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ワインショップが思う、2019年の東京ワイントレンド

Webメディア「東京ワインショップガイド」を運営しています。2019年2月、ワインショップ6店舗の店主に集まっていただき、「今の東京ワイントレンド」をテーマに座談会をしました。そのときの内容をレポートします。
座談会全文は、東京ワインショップガイドに掲載中です

キーワードは、「自然派」「オレンジ」「ロゼ」

皆さんは、ワインショップの店員さんにどんなものがほしいと相談していますか? このときのキーワードが、いまのワイントレンドを知る手がかりになります。店主の皆さんに聞いたところ、まずあげられたのが、「自然派(ヴァン・ナチュール)」です。自然派ワインとは、できるだけ自然にまかせて造られたスタイル。飲み心地のよさや、ユニークなラベルに新しさを感じている人が多かったようです。
自然派つながりで出てきたキーワードが「オレンジ」。オレンジワインとは、白ぶどうの果皮や種を果汁と一緒に浸けて仕込むことでオレンジの色合いになった白ワイン。これまで赤・白・ロゼしかなかったワインに新しいジャンルが登場したような衝撃のフレーズです。「オレンジワインって何?」というところから、相談される機会が増えたようです。
ちなみに、オレンジワインの発祥はジョージア。踏みつぶして絞ったブドウの果汁と果皮、種をそのまま壺に入れて土中に埋めて醸造される、なんともワイルドな造りなのです。とはいえ、SO2(酸化防止剤)を添加しないことから元祖・自然派ワイン! 「ジョージア」もワイントレンドの1つとしてあげられます。
タイプでいえば「ロゼ」にも注目。ロゼというと、かつては甘口のイメージがありましたが、最近は辛口が主流。魚料理や和食に合わせやすいこと、1本で食卓ワインとして完結することが人気の理由です。ワインショップのなかにもコーナーやエリアを設けているお店も。ただ、比較的低価格のものに動きがあるよう。軽快で気軽というイメージから、高級なものにはまだ手がでないようです。

注目産地は東欧! 高騰するブルゴーニュに代わる産地は?

注目すべき産地は、スロヴェニアやモルドバの東欧があがりました。これらの産地はワイン産出国として珍しさがあるところが興味を惹いているよう。品質の割に値ごろ感があるところもポイントです。スロヴェニアと隣接したイタリアのフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州も、土着品種を使用した個性的なワイン産地として話題です。
ワイン好きなら、高騰したブルゴーニュに代わるシャルドネやピノ・ノワールの優良な産地が気になるところです。ワインショップ店主の皆さんに聞いたところ、白のシャルドネであれば、土壌が近いのは同じフランスのジュラ地方。とはいえ、ジュラにも値上がりの波がきているので、値ごろ感はそこまで期待できないそう。赤のピノ・ノワールは、南アフリカ産がブルゴーニュと個性が近いものの、ミネラルの質がやや違うというご意見。ほかに、ドイツのピノ・ノワール、イタリア・トスカーナ州のサンジョベーゼを推す声もありました。

ワインは定着の段階? 家飲みや自宅持ち寄り会が人気!

ワインの買い方から見える、ワインの楽しみ方を聞いたところ、「持ち寄り会に持っていくワインが欲しい」というリクエストが増えたそう。価格的には2000〜3000円程度のワインでインパクトのあるもの、という要望から、レストランではなく、ホームパーティーでの持ち寄り会が主流なことがうかがえます。
さらに、1500〜2500円くらいまでのデイリーワインのリクエストが住宅街のワインショップを中心に増えていることから、家飲みの増加も考えられます。子育て世代は外に出かけて食事するのが難しいことや、働き方改革での残業の減少がそれを後押し。ワインショップで、チーズや生ハムなど上質な食材とこだわりワインを買ってもらい、家飲みするスタイルを提案したいという意見も出ました。

ワインの消費量は横ばいですが、家飲みや持ち寄り会の例でもわかるように、気軽に飲む人がふえたのはたしか。そのぶん、裾野は広がっています。ワインはブームを超え、いろいろなタイプを上手に楽しむ人がふえてくることに期待が持てそうです。

座談会に出席してくれた店主の皆さま
ラ・カンティーナ・ベッショ(原宿)別所さん、Anyway-Grapes(経堂)高橋さん、SASALA(南青山)出渡さん、カンティネッタ多摩川(矢口渡)藤林さん、アンケヴィーノ!(ときわ台)鈴木さん、カシエル(経堂)森さん


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