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「上場すること」を理解する

「上場したい」「上場を目指す」という会社を相手に仕事をしているわけですが、僕からすぐ「よし、行こう!」といい、契約成立に至ることはなく、なぜするか、本当にするのか、を問います。

「VCから出資を受けたので仕方がない」「みんなが目指すから」「まず目指すところはそこだと思ったから」などと言う方もいて、心配になることもしばしばあります。そんなときには上場した場合のメリット・デメリットを伝え、それでもやる覚悟があるかを自分で冷静に考えていただき、それでもいく!と言う意思表示と覚悟、そして一種の諦めみたいなものを感じてもらって初めて準備支援を始めます。


上場のメリット

創業者や株式・SO保有者の利益の実現が容易になる
大手との取引がしやすくなる
借入の社長保証が不要にできる
従業員はクレカやローンが通りやすくなる
予算コミットへのモチベーションが高まる
調達方法の選択肢が高まる ※流通量や企業価値などにより異なるので注意

上場のデメリット

会社への応募者の質が変化する
組織が変化する/したことを感じる
自由に決めることができる範囲が制限され、一定のルールに基づいて運用される必要がある。

上場する上での条件・制約

監査、IRなどの費用増と投資家対応など非上場時ではなかった業務が発生する
情報管理の徹底を求められる
予算の達成を株主から強く求められ、儲けないけどやりたい事業を自由に行うことはしづらくなる
上場維持に関連の支払や監査法人への支払など追加の固定費が生じる。
公的な立場になることを意識し、社会の公器として適切な運営が求められる

デメリットに上記にある「上場する上での条件・制約」に書いてあることが挙げられますが、そもそも上場すると言うことはその条件・制約が前提で上場すると言うオプションを行使できるわけなのでこう考えた方が適切なのではないかと考えてます。

また、法律を守らないといけないのは非上場・上場関係ないのですが、それが社外から厳しく監視されない立場とされる立場では大きく状況が異なります。適切な運営を心がけ、グレーを良しとせず正しい方向に向かうように調整・対応していくことが求められていきます。

まとめ

選択肢を広げる上で上場は一つの手段と言うのはその通りで、その手段・オプションを使うために様々な制約や条件が発生します。そのため、既存の延長で使えるものではなく、会社の管理を従来よりも厳格にすることや公開企業として株主へ情報を開示することなどが必要になり、それを適切に行うためにそれ相応の費用や対応が必要になります。上場はいい面がもちろんあるし、事業の拡大にも貢献すると思われますが、負担も当然増えるので、そこをきちんと考え、覚悟した上で行うことが重要です。

とりあえず、自由にやりたいだけなら上場はしない方がお互いにとって幸せかなと思います。

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