見出し画像

薬局向けバーティカルSaaSコミュニティ、MusuViva!を立ち上げた話

このnoteは、cmktアドベントカレンダー2021の13日目の記事です。

はじめまして、伊藤 希美(@nozomi_itoh)と申します。
調剤薬局向けに、Musubiをはじめとした複数SaaSを提供している株式会社カケハシにて、コミュニティマネージャーやコンテンツ作成を担当しています。
このnoteでは、2021年7月に正式オープンした、ユーザーコミュニティMusuViva!の立ち上げで私が学んだこと・感じたことを書きます。
これからコミュニティを立ち上げる方の参考になったり、Vertical SaaSコミュニティの難しさや面白さが伝わるといいな、と思っています。

なぜ薬局・薬剤師のコミュニティ?

薬局・薬剤師は今、変化を求められている

「薬をもらうだけなのになんでこんなに待つの?」
「処方箋を自動販売機にいれたら、自動的に薬が出てきたらいいのに」
薬局で、そんなふうに思ったことのある方、いらっしゃいませんか?

ですが、実は薬というのは処方箋通りに間違いなくモノを渡せばいい、というものではありません。
年齢・性別はもちろん、服用状況や副作用、生活スタイルなどから、「今この人がこの薬を飲むことが正しいのか」を判断すること、そして、効果を最大化・有害事象を最小化するために、具体的な飲み方・使い方、使用上の注意点、などの情報を、薬とともに渡す必要があるのです。
それを担うのが薬剤師です。幅広い専門知識をもった国家資格保有者です。

実はそんな薬局は、今変化が求められています。この記事では詳細は割愛しますが、大きくは
①薬という「モノ」ではなく、使用状況や治療効果といった「ヒト」に焦点を当てて仕事をしよう
②薬を渡す時だけでなく、使用している最中の患者さんの情報を自ら取得しよう
③必要に応じて患者を取り巻く医師や介護職など、様々な職種と連携しよう
 という変化です。

求められている変化を、製品だけでは後押ししきれない

Musubiを始めとしたKAKEHASHIのプロダクトは、既存の業務を効率化したり、新しい業務をアシストすることで、そういった変化を後押しするものです。
とはいえ、製品を入れるだけでは解決しないことがあります。例えば以下のような声をユーザーさんからよく聞きます。

  • 変化と言われても具体的にどうしたらいいんだろう

  • 現場にどう伝えたら、動いてもらえるんだろう

  • 周りと興味関心が合わない。先を見据えて行動している同士で話したい

先を見据えて行動している人同士が、あるいは何から始めたらいいかわからない人と行動に移している人が、プロダクトを通じて出会ったら、それはお互いへの刺激になり、次第に薬局・薬剤師全体に波及する大きなうねりにつながっていくかもしれません。
私たちは「ともに考えともに創る、薬局のあした」をコンセプトとして、まだ見ぬ正解を一緒に模索する薬局・薬剤師のコミュニティを作りたいと思いました。

立ち上げで得られた気付きと手応え

よりどころは良書・良記事、でもやっぱり直接会うこと

立ち上げる事になったのですが、その時の社内メンバーには、コミュニティ経験者は誰もいませんでした。本当に手探りの嵐です。なので、小島さんの書籍や記事、佐藤 尚之さんのファンマーケティングの書籍など、様々読み参考にしながら進んでいきました。

(↑様々小島さんの記事はありますが、私もこの記事が一番好きです)

(↑良書。丁寧に紐解かれていてとても理解しやすかったです)

社内の認識や目線をなかなか合わせられず悩んでいる時に、救いになったのがcmkt_meetupを主宰している長橋明子さんのこちらのnoteです。

これを拝見して感銘をうけ、登壇を拝聴した一方的な関係にも関わらず、Facebook Messengerで夜中に突然長文メッセージを送らせていただいたことをよく覚えています。お忙しい中お時間をとってくださり、壁打ちに付き合ってくださいました。(本当にありがとうございました!)
そのやりとりが、のちのち長橋さんのnoteになりました。誰しもが悩む共通のポイントなんだと励まされる思いがします。

この立ち上げプロセスから学んだことは、3つです。

  • 自分の中の違和感は大切に。

  • 勇気を出して、外部の経験者を頼る。熱意を伝えれば応えてくださる。

  • 社内メンバーの頭の中を揃えるには、書籍や記事の共有<<共通の体験。外部経験者の方との壁打ちは、全メンバーとやるべし。

そんなこんなで、社内メンバーで合意することができ、まずはKAKEHASHIやMusubiを愛してくださっている7名のユーザーさんと、次に50名まで拡大してプレオープン、最終的に7月末に正式オープンしました。オンラインサイトと、ユーザー会イベントを組み合わせたコミュニティ「MusuViva!」です。

コミュニティ、求められてました…!

立ち上げてから、本当にKAKEHASHIは素敵なユーザーさんに恵まれているな、と何度も思いました。
「こんな場を待ってた」「参加できて色んな人の取り組みに触れられて嬉しい」という喜びの声や、しばらくたったあとには「最近ちょっと盛り下がってない?ここからどうします?」のように、コミュニティを我が事と捉えて心配してくださる声もいただきました。

とても印象的だったエピソードが、もともと食品会社で働かれていたとある管理薬剤師さんの言葉。要約すると以下のようなことでした。

もともと薬は嫌いで 笑。結婚や出産もあり、薬局薬剤師をすることになったけど、いつか薬局で食事・栄養の支援をするのが夢だった。MusuViva!に来て皆の話を聞くと、すごい行動力ですでに夢を実現している人たちがたくさんいて、自分にもできるんじゃないか、夢というよりは身近な目標になった。私、MusuViva!に入れて薬剤師で良かったって、思った。

こんなことユーザーさんに言われてしまったら、泣くほど嬉しいですよね…!

ユーザーの皆さんのおかげで、ツールを提供してくださるcommmuneさんには、「ユーザーの巻き込み・アクティブ化に一番成功しているのはKAKEHASHIさん」といっていただいているそうです(まだまだ道半ばなので、本人たちは大変恐縮しております笑)。
ユーザーさんの次の一歩につながる体験を、これからもたくさん作っていきたいと思います。

Vertical SaaSコミュニティの難しさと面白さ

SaaSには、業界関係なく広く展開できるHorizontal SaaS(例:SmartHR、Sansan)と、SaaSには業界特化したVertical SaaS(例:Toreta、ANDPAD、Musubi)があります。
コミュニティ立ち上げに重要な原則は共通と思うのですが、立ち上げてみて感じたHorizontalとのコミュニティの違い、その難しさと面白さについて書いてみます。(Horizontalの経験はないので、あくまで個人の想像と所感です…!)

ターゲットがビジネスパーソン(だけ)ではない

Horizon SaaSコミュニティは、基本的に法人のサービス導入担当者がターゲットになると思います。SmartHRなら人事・労務担当者、Sansanなら総務や情シスなど。自社でそのサービスをより良く使いたい・浸透させたいという想いやミッションをもった人たちです。彼らはビジネスパーソンであり、基本的にPC資料作成や会議、プレゼンやテキストコミュニケーションに慣れています。
一方、Vertical SaaSコミュニティでは、現場のエンドユーザーの巻き込み方がポイントなことが多いのでは、思っています。特にMusubiは基幹業務システムなので、現場のユーザーさんにストレスなく、愛して使っていただくことはとても重要です。ただ、その活用のコツなどを文字であれ資料であれ、シェアしていただくことに、Horizontal SaaS以上のハードルがあるように思います(そもそもコミュニティサイトに登録いただくのもリテラシー的に難しく感じられるお客様もいらっしゃいます)。
座談会・インタビュー形式にしたり、ライトなフォーマットを決めたり、簡単にシェアできる工夫を凝らすことがとても大切です。

業界は一緒だが、細かいが大きな違いが無数にある

業界が一緒だから、コミュニティの話題も共通点が多そうでテーマ設定が簡単そう…と思ったら大間違いでした。。
Horizontal SaaSでは、製品の活用法が業種や規模によって大きくは変わらないものが多いように思います。あるいは、そもそもの対象となる業界が広すぎるので、業界や規模で区切ってテーマを設定するある程度の”決め”がしやすいのでは、と推察しています。(想像です、すみません)
KAKEHASHIの場合、業界的にはVerticalとはいえ、ユーザー薬局は個人薬局から数百店舗規模の大型チェーンまで幅広く、法人規模によって登場人物や興味関心が大きく変わったり、門前医療機関ごとに使い方が変わったりします。我々も、1つの業界・業務フローにやたら詳しくなってしまうので、割り切りを意識的にすることがとても難しく、また重要になってきます

でも、そこが面白い!

最近感じた難しさを2つ挙げましたが、こういったところに脳みそをひねって考えたり工夫したりすることは、「寄り添いながらも、引いた目線で考えられる」「心はCS、身体はマーケ(by長橋さん)」なカスタマーマーケティングの力を伸ばすには、とても成長できる環境だなと思います。

また、ユーザーさんの課題感や悩みに深く入りこんで喜んでもらえたり、前述のようなそもそもの職業感に触れるような声を頂いたり、業界を牽引していく薬局経営者の方々のディスカッションに参加できるのは、Vertical SaaSコミュニティならではの醍醐味です!

Vertical SaaSコミュニティをやっている方で共感してくださった方、Horizontal SaaSコミュニティだって同じ課題感もってるよ!という方など、いろんな方と意見交換・情報交換したいなと思っています。ぜひTwitter等でご連絡いただけたら嬉しいです。

MusuViva!の現在地とこれから

KAKEHASHIのユーザーコミュニティは、正式オープンして約半年。今あらためてスタートラインに立ったところ。これから、更にユーザーの皆さん、広く薬局・薬剤師の皆さんにとって、なくてはならない存在になるために、知恵を絞って、手を動かして、汗をかいているところです。

KAKEHASHIは、より速くより遠くまで行くための仲間を募集しています。カスタマーマーケティングチームの募集もまもなく出る予定ですので、ご興味のある方はチェックいただけると嬉しいです!

(ちょっと宣伝)
12/23(木)19:30~の「コミュニティ運営技の共有!コミュニティ勉強会!コミュカル #5」にてお話しさせていただくことになりました。
まだ模索中なので、そこまでバシッと運営技を共有できるわけではないのですが、もしご興味のある方はお申し込みいただけたら嬉しいです。
Peatixでのお申込み
connpassでのお申込み

さいごに

最後に、MusuViva!にご参加くださっているユーザーの皆様、様々お知恵を貸してくださるコミュニティ先駆者の皆様、ともに運営を模索している各社のコミュマネ仲間のみなさま、そしてKAKEHASHIのみんな、本当にいつもありがとうございます!

ぜひ生まれたてのMusuViva!を、これからも見守り一緒に育てていただけますと幸いです!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?