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脚本『アタシたちには明日しかない』(下)

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緊急事態宣言が全国に拡大になりましたね。
本当に早期の収束を願うばかりです。
本日、劇団☆春夏秋冬『艶姿河内六人娘』の座組一同からのメッセージ動画が公開されました。

先が見えない今だからこそ、六人娘たちみたいに前を向いて生きていけたら・・・と思ってます。
とはいえ、ずっと前向きで頑張ろうとしたら、疲れちゃいますからね。
ポジティブになれない時は少し休んでもいい。
少し休んでまた動き出せばいい。
そんな時の箸休めに、このノートもご利用頂ければと思っております。

本日で『アタシたちには明日しかない』も完結です。
(上)はこちら↓

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個別で読むより、まとめてお得に読んで頂けるマガジンがお勧めです。

では、(下)参りましょうか。

#9

ジャックとケイト。ギブソン。サリー、スージー、ソニア。キャシー。マーサ、そしてフランク。
構図としては話す男たちと見守る女たち。

ジャック 「この町を出てゆく、だと」
フランク 「ああ」
ギブソン 「どうして」
フランク 「ここ数日、俺なりにジェームス・フォーサイスについて洗い直してみた。奴が軍人から政治家に転身した時期と、クレイジー・ジョー・ギャングが勢力を広げていった時期とは恐ろしいほどに一致する。おまけに奴の支持地域とクレイジー・ジョー・ギャングの勢力範囲もほぼ一緒。調べれば調べるほどに奴の疑いは濃くなる一方だ」
ギブソン 「それが出て行くこととどう」
フランク 「明日の晩、ジェームス・フォーサイスの主催するパーティが行われる。そこに、潜入する」
一同 「え・・・」
フランク 「そこで、奴の正体を見極めるつもりだ。・・・と言っても、実際に確かめるのは俺じゃなくて彼女たちだが。」
一同 「え?」
フランク 「下手をすりゃ俺も彼女たちも生きて帰っては来れないかもしれない。いや、それだけじゃない。もしかしたら町のみんなにまで迷惑をかけることになるかと思うと・・・」
ジャック 「なるほど。だから、この町との縁を切っておく、ということか」
フランク 「ああ」
ギブソン 「確かに。賢明な策かもしれないな」
ジャック 「ああ・・・」
ケイト 「ああ、もう!」

全員、振り返る。

ケイト 「イライラする!何よ三人揃ってかしこまった顔しちゃって。ロビンの言う通りね。この町に男はいないの?」
三人 「え・・・」
ケイト 「何が町のみんなに迷惑をかけるよ!何がこの町と縁を切っておくよ!それのどこが賢明な策なのよ!」
ジャック 「ケイト?」
ソニア 「そうね、そのイライラ、アタシもよく分かる」
サリー 「アタシも」
スージー 「アタシも」
三人 「え?」
ケイト 「子供の頃からの仲間なんでしょ。その仲間が命がけで潜入するって時に、アンタって人は他人のふりをするわけ?わが夫ながら見損なったわ」
ジャック 「いや、俺は市長としてみんなのことを考えて・・・」
ケイト 「みんなのせいにしない!!」
ジャック 「はい」
ソニア 「(フランクに)アンタもアンタよ。自分が一番危険なわけでもないくせに、何をカッコつけてんのよ。逆でしょ、逆!自分に何かあったらあの子たちを守ってやってほしい、じゃないの?」
サリー・スージー「そうよ!」
フランク 「いや、君たちはこの前・・・」
ソニア 「言い訳しない!そんなんだからね、奥さんにも逃げられるのよ!」
ギブソン 「それは関係ないんじゃ・・・」
サリー・スージー「関係なくない!」
ギブソン 「アーメン」
キャシー 「つまり、みんなクレイジー・ジョー・ギャングには腹が立ってるってことよね」
女たち 「当たり前よ!」
ジャック 「それならそうと最初から言ってくれれば・・・」
ケイト 「ねえ、あなた。なんで俺に命を預けてくれって言ってくれないの?何の為の市長なの?何の為の夫婦なの?・・・みんな不安なのよ。今日よりも明日が悪くなることが恐いの。でも、今日よりも幸せな明日を作るのがあなたの仕事でしょ?それを信じて支えるのがアタシの役割でしょ?」
ジャック 「ケイト・・・」
ケイト 「アタシは、あの子たちみたいに後先考えずに突っ走ることは出来ないけれど、あなたが一緒に死んでくれって言うなら、その覚悟はするわ」
ジャック 「・・・わかった。フランク、存分にやってきてくれ。俺たちのことは気にするな」
フランク 「ああ」
ソニア 「やるからにはちゃんと生きて帰りなさいよ。アンタも、あの子たちも」
サリー 「飲み代のツケもまだ溜まってるわ」
ギブソン 「いっそのこと帰って来れない方が幸せかもしれんな」
スージー 「はぁ?」
ギブソン 「神のご加護を」
ソニア 「さあ、そうと決まれば準備準備」
フランク 「準備?」
ソニア 「そうよ、もしアンタが失敗して町が襲われた時の為に、金目のものは全部場所を移しておくわ」
フランク 「ついさっきと言ってることが真逆じゃあ・・・」
ソニア 「念のためよ、念のため」
フランク 「敵わないな(苦笑)」

笑い。
女たち、ワイワイ言いながら去る。
マーサも去ろうとする。

ジャック 「マーサ。マーサは・・・」
マーサ 「アタシは、この前も言ったわ。のんびり店をやっていければそれでいい」
ジャック 「そうか」

マーサ、去る。

フランク 「結局俺たちは女たちの掌の上、か」
ギブソン 「ああ」
ジャック 「だがそれも、悪い気はしない」
フランク 「そうだな」

三人、顔を見合せて笑う。

◇  ◇  ◇

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