生活を少しでも長く継続する
そのお手伝いをさせて頂くのが、この介護保険制度
の、「はず」なんですけどね。

こう至らなかった理由の一つとして
筆者が個人的に思うのは、介護の現場が制度以前から変われなかった、変わらなかったこと。今も昔も未熟な運営手腕の上にあること。
ここにあるのかなーとは思っています。


そして二つ目は
「当事者の受け入れ」にあります。
要介護状態、被介護者になることによる心身の不調は適切な判断力を奪います。
その中で自己肯定感も低下、関係性も不安定になってしまうでしょう。

その状況の中にいきなり他者が介入してくる
若しくは他者と交わりなさい、というのは
少々酷なように思いませんか?

それに合わせて自身のパーソナリティ
遡れば当事者の生育環境からになりますが
「他者の生活への介入を受け入れる事が出来るかどうか」
は、要介護状態になると本当に試されます。

かつて私が支援させて頂いた男性で
元々デイサービスに行きたくない、方。
認知機能面の低下はそこまでなく
どちらかと言うとパーソナリティ的な要素で
行きたくなかった方。

そんな彼がデイサービスに馴染まれた時に
書いて頂けたお気持ちが


「老年の最も高級な仕事は人々との調和である」

ご利用からここまでのお気持ちになられるのに
一年かかりました。
その間、奥様はとてもご苦労されました。
しかし彼はここを乗り越えた、乗り越えられた訳です。

では「どのようにしたら」についてですが
もうこれは極論自身を諭すしか無いことと
被介護者はそれを予見しておくこと、しか無いかと思います。

そのキーワードは先ほどもお伝えしましたが
「要介護状態にならないための国民の努力義務」
「あくまで自立支援に資するもの、維持改善に努めるもの」
この2点にあると思います。

そして重要なこと「意思決定支援」と「自己有用感」

この2つのより具体的な内容については、また今度。
長文お付き合い頂きありがとうございました。


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