神戸からのデジタルヘルスレポート #13 (Medopad/Salaso/SOMA/Base Health/Ro)
2019年も9月。
弊社Cobe Associeも今日から第2期です。今年度もやっていきます:-)
デジタルヘルスレポートも第13回。
今回も面白いデジタルヘルススタートアップを紹介していければなと思います。
==
1. Medopad:政府案件まで扱う健康データ総合商社
Medopadは、慢性的かつ複雑でまれな疾患を持つ人々が、より長くより良い生活を送れるように支援するという使命を持っています。
その上で、行っている事業は4つ。
・アプリを使った患者の管理と医療機関との情報の共有
・臨床試験の補助(対象者の募集やその後フォローアップなど)
・政府に市民全体としての健康データを共有・レポーティング提供
・スポーツチーム、企業組織、保険会社と連携した健康、パフォーマンス戦略のサポート
などなど。データを様々な形で取り扱って、なんでもやりまっせ!ってことのようです。↓のように、研究でもなんでもござれと。
Appleなどの大企業や行政とも協働プロジェクトをリリースしているMemopad。肺高血圧症からがん、糖尿病まで、幅広い疾患のデータ補足・解析プラットフォームになっているのが素敵でした。
2. Salaso:遠隔術後リハビリ
Salasoはアプリを通じて手術後のリハビリテーションをビデオで提供しています。
現在の世界の流れは、入院日数を少なくしようとしています。手術後、退院してリハビリテーションのために病院に通っている人もすごく多いはずです。同社が提供している理学療法ビデオがあれば、自宅で実際にビデオを見てながら、エクササイズを行うことが出来ます。
利用者に専門家が必ずつくため、利用者に必要なエクササイズを、選んで処方をしてくれます。利用者は、行ったエクササイズや、日々の記録を保存しておくことができ、また、専門家とチャットでコミュニケーションをとることも可能です。利用者のアドヒアランスを保つための、工夫がなされており、素晴らしいと思いました。
更に良いなと思ったのは、
・患者さんの実行・アドヒアランスを施設側で管理できる
・エクササイズメニューを紙で見やすい形に出力できる
・標準的なメニューだけではなく、施設のオリジナルメニューもアップロード・配布できる
あたりで、現場のニーズを良く捉えているように見えます。
それもそのはず、創業者のAoife Ní Mhuiríは20年以上の経験を持つPT(Physiotherapist、理学療法士)さん。まさに↑のようなものがあればなーと思いながら業務をされていたのかなと。
現場が強いですね、なんでも。
今後は、病院でのリハビリではなく、アプリを通じた自宅でのリハビリテーションが一般的になる時代がくるかもしれません。日本でも、ぜひ。
3. SOMA:職場でのストレス軽減アプリ
次はロンドンのスタートアップです。
職場でのストレスは、生産性の低下、欠勤の増加、および消耗率の上昇につながります。職場のストレスを少しでも減らすために、SOMAが開発したのが、「Kelaa」というアプリです。同社のパートナである、心理学、睡眠医学、データ科学の分野で世界をリードする研究者が最先端の研究に基づいて、Kelaaを提供・運営しています。
3週間の利用を通じて、ストレスレベルを15%さげ、メンタルレジリエンスを11%改善すると。結構な高価に見えます。
具体的な昨日としては
・個別の推奨プログラムの提示
・睡眠の質の追跡
・収集したデータを整理したマイページ
・通知とリマインダー
とシンプルなので、細かいUXを作り込んでいるんでしょうね。
ケーススタディとして会計事務所のアーンスト・アンド・ヤングが取り上げられていました。ポジティブ。エンゲージメントにつながっている感じがします。「健康経営!→Webでメンタルヘルス対策の動画が見られます」みたいなものではなく、科学に基づいたこういうサービスが日本でも必要なんだと思います。
4. BaseHealth:Population Health(公衆衛生)
↑で紹介したMedopadも取り組んでいる”Population Health”ど真ん中のサービスを提供しているのがこのBaseHealthです
この会社は、「Predictive RAF Analytics」というシステムを用いて、行動データと医療データ、さらにはゲノムデータまで統合して、介入診断および治療的介入の対象となるべき患者を特定します。
最先端の科学とエビデンスに基づいた方法論を使用して、リスクの上昇に関する臨床指導を医療従事者に提供し、今後に起こる可能性のあることに基づいて患者の治療を支援。分析結果と臨床現場へのガイダンスを適切に提示することで、患者の幸福改善やコスト削減にもつなげると。
治療における点の手助けをするだけでなく、今後の患者の状態を予測し、コスト面も考えたうえでの治療計画を医療従事者に提供する。
線・面を捉えた良さそうなプロダクトに見えます...!!
5. Ro:遠隔診療支援
Webページのファーストビューの抽象度が群を抜いて高いヘルスケアスタートアップ、Ro。自社紹介でも"mission-driven healthcare technology company"と言い切っていて、特定の疾患や施設ではなく、
に沿って、オンライン・テクノロジーで解決できるところにはどんどん出ていくぞ、と。
現在、Roとして展開しているのが3つのプロダクトライン。
・roman:ED治療支援(オンライン診療→パーソナライズプラン)
・Rory:婦人科関連治療支援(オンライン診療→パーソナライズプラン)
・zero:禁煙支援(オンライン診療→パーソナライズ禁煙プラン)
大きく調達をしているので採用も活発なんですが、"Physician, Hawaii"というのは...??
日本でもここのように、一定のパターン(オンライン相談→パーソナライズ)を共有しながら領域を変えて参入していくようなチームが出てくると面白いですね。
==
こんな感じで、第13回でした。
noteマガジンにもしてみたので、もしよかったらフォローしてください:-)
応援ありがとうございます!