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I will never NOT EVER eat a tomato から学ぶ英語術

溢れんばかりの想像力と活力に満ちた、「あぁ…自分にもこんなことあったなぁ」と懐かしい気持ちを誘う少女 Lola。面倒見が良く様々なアイディアで妹の成長を支える兄 Charlie。彼らを遠巻きに見守るご近所さんになったような気分になって顔が綻んだり、いつの間にか大人になってしまった自分が惜しまれたり、楽しくて心が揺れる Charlie and Lola シリーズ。

英国発の人気絵本の第1作目は、あれも食べないこれも食べたくないとうるさい Lola の食わず嫌いを、兄 Charlie があれやこれやのぶっ飛んだ発想を駆使して直そうと試みるショートストーリーです。



This is difficult because she is a very fussy eater.

fussy eater
食わず嫌い、偏食な人

fussy は「気難しい」「口うるさい」「神経質な」といった意味合いの語。fussy eater は、食べ物の選り好みが激しい、いわゆる「食わず嫌い(な人)」を指してよく用いられる表現です。


Lola won't eat carrots, of course.

will do
〜してあげる/くれる

様々な用法がある will は、「要望や必要などに応じて〜する」という意思表明を表すこともできます。won’t(= will not)なら、「〜してあげない/くれない」ということになります。


And I absolutely will never not ever eat tomatoes.

will never not ever do
なにがあっても決して〜しない

will never だけ、または will not ever だけでも上に示したような意味合いになるのですが、こうして重ねることで、気持ちの強さが表れます。さらに absolutely も加わって、Lola の断固たる意志が伝わってきます。


That is lucky because we are not having any of those things.

That is ~
(相手の話を受けて)それは〜だね

英語に限らず会話一般において、相槌を打つなり、なにかしらの反応を相手に示すことはとても大切ですよね。さもないと、無愛想、コミュニケーション下手、なにを考えてるかわからないといった印象を人に与えてしまいます。
That is ~ で簡単な感想を返すのは、会話を弾ませる、とても良い方法の一つです。


Then why are those carrots there, Charlie?

Then
(相手の話を受けて)それなら、だとしたら、じゃあ

いわゆる「つなぎ表現」ですね。多くの場合、「だとしたら〜なの?」と、相手の話から生じた疑問をぶつける際に用います。つなぎ表現を積極的に使うと、英語が話せてる実感が湧いてきますよ。


Well, I might just try one if they’re all the way from Jupiter.

Well, I might just do
う〜ん…それじゃちょっと〜してもいいかな

well も then のようなつなぎ表現の一つで、いろんな場面で使えます。ためらいながらしぶしぶ相手に同意したり、断言を避けたり、相手の様子を窺いながら言葉を選んだりする場合にも用いることができます。
「〜かもしれない」という意味合いで可能性を示唆する might は、相手の言い分や周囲の状況を受けて、しぶしぶ、あるいは遠慮気味に、何かをする気になったことを言い表す場合にも用いることができます。前述の will より弱い、微妙な心持ちの意志表明と考えると良いでしょう。
ここでの just は、ためらう気持ちをより強調する役割を果たしています。


Well, maybe I’ll nibble just one or two.

nibble sth
〜を口にしてみる

おそるおそる、あるいは遠慮がちに、ちょっぴりだけかじるようにして食べる動作を表します。
最終的には同じ「食べる」でも、eat とは様子が違いますね。このように、同じような行為や動作でも、ちょっとした違いによって別な単語が用意されているという例が、英語にはかなりあります。ややこしいけど面白いですね。


I will not eat potato so don’t even try, not even mashed.

Don’t even try.
やるだけ無駄だよ。

even については、なにかを強調するときに使う、「〜さえ、〜すら」と習ったことがあるかもしれませんが、その覚え方だと、なかなか上手く使いこなせるようになりません。
これについてはいずれ詳しい記事を書こうと思っています。とりあえずここでは、直訳すると「試そうとさえするな」の文章が、意訳すると「やるだけ無駄だよ」になることから、even のニュアンスをほんの少しでも感じ取ってもらえたら十分です。


People often think that but no, this is cloud fluff from the pointiest peak of Mount Fuji.

People often think that but no,
そう思われがちだけどそうじゃなくて、…

世間一般のよくある考えや認識について、実はそうじゃないと反論したい時に使えるフレーズです。
これを「人々はしばしばそのように考えるが、しかし…」と直訳してしまうと、とても日常的に使える表現とは思えませんよね。僕ら日本人が陥りがちな英語学習の落とし穴です。ネイティヴ(しかも子供)が実際に使っている言葉なのだから、もし訳しながら英語を学ぶなら、場面にふさわしい言葉を選びましょう。


I would never eat a fish stick.

would never do
〜するなんて考えたくもない

will never / will not ever と同じく「決して〜しない」という意味合いですが、will を would にすると、「そんなこと想像すらしたくない、ムリ」というニュアンスが含まれます。


“I think I’ve had them before,” Lola said, gobbling.

gobble
がつがつ食べる、掻き込む

nibble に続いて「食べる」のバリエーションが現れました。-bble の部分は同じなのに、意味は真逆です。面白いと思いませんか?


Charlie, will you pass me one of those?

And I couldn’t believe my eyes because guess what she was pointing at — the tomatoes.

guess what
なんと、実はさ

話をこれから切り出したり、前置きとして挿入的に用いることで、「これから話すのは驚くべきことだよ」という思いを乗せることができるフレーズです。
「ちょっと聞いてよ」みたいなニュアンスで、他愛もないことをあえて大げさに言ったり、冗談を言ったり、話題の大小に関係なく、相手の注意を引くために使ったりもします。


Yes, of course, moonsquirters are my favourite.

moonsquirter
まんげつぶちゅっと(※木坂涼さん翻訳の日本語版より)

これは Lola が Charlie の作り話に乗っかって適当に考えた創造物(本当はトマト)で、こんな英単語はもともと存在しません。ところが、Charlie and Lola シリーズの人気により、トマトの別名として広く認知されています。検索すると、子供向けにおすすめのトマト料理レシピがたくさんヒットするはずですよ。
squirt には「ほとばしる、噴出する」という意味があります。トマトは囓ると「なかみがぶちゅっとふきだす」ものという認識から、Lola は頑張って連想して編み出しんたでしょうね。兄 Charlie への対抗心が垣間見えて、微笑ましいです。



物語とは言え、子供の頭の中てすごい。これくらい自由で開かれた心で、英語と向き合えたらいいですね。そう思わせてくれる作品…

I wil NOT ever NEVER eat a tomato
Featuring Charlie and Lola
by Loren Child

…からの Ligohack でした。

見開き1面から1語句という割合で抜粋しましたが、authentic material なのだから、当然「使える英語表現」が、ほんの短い物語ながらもいっぱい詰まっています。もし気になったら、ぜひ入手して、子供心に帰って読んでみてください。

英語で本を1冊読み切ることができれば、自分の英語力に大きな自信を得ることができます。とは言っても、洋書を読むのはハードルが高いと感じている人も少なくはないはず。読んでいるうちに、疲れて諦めてしまったという人もいるでしょう。

絵本などの児童文学は、そんな方々にうってつけの教材です。

それでは、I wish you happy reading and learning!


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