超めんどくさがり人間、大葉の苗をもらって家庭菜園をはじめる
突然だが、私は自他ともに認めるめんどくさがり人間である。
とにかくめんどくさいことはしたくないし、体力を温存するため、できるだけ面倒な作業には取り組みたくない。
おまけに忘れっぽいので、毎日なにかに取り組むことがとても苦手だ。
猫にご飯をあげ忘れてニャウニャウと抗議され、お米を研いだものの炊飯器のスイッチを入れ忘れたこともある。
中でも、植物の世話は最も苦手とする作業の1つだ。
小学生のときには学校から持って帰ってきたトマトを枯らしかけ、家族に頼まれた鉢植えの水やりを忘れ、勤務先の観葉植物には辞めるまで一度も水をやらなかった。
猫はご飯をあげなかったら怒るが、植物は残念ながら怒ったり鳴いたりはしてくれない。
私が水をやらなければ、命が終わってしまう。
それがとても恐ろしくて、いつしか植物を育てることに苦手意識を感じる様になってしまった。
そんな私が、そんな私が!植物を、しかも食べられるものを育てることになるなんて。
いや、正直に言えば、家庭菜園への憧れはあった。ちょっと料理に足す大葉やトマトなんかを庭へ出て収穫して、洗ってすぐ食べられたら、すごく素敵だな。とは思っていた。
でも植物を育てるのは苦手だし、何より虫を退治するのが嫌だ。
そんな気持ちから、ベランダなどで頑張って野菜を育てている人の写真を見たり、SNSを覗いたりするだけに留めていた。
ところがある日。ひょんなきっかけから、私が栽培する側になってしまった。
それは、ベランダ栽培をしている知人の家を訪れたときのことだ。
その人はマンションの狭いベランダでトマト・きゅうり・ゴーヤなど様々な野菜を栽培していて、昨年はなんとスイカまで育てていた。
また料理が大変お上手な方でもあり、ちょっとベランダへ出て、収穫したばかりの大葉とトマトを料理の盛り付けに使う様子に、ひどく衝撃を受けた。
「都会にいながら、とれたての大葉とトマトを食べられるなんて!」と、感動したのである。
そんなこんなで家庭菜園に興味を持ち、その場で「大葉の苗はどこに売っているの?」と聞いたところ、それなら1鉢あげる!と、1つもらってしまった。
正直に言って、育てる自信がなかった。
もらった大葉は小さなプランターの中でひょろひょろ便りなさげに立っていて、少しでも水やりを忘れたら枯れてしまいそうだった。
「これは枯らしたら大変だ!」そう思った私は、毎回せっせと水をやり続けることになる。
やがて大葉は日を浴びぐんぐんと成長し、気がつけば家族が買ってきた花々の中で、観葉植物と見間違える程に生い茂るようになった。
ある日、だいぶ大葉が生い茂ってきたので、数枚食べてみることにした。
ベランダ産の大葉は、売っているもののように大きくないし、形も不揃いだ。しかし、口に入れるとふわりと大葉独特の香りが鼻に抜け、ひどく爽やかな気持ちになった。
気がつけば、大葉をもらってから1ヶ月近くが経とうとしている。
大葉は順調に生い茂り、昨日はおにぎりに、今日はそうめんの薬味になった。
たよりなくひょろっとしていた生き物は、今では昔から我が家にいたかのような存在感を発揮している。
庭に大葉があるって、ちょっとした野菜を収穫してすぐに食べられるって、とても楽しい。なんだかそう感じずにはいられなかった。
ちなみに今の所、虫は発生していない。
虫が来そうでなかなか他の野菜にチャレンジできないが、次はハーブくらいは植えてみたいと考えている。
そうめんの後ろに写っているのは、甘くて美味しい九州のめんつゆ。
九州に住んでいながら一回も買ったことがなく、たまたまTwitterで見かけ、一度買ってみてからファンになった。
とにかく甘いがそうめんに最適なので、いつものめんつゆに飽きた人はぜひ試してみて欲しい。
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