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「期待すること」が一番の教育だという話

「カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方」という本を読みました。

この本では、著者のマクドナルド、メルカリ、SHOWROOMでの経験を踏まえながら、企業文化をつくることについての方法論を語っています。

今回は学生時代に教育業界に従事した経験を踏まえて、考えたことをまとめます。

教育における「ピグマリオン効果」

ピグマリオン効果とは、教育心理学における心理的行動の1つで、教師の期待によって学習者の成績が向上することである。(中略)ちなみに、教師が期待しないことによって学習者の成績が下がることはゴーレム効果と呼ばれる。(出典:Wikipedia)

生徒の学力を伸ばすために重要なことの一つに、教師の生徒への期待があります。期待をすることで、その期待に応えようとする心理が働くというのがピグマリオン効果の主張です。

ドラマなんかで「なんであなたはこんなこともできないの」など、教育熱心な親によるセリフを耳にすることがありますが、それは期待とは逆の言動ですよね。私は「あなたはできる」と思い続けることが、子どもの成長には欠かせないと信じています。

仕事における期待

「教育」と「仕事」は異なる文脈だ、という意見を受けたことがあります。

結果を出せるかどうか分からない人に期待をするのは難しいというのです。海外の企業であれば結果主義に基づく解雇も行われるなど、ビジネスには教育とは異なる制約があることは確かです。

その根底にあるのは、「固定マインドセット」と呼ばれるものです。日々変わりゆく子どもとは違い、大人になると価値観や能力を伸ばす力が衰える、人は変わることが難しい、あるいは時間がかかるので変化を待てない、と考える価値観です。

日々の会話の中で「大人になったら性格は変わらないよ」と聞くこともあります。教育と仕事には、子どもと大人の違いがあるということです。今読んでくださっている方にも、仕事における「期待」は簡単ではないと感じていらっしゃる方も多いかもしれません。

SHOWROOMの公開1on1がすごい訳

SHOWROOMの前田さんがPodcast上で公開1on1を放送されています。
※1on1...上司と部下などが1対1で面談し、日頃の悩みや伸ばしたい能力などについて話す場

全てのエピソードを聞いて私が感じたのは、前田さんは期待の天才だということです。仕事における「期待」のお手本のような内容を示してくれます。

1. 相手の長所を具体的に把握していること
2. 相手に足りないことを具体的に把握し、改善の道筋も見えていること
3. それができる人物であると断言していること

相手の弱点をフィードバックをすることは、相手にとても複雑な感情を抱かせうります。しかし前田さんは相手の長所を仕事の話を絡めながら説明し、いわば場をやわらかく温めてから足りないところの指摘に移ります。

この指摘はズバッと相手の胸に突き刺さるような、明確で真っ直ぐな言葉です。しかし前田さんは従業員は成長できる、自分の求める基準まで到達することができると信じておられるのです。

弱点は努力により成長し克服すればいい。そのシンプルな哲学を感じます。どうすれば次のステップに進めるのかが具体的に見えるからこそ、変化できると信じられるのかなと思ったりします。

「君なら僕を超えられる」「絶対そこまで行けるから、期待してるよ」「こうやってチームを救ってよ」など、成長することで次の景色を見よう、君なら見られる景色だと伝えるのが天才的にうまいのです。

まとめ

教育業界では子どもに期待することが大切だと考えられている中、実は仕事でも同じことが言えるのではないでしょうか。

期待される側になったときには、きっといい気持ちがするはずです。期待に応えようと頑張る力が湧いてくるかもしれません。

高い基準を持って、思う存分に期待してみることで、人が大きく成長する姿を見ることができるしあわせを感じられますように。

よろしければ、褒めることについて書いた以下の記事もご参照ください。


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