見出し画像

なぜ人は物語を求めるのか? 『あすは起業日!』作者と話して考えた

来年に向けて明るいニュースがあるので、久しぶりにお話ししたい——。昨年の12月、連絡をくれたのが起業家の森本萌乃さん。たまたまその日パリにいるという彼女と、下北沢のカフェにいた私は何年ぶりかにオンラインで会いました。森本さんは大手広告代理店を4年で辞め、今はオンライン書店を経営しています。

「明るいニュース」は、想像と違っていました。いわく、今度を出すことになったんです。それも小説を、国際女性デーである来年(2024年)の3月8日に。

なぜ小説を書くことに?と聞くと、彼女は答えました。
「起業について学べる本はたくさんある。でも、物語の力を私は信じたいんです」
起業家が小説を出すことに一瞬驚いたものの、「物語の力」という言葉を聞いて、分かる分かる、本当におめでとう、という言葉が口をついて出てきました。

それは、「ナラティブ・アプローチ」の思想が背景にあるという、経営学者の宇田川元一先生の『他者と働く』を読み返していたからかもしれません。
「ナラティブ・アプローチ」とは、社会構成主義の「言葉が私たちの生きる世界を形作る」という考えに基づいて「語り」と「物語」という視点から現実を捉え直す方法。
言葉の連なりである語りによって物語が生まれ、物語が人々の認識をつくり、世界をつくっていくということです。

仲間集め、投資家との向き合い方、資金調達の現実、そして孤独。起業に関するビジネス書を読むのはハードルが高いけれど、物語仕立てになっていることで起業の疑似体験ができるような一冊でした。

女性起業家なんて言われたくない。国際女性デーは女性がミモザを手にして写真を撮られる日ではない。その日も画面越しで聞いた竹を割るような物言いに、私も背中を押された気持ちになりました。

Editor's Pick
・女性起業家が国際女性デーに抱く違和感。女性の起業は「孤独と貧困のチキンレース」

(2024.4.18)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?