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花火を見るとき何を想う?

花火を見るとき何を想う?

「おお」とうっかり声が出てしまうほどの
勢いのある花火だった。

私はなかなか花火を「綺麗だな」と思えない。
いや、綺麗なんです。花火は。
そうではなくて、
この一発にいくらかかっているんだろうとか、
ここに投資する人は何を考えているんだろうとか、
帰りの電車は混むんだろうなとか、
さっきからずっと空を飛んでいるヘリコプターは落ちないのかしらとか、
花火が始まったころから
もう次がフィナーレかなとか思っている私は、
花火を「綺麗だな」と思うことができない。

なぜ人は花火を上げるんだろう。
そんなことを考えて花火を見ているくらいだから、
私は今、人で溢れかえっている
お祭り騒ぎの中でそれを見ているわけではない。
都会のちょっと背の高いビジネスホテルの廊下で、
知らないビジネスマンと会話もなしに
ぼーっと花火を見つめている。
後ろでひっきりなしに
エレベーターが開いたり閉まったりするものだから、
窓に反射して花火越しに見える
エレベーターから出入りする人の表情に
気がそれていたりする。

それでも部屋から出て、
花火を一目見ようと動いてしまう。
花火は綺麗なんです。
でもできればこうごちゃごちゃと考えずに、
「綺麗だなー」と頭の中も綺麗な状態で
花火を見たいなぁなんて思う。
でももしかするとそうしたら
花火は本当に綺麗なものではなくなってしまうのかもね。

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