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今日の読者: 「ゆっくり、いそげ」影山知明 「小さな自由」よりも必要な他者とは


そもそも「自分のことは自分で決められる」「まわりから干渉されない」とは、自由ではあったとしてもそれは基本的に自分ひとりの自由ーいわば「小さな自由」とでも呼ぶべきものだ。
それとは別に、他人と共にある自由ー「大きな自由」が構想できないか。他者と関わり合うことで、自分ひとりでは実現できないようなことが実現できるようになる。自分の「利用価値」や「機能性」でなく、「存在そのもの」を受け止めてくれる他者がいることで、素の自分に戻れる場所があるーこうしたことはいずれも、一人である限りは得られない種類の「可能性」だ。

「ゆっくり、いそげ」影山知明

一人で決められることは気楽である。
気楽さの中には他者の責任は伴わないことから、負債感が少ないからである。
一方で一人という自由の中には、自己責任が内包される。そして、何か一人で成し遂げられない壁に当たったときに、自由であったはずの時間に不自由さが生まれてくる。
人は一人では生きていけない。他者、それも自分の「存在そのもの」を受け止めてくれる他者は、小さな自由以上の価値を与えてくれる存在である。


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