見出し画像

フィリピン旅行記② 子供と警察

ポケモンGOで電池を使い果たした僕は、バッテリーに餓えるゾンビとして中部国際空港を徘徊していた。
幸い、 チェックインカウンター横にあるベンチが窓際にコンセントを備えているのを発見。
出発まではまだ2時間ほどあったため、充電しながら座って時間を潰すことにした。

iPadを触りながら時間を潰すこと30分程。
急に2歳ぐらいの子供がヨタヨタと自分の足に倒れ込んでくる。
うぉっ!と思ったものの、じっと子どもの顔見つめることしかできなかった。
こういう時、瞬発的に子どもを可愛がる技術がある人は羨ましい。
『ジョーカー』のように顔で戯けて笑わせてあげたいのに。
僕がそんなことを考えているとも露知らず、子どもはヨタヨタと笑いながら母親の元へと戻っていった。

母親は僕の正面の席に座っていた。
母親は中東系の若い綺麗な人でうぉっ!と思ったものの表情にはださなかった。
気づいたら自分の周りの5~6席は子どもと母親の親族で埋まっていた。

いつの間に囲まれていたんだ...。
家族が談笑している中、一人でiPadを触っているのも気まずいので席を立とうとした時、警察が家族に向かって声をかけた。

「こんにちは、在留証明書をお持ちですか?」

祖母は日本語を喋れないようだった。
叔母のような人(といっても大学生ぐらい)は「私は持っているんですけど今車に置いてきてしまって…」と返答していた。

この後はどうなったかは知らない。
気まずいながら、家族の間を抜けて僕は席を立ったからだ。
全く関係のない家族だが、捨てていくような罪悪感を覚えた。

法律は詳しく分からないが、国籍が異なる風貌をしていると常に「証明書」を持たなければいけない生活なのだろうか。
"資格"を意識していなければいけないのだろうか。
今、働いていない自分はある種の資格を失っている。

「こんにちは、勤務証明書をお持ちですか?」

と聞かれるかと思うとスッと体の内側が冷たくなる。
そんな心配を忘れさせてくれるフィリピンに向けた搭乗口へと向かった。

すごく気軽にサポートして頂いてもこちらとしては全く問題ないです!ありがとうございます!