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水素水について計算してみた件

「水素水」ブームのようですね。

これについて、効果があるとか、効果がないとか、そういった意見は特にありません。というか興味がない。ただ、ネット上で伊藤園の「水素水」が騒がれていたので、サイトを見てたら気になったので、それについて書いてみる。というのも、高校の理科教員としてとても気になる部分を見つけてしまったからである。

サイト内に

「水素水は1本あたり 0.12mg ~ 0.32mg の水素が溶けている」

ということが書かれている。水素は常温では気体である。これだと、どれぐらいの気体なのかわかりにくいので、体積で換算するとどうなるのだろうか。ということを、高校レヴェルの化学で計算する。

水素水に溶けている水素の最小の質量は、0.12 mg ということなので、1000で割るとグラムで表記できるので、計算すると「0.12÷1000=0.00012 g」ということになる。

体積に換算するためには、気体の標準状態という知識が必要である。1.0 molの物質量であれば 0 ℃ 1 気圧の条件で「 22.4 L 」の体積になるというものだ。難しいことは、割愛するので、ここでは、「水素は 1 mol の物質量のときは 2.0 g の質量があり、22.4 L の体積になる」とだけわかっていていただければよいことにする。

水素がもし 2.0 g あったとすれば、体積が 22.4 L である。水素水には、先に計算したように、0.00012 g が含まれているようなので、比率で計算すると2.0:22.4=0.00012:X より X=0.001344 Lということになる。値が小さいので1000倍してmLに換算すると 1.344 mL という体積である。

イメージがわかないかもしれないので、cm^3(立方センチメートル)に換算すると、1.344 cm^3と表される。この体積は、1辺が 1.1 cm の立方体とほぼ同じ大きさである。

水素水に溶けている水素量が最大である場合は、0.32 mg と書かれているので、約2.67倍の質量である。体積は質量と比例関係にあるので、1.344 の2.67倍で、3.58 cm^3 と算出される。この体積は、1辺が 1.5 cm の立方体とほぼ同じ大きさである。

私としては、1辺が 1.1 ~ 1.5 cm の立方体程度に収まるサイズの気体が、身体に影響を与えるとは考えられない。しかも、同じサイト内には無味無臭無色で無害としているので、ごく少量であるのだから、何の影響も引き起こさないただの水と何が違うのだろうかと感じてしまう。たぶんイメージがいいからなのか、フツーの水より高く売っているようなので、少し疑問ではある。買う側も計算してみればわかることだし、高校化学で計算できる内容なので、客観的に数字を見極めて考えればいいのではないかとも思う。

これぐらいの水素の体積の量が必要であれば、サンポールのようなトイレの洗剤にアルミニウムを投入したら水素が発生する(危ないからやっちゃだめですが)ので、それを吸っているのと何か違うのかとも感じてしまうのだが、「そこまで考える人いませんよ」とか言われそうなんで、この辺にしておく。

水素が健康に良い影響を与えるとか、違うとか、そんなことより前に、こんな少量でなんか変化するの?と計算すると疑問がわくわけで、妄信的に信じるとかイメージだけを信じるってことが危険であり、客観視できるようになるためにも学びは必要だなと・・・教える側としても気にしないといけませんね。

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