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触れようと伸ばした薔薇の棘から指先に滴る赤い血、痛みというよりも突然流れ出した色に戸惑い、薔薇は、何を描こうとしているのかその行く末を遊ばせた。けれど浮かび上がるのは文字なのか絵なのか。はたまたボクの知らない概念なのか無なのか(それなのに現れている)解読ならぬ解毒が必要になり澄ました顔で空を見ている「運命以外の事に興味がないの。」確かに彼女は、そう言い、それは彼には、聞こえないようだった。乾いた血がパリリと音を立て生まれるようだと思った時には、もうそれは一人歩きをするほどに悪戯な姿をしている。「運命なんかで君は幸せになれない」(なる必要もない)そう言うとあなたにもそれは出来ないよ。と、首を傾げる。ボクは君と不幸になりたいのです。(ありきたりな売り言葉に買い言葉)価値を成さない言葉なら今すぐその薔薇を凍らせろ!それが出来ない事を愛せないと言う!手を伸ばせない事を運命と言う!毒が回っていると脈拍が教える。心臓は、跳べると勘違いしたようにその胸を、揺らす。今すぐ会いに行け。さもなくば俺が行くと。例えば心臓を鳥に変えるように、薔薇に見えたものは、君だったのかもしれないし、夢だったのかもしれないし、病だったのかもしれない。命自体が病気。ありきたりな言の華があなただったなら。ボクはあなたを引き抜いて、枯れていく様を眺めていたい。薔薇が血をお前の指先で凍らせたように。傷付けるという事は、簡単なことではない(つまり愛するという事も)臆病さをロマンチストで語るそれが薔薇の造形。花占いをその棘でやりたい。君の鎧を血だらけになって愛しむように時間をかけて、抜きたい。好き、嫌い、好き、嫌い、愛しい、愛しい?愛しい?!愛してる、愛して、愛してない!愛してない?!愛して!愛して!愛して!!あ!い!し!て!る!指先の鈍い痛みが嬉しい。君の痛みがボクに移ったみたいで。知ってる?わたし普通の人が好きなの。あなたみたいな人じゃなく。薔薇に過去は、なく思い出だけがあり。彼はその似て非なるものの区別がつかない。出会う順番の問題だろ(タイミングで君も運命を語るのか!)そう言った時、唇は、もう意味を成さなくなっていた。
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