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BTS "Outro : Wings" 翼は飛ぶためにある 〜日本語選びにこだわる和訳歌詞 no.027

行くなと言う道を行き するなと言う事をして
望んではならぬ事を望み
また 傷つき 傷ついて
俺を愚か者と呼べばいい そうさ
俺はただにこりと笑うよ
俺は俺がやりたくない事で成功したくはない
俺は、俺を信じてる

Outro : Wings


俺を、空に連れて行け

幼い頃の自分を憶えてる
天真爛漫 無邪気が故に
この小さな羽が翼になり
飛べる様にしてくれると
信じて疑わなかった
笑い声と共に

鳥のように

行くなと言う道を行き
するなと言う事をして
望んではならぬ事を望み
また 傷つき 傷ついて
俺を愚か者と呼べばいい
そうさ
俺はただにこりと笑うよ
俺は俺がやりたくない事で
成功したくはない
俺は、俺を信じてる そうさ

俺は、俺を信じてる
俺の背中が痛いのは
翼が生える証なんだもの
俺を…お前を、信じてる
今は頼りなくとも最後には
壮大な飛躍を遂げるだろう

飛べ 空に駆け上がれ
飛べ 高く舞い上がれ


お前が選んだ道だろ
この野郎 ひよるんじゃねえ
今やっと初飛行なんだ…ああ


俺を、空に連れて行け
ふわりふわりと飛んで行けるなら
いつまでも走っていられるのなら
もし この翼が飛べるのであれば
だんだんと重くなってゆく空気を
突き抜けて飛ぶ

飛ぶ 俺は飛ぶ
俺は飛んで行く
空より高く高く
飛ぶ 俺は飛ぶ
俺は飛んで行く
赤く染まった翼を
懸命に羽ばたかせ

広げろ翼を 広げるんだ
翼は飛ぶためにあるんだ
飛べ! 飛べ! 飛べ!
この翼が飛べるのならば


今わかった
後悔しながら老いていくのはやめだ
俺は選んだ
無条件に信じてみるよ
今こそ勇敢になる時だ
俺は怖くない
自分を信じているから
以前の俺とは違うから
俺が行く道で
泣かずに落ち込まない
そこは空だろうし
飛んでいるだろうから


広げろ翼を 広げるんだ
翼は飛ぶためにあるんだ
飛べ! 飛べ! 飛べ!
この翼が飛べるのならば


韓国語歌詞はこちら↓ 
https://m.bugs.co.kr/track/30547150

『Outro : Wings』
作曲・作詞:ADORA , Pdogg , RM , SUGA , j-hope


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今回は、BTSの2枚目のリパッケージアルバム「YOU NEVER WALK  ALONE」収録の "Outro : Wings" を意訳してみました。
フルアルバム第2集「WINGS」に収録されている "Interlude : Wings" のフルバージョンになります。
追加されたのは終盤の「今わかった〜」以降のホビのパートです。

V LIVEに残されているナムさんのビハインド動画がこちら↓
(22:32~)

"Outro(Interlude) : Wings" には当初別のトラックが存在していたけれど、途中で今のバージョンに変更となったのだと上記動画中でナムさんが明かしています。また、幻のオリジナルバージョンを少しだけ披露もしてくれています。

この楽曲はアルバムタイトルの回収を果たす曲ということになりますが、歌詞には、人生の選択をひとつ完了させようとしている主人公が自分の翼の力を信じて今まさに羽ばたこうとしている瞬間の気持ちが描写されています。

"A Supplementary Story : You Never Walk Alone" の考察でも触れましたが、アルバム「WINGS」を制作するにあたって小説「デミアン」を参考にしたと発売記者会見(2016.10.10)でナムさんが公表しています。「少年が誘惑に出会い、選択を重ねて成長する」というアルバムコンセプトがうまく小説の内容と合致していたようです。

また、この記者会見前から既に、公開されていたショートフィルムを観て「デミアン」との共通性に気付いたARMYさんたちの間では考察が練られていたとも伝えられています。

「WINGS」と「デミアン」の関係は既にたくさんの素晴らしい考察記事が公開されているので、《アルバムを聴く・ショートフィルムを観る→小説を読む→考察を読む→小説を読む→アルバムを聴く・ショートフィルムを観る…》の流れで作品を堪能するとより味わい深くなるのではと個人的には思います。

「誘惑に出会った少年の物語」だった「WINGS」の「外伝」に満を持して完全体で収められたこの曲は、少年がついに「誘惑を振り切って選び取った道を突き進んで行く」という「WINGS」シリーズにおける壮大なエンディング(Outro)なのだという事がわかります。

ここで "Born Singer" の記事でも触れた「2017 BTS LIVE TRILOGY EPISODE III THE WINGS TOUR THE FINAL」のアンコールセットリストをもう一度振り返ってみます。

【THE WINGS TOUR THE FINAL アンコール セットリスト】
~VCR~
A Supplementary Story : You Never Walk Alone
Best Of Me
길 (Road)
Born Singer
봄날 (Spring Day)
・Outro : Wings

外的要因に惑わされながらも、自らの意思で道を選び抜いて、信じるものに向かい進んでいく。

デビュー前後からの実体験が反映されている曲が並ぶこのセットリストは、彼らが「翼」を手に入れるまでに耐えてきた無数の痛みの記録の集大成であると共に、「WINGS」シリーズのエンディングとしても辻褄の合う「離陸」の瞬間が演出されている見事な選曲なのだと思いました。

…と、ここまでくるとこのTOUR FINALが「LIVE TRILOGY」シリーズの大団円であることにも触れる必要が出てくるかと思いますが、こちらも検索をかけると数々の解説記事に出会うことができます。本編セットリストにサイファシリーズが全曲含まれていたり、初期のタイトル曲のメドレーがあるのも、トリロジー(三部作)の「EPISODE III」の最終公演であることを証明しています。

意図的なものと運命的なものとの境目が曖昧であることがバンタン作品の魅力のひとつであると思うのですが、楽曲しかり、MVしかり、ライブツアーに至るまで、これ程完成度の高いストーリーを緻密に描き出せているのも、リアルな彼らのリアルな葛藤があってこそなのだということが A Supplementary Story : You Never Walk Alone 、길 (Road) 、Born Singer といった曲の翻訳を経て実感できました。

リアルタイムで追えなかった当時の彼らの事を、外ならぬ彼らの言葉を通して知る事ができる。知りたいと思わせてくれるし、それに応えてくれる作品がある。これってそうそうできることではないし、できているアーティストが他にどれだけいるだろうかとも思います。

まだ私は深い深い沼の上辺の方にしかいないんだなぁと、今回あらためて思いました。全曲目指して、これからも翻訳を続けていきたいです。


最後まで読んで下さりありがとうございました。


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