Uber_-_Google_Play_のアプリ

「Uber革命の真実」が魅せるUberの凄さと今後

目次

1. 「Uber革命の真実」の概要
2. ウーバーの今後の展開
3. まとめ


Uber(以下、ウーバー)を知らない人はほとんどいないと思います。そんなウーバーがどのような背景で課題を解決するために生まれたか興味があり、「Uber革命の真実」を読んでみました。


1. 「Uber革命の真実」の概要

ウーバーが生まれた訳

ウーバーは、タクシー捕まらない上に高いという課題を解決するために生まれてきたサービスです。特にサービスが生まれるきっかけは、米国のロサンゼルスでの展開を意識していました。タクシーの質・量共に不足していることから、それを解決するためのアイデアです。

ウーバーの誕生と成長は、スマホの普及、カーナビ技術とその連動型アプリのスマホ標準実装、そのリアルタイム検索の実現、キャッシュレス化の拡大などが重なったことで、サービスが実現し、急速に成長することができました。

なお、過去同様のサービスが生まれては消えを繰り返しているようです。やはりタイミングは重要ですね。

また、ウーバーはタクシー業界はリプレイスの段階ではなく、ITによる業界活性化である、という点がタクシー・ライドシェア業界がまだまだ成長余力があるところなのだと感じました。すなわちタクシー業界の向上に繋がるITの発展段階だということです。タクシーなんていらないというよりはタクシーがもっと便利になるための施策が散りばめられているというのはなるほど、と思いました。

ウーバーのサービスであるライドシェアリングには大きく2種類あり、ウーバーは両方提供しています。

・報酬目的のライドシェア:収入を得るために利用者を乗せる
・「カープール」サービス:運転予定のある者に同行して、ガソリン代などのコストを利用者とシェアする

私自身Grabは利用したことがありましたが、ウーバーは利用したことなかったのでウーバーの仕組みやサービスをみてライドシェアの仕組みに関心しました。

・乗客は車のクラスを選択する
・ドライバーの乗車拒否を防止するためにドライバーには乗客の評価と迎車までの距離、リクエストしているサービスの種類しか伝えられない
・価格はダイナミック・プライシングを採用

アプリのデザインも考え抜かれており、感覚的に利用できるようなサービスやアプリであることを目指していることは言うまでもありません。

なお、蛇足になりますが、ウーバー誕生のきっかけとなったのが007の『カジノ・ロワイヤル』のワンシーンだそうです。機会があればご覧になってみてください。何回もみたことありましたが、全くピンと来なかった自分が悲しいです。

過去、インターネットビジネスの王道は、あくまでもネット上に留まり、従来存在した広告収益モデルをベースとするものであり、競争を避ける気運が美学だったようです。そのような中、ウーバーは既存産業に殴り込んで、市場から広告とは全く異なるお金を獲得するに至りました。しかし、完全に殴り込みになったため、いろんな恨みを買うことにはなってしまいましたが。

また、当本にはドライバー視点での話が多数あります。ドライバーになる方法や実働、評価やペナルティについてなど色々仕組みが導入されていて面白いと思いました。もしウーバーのドライバーをやってみたい人がいたら読んでみると良いと思います。あまりやっている人の話を聞くことはなかったので色々発見や課題、悩みが散見されました。

日本のページもあるようです。

これだけみるとすごく魅力的に感じますが、ドライバーのところはぜひ読んで見てください。


ウーバーの課題

ウーバーにとって法的リスクは切っても切り離せない問題です。むしろそちらの方が目立つ傾向あります。既存産業や法規制との調和、質の担保。過去類を見ない成長を見せている一方で類を見ない法規制にぶつかっている事例が多数存在しています。

帳簿上では明らかに成長が認められ、発展の可能性が垣間見えたとしても、それを一発で台無しにしてしまうほどの法的リスクを抱えている」、と考えているという文章があるのですが、まさにと思いました。また、車の保有インセンティブや購入需要を減少させることによる製造業への妬み、タクシー運転手という雇用を低下させる要因になろうとしている。


2. ウーバーの今後展開

ウーバーは以下のように将来に向けて取り組んでおります。本書にも自動運転やUberAirにも展開を広げようとしており、その取り組みの記載があります。例えば、自動運転ですが、ウーバーの強みはドライバーとその供給量が強みであり、自動運転が発展するとその強みがなくなる恐れがあります。それにも関わらず、その弱点を補う上で、先行優位性を保つ観点から、自社のサービスを失う可能性を高めつつ自動運転に取り組んでいるのです。

3. まとめ

ウーバーの前提として

国土が広大で日本のように公共交通機関が発展していないアメリカでは、仕事・プライベート問わず車が必要な状態です。そのため、日本に置き換えてみると地方では車は1家に1台、都市はそれなりに交通機関が発展していると言える中で、どのくらい必要になるか、というのは考える必要があるかなと思いました。

一方で昨今所有から利用への流れが出ていることから、ウーバーの出現は現在に促した流れなのではないかと考えています。

私が思うウーバーは

テクノロジー×シェアリング・エコノミー×評価

の掛け算によるサービスなんだなと思いました。また一方でそれを上回って利便性により、評価が凌駕されることがあるため、星が低いことによるデメリットをカバーできるサービスでチャンスがあります。そのチャンスを活かしきれないとウーバーを利用することができなくなるという仕組みで本当によくできていると感じます。CtoCのお手本のようなサービスです。

一方で問題も散見されます。雇用の問題(それで生活している人からすると死活問題だ)、サービスの問題(あくまでCtoCのサービスであり、一定の抑止力はあるものの、品質はお互いに保証されているものではない)については常につきまといます。

個人的にはタクシーを利用することがありますが、都内から離れたところに移動することがあり、その時に

・現金での支払いのみの時がある
・金額が目的地に到着するまでわからない
・そもそも近くにいるなら待ち合わせできるなど容易に捕まえたい

というような需要はあり、ウーバーみたいなサービスは助かります。

ただ、私としての極論ですが、


タクシーでもウーバーでもいい


というのが正直なところです。


上記点がバランスよく満たせればなんでもいいので、切磋琢磨した改善されたサービスを所望します。

ということでぜひ読んでみてください!


おまけ

SaaS型のビジネスでもヒントになるかもと思ったのがこちらの文章です。

ウーバーからすると乗客も大事ですが、競合サービスと優秀な運転手の囲みこみで競っているという点で、運転手も重要な顧客なのです。

ニワトリが先か卵が先か的な問題の解決の糸口があるのではないかと思いました。ウーバー(プラットホーム)で頼めば金額にブレがあるかもしれませんが、間違いなく捕まる、という安心感は実は金額以上の価値がある可能性があるということではないでしょうか。そのため、マッチング系のサービスではこの点に留意したサービス設計を検討した方がいいと思いました。どちらもサービスの利用者でどちらの利用者が将来価値を産むのか、お金を払っているのはユーザーAでもお金を起こしているのはユーザーB、という視点だけは忘れてはいけないし、何が本質的に解決されている問題なのかもきちんと考える必要がある、ということを改めて感じました。

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