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アートの良さも苦しみも、ブルーピリオドが教えてくれた

アートってなんだろう?
どう見て、感じるのが正解?

今までもゴッホやモネを見に、ときどき美術館へ行く程度にアートを素敵だと思う気持ちや憧れはあったけど、親しみは持てずにいた。

2022年の夏、たまたま寺田倉庫G1で開催中の展示会、「ブルーピリオド展~アートって、才能か?~」に立ち寄り、そこからアートに対しての見方がガラリと変わった。

入口をくぐれば、森先輩がアニメの中で描いていた天使の絵が実寸大のF100号で目に飛び込んで来る。

初めて矢虎が先輩の絵を見た時のように息を吞んでしまった。

これは、ブルーピリオドの世界に入り込み、主人公の追体験ができる、正に夢のような展覧会だった。

森先輩の天使の絵
©山口つばさ/講談社/ブルーピリオド展製作委員会


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1.散りばめられた面白い仕掛け

なんと言っても感動したのは、主人公・矢虎が絵を好きになっていく過程を追体験できる仕掛けがたくさん散りばめられていたこと。

まず入口では、藝大の油画科の受験票(もちろん氏名欄には矢虎の名前)を渡され、物語の中の時系列順に登場した絵が並ぶ。
これだけでワクワクが止まらない。

そして、矢虎が最初に描いた「早朝の渋谷」の絵は、大きな真っ白の壁にプロジェクターで再現されていた。

矢虎が感じたように絵の中に入り込んでしまうような、飲み込まれるような感覚があって、ぜひ行って体験してほしい見所のひとつ。

2.絵画ってどう観ればいいの?

展覧会の最初の方では、橋田くんが案内役となって、絵画の鑑賞の方法についてレクチャーを受けながら何点か実際に絵を観く流れになっている。

©山口つばさ/講談社/ブルーピリオド展製作委員会

鑑賞の方法なんて言うと難しく聞こえるかもしれないけれど、自分が絵を見た時に感じたことを、そのまま大事にすればOK。例えば「この絵はリビングに飾ったらいい感じかも」とか。

もちろん文化や時事的な背景を知っていれば見方は広がるけど、それを知ってなきゃいけないなんてこともない。ましてや正解もないのがアート。
見る人によって感想が変わることもアートの面白さだと思う。

絵画の見方ってもっと自由でいいんです。

来場者が貼れる感想の付箋
©山口つばさ/講談社/ブルーピリオド展製作委員会

上の写真にたくさん張られた付箋には、訪れた人達の感想が書かれている。もちろん一人ひとり違って、その中でも「自分と同じこと思ってる!」とか、「こんな見方もあるのか」という発見ができて楽しかった。

3.憧れの石膏像デッサンを体験

「縁」とキャラ大石膏像デッサンブース
©山口つばさ/講談社/ブルーピリオド展製作委員会

展覧会の中盤には、矢虎が描いた「縁」の作品が大きく飾られ、その横にはキャラの石膏像がずらりと並んでる圧巻の風景。

実は平日に限り、道具をお借りしてデッサン体験をする事ができるらしい。
ちょうど私が行った時は平日だったので、デッサンなんてした事がなかったけど、せっかくなので体験してきました。
(ブルーピリオド読者は、きっと一度は石膏像デッサンに憧れるんじゃないでしょうか…)

描いた絵は会場に飾ってもらうことも、持って帰ることもできる。

恥ずかしさと戦って描いた(デッサンとは呼べない)絵を、しっかり輪ゴムで丸めて持って帰ってきた。

デッサンの横のコーナーには、藝大1次試験のときのみんなの自画像がずらりと並ぶ。八虎の割れた鏡がしっかり再現されていて、さすが細かいなと感動。

藝大1次試験の自画像
©山口つばさ/講談社/ブルーピリオド展製作委員会

まだまだここでは紹介しきれないほど、素敵な作品もたくさん展示されていたので、ぜひ実際に展覧会に足を運んでブルーピリオドの世界に没入してみてほしい。



言うまでもなく、展覧会に行った翌日にはブルーピリオドの最新刊まで買い占めてファンになり、絵画教室へ通い、ときには1日に展示を2個はしごするほどアートにハマるきっかけとなった。


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