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野やぎのエッセイ

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エッセイ・創作エッセイをまとめました。
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#子育て

小学生になる息子と電車で12時間、行って帰って見つけた旅の終わり。

「とにかく、とおくにいきたい!」 彼は、元気よく言い放った。 本気か? 本気だった。 + この春、小学生になる長男に「春休みどこいきたい?」と聞いたら、こんな答えが返ってきた。 「電車に乗って、とにかく遠くに行きたい」と。 彼は鉄道大好きキッズ、いわゆる子鉄である。それも、乗り鉄マシマシだ。 以前、実家に帰省するときに羽田空港までのルートを任せてみたら、1時間20分の道のりに4時間30分かかった。なんでだ。わからぬ。だが、そこに理由はない。好きは超特急なのだ。とに

食卓ぜんぶピンクにする。

3歳、ごはんを食べない。 いや、正確に言えばごはんしか食べないのだ。お米、パン、麺と炭水化物をこよなく愛し、愛され、それ以外は断固受け付けない。 「〇〇くん、おにく、だいじょぶです」 野菜やお肉は、この時期特有の丁寧な日本語とともに流暢にお断りされ、きれいに避けて食べている。もはやスゴ技。ときどーーーーき、ほんとに気が向いたときに試すように口に入れてみても、すぐに炭水化物沼に帰ってしまう。炭水化物……恐ろしい子……! 好きメニュー(カレーとか)や間食、飲み物でも栄養取

検証:ダメって言わない24時。

子育ては、機嫌が大事だ。至上の命題といってもいい。機嫌よく過ごすのは、なによりも優先される。 それもお父さんお母さん・面倒見る側の人の機嫌だ。子どもを好き勝手していいってことじゃない。こっち側の機嫌が、そのまま子どもの感情に直結するからだ。みんなで機嫌よく過ごすというのは、安心安全たのしいライフの積み重ねに必要です。 でも、子どもって1ミリも止まってない。 えっ?なんで?なにそれ?のフルコンボを秒で繰り出してくるバイタリティ。暴走特急が服着て常にBダッシュ。全然関係ない

勇気のはなし。

「いっしょにあ〜そ〜ぼ〜!!!」 沈黙。 その言葉は受け取られず、宙に浮いたまま。 数日経った今でも、胸がきゅうっとなる。 + 勇気とは、勇ましい気持ちのことである。 これまでたくさんの勇気に出会い、感動し、かっこいいなぁ……と震えてきた。 大魔王に対峙するとき。 スーパーヒーローの宿命を背負ったもの。 圧倒的不利でもヴィランに背を向けないやつ。 すごいやつの数々の勇気に心震えてきたけれど、現実の画面の外にはスライムすらいない。スクリーンから出れば、超人は一般人の