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神戸からのデジタルヘルスレポート #92(在宅ウェルネス/栄養士向けCRM)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

2022年は、昨年2021年に創業したデジタルヘルススタートアップを取り上げていきます。毎週木曜日朝配信を予定しています!

今回は、自宅にいながらも健康でいられるように支援するサービス、在宅ウェルネスをテーマに紹介いたします。前半2社は高齢者向け、後半2社はリモートワーカー向けです。尚、5社目は栄養士向けCRMツールの企業をご紹介いたします。

1. Roble App:中高年向けウェルネスアプリ

企業名:Roble App
URL:https://www.robleapp.com/
設立年・所在地:2021年・バルセロナ(スペイン)
直近ラウンド:Pre-Seed(2021年11月)
調達金額:€80K

Roble Appは中高年向けのウェルネスアプリです。月額サブスク制。12月1日に正式リリースしたばかりです。
このアプリは主に50歳以上の人向けで、脳トレゲームやフィットネスクラス、生活習慣トラッキングなどコンテンツが盛りだくさんです。

バッジシステムというものがあり、アクティビティの達成度合いに応じて付与されるほか友達や近くにいる人と競ったりもできるようです。

色々なオンライン講座が揃っています↓

さらに近所で開催されるイベントやアクティビティの掲示板にもなっていて、趣味の習い事や体験コースも見つけることができます。

ポイントを貯めるといろいろな商品と交換可能(今のところIKEA、ディズニーワールドなどのロゴがWebサイトに載っています)。

中高年の孤独は日本でもしばしば問題になりますが、閉じこもってしまいがちなこのご時世にぴったりなサービスに思えます。

2. Heyday:高齢者むけのスマートホームジム

企業名:Heyday
URL:https://heyday.fitness/
設立年・所在地:2021年・サンフランシスコ
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

Heydayは高齢者向けのトレーニングマシンとフィットネスプログラムを提供しています。

一番左の専用マシンは理学療法士の監修のもと設計されたもので、関節や腰に負担をかけずに全身を鍛えられるようになっています。
また、付属しているモニターでまず最初に最適な負荷をアセスメントしてからトレーニングプログラムをパーソナライズしてくれます。このモニターで進捗も確認できるようになっていて、年齢ごとの平均と自分の記録を比較したり、画面でゲームをしながらトレーニングできたり、フレンドとつなぎながらトレーニングできたりと飽きさせない工夫が随所に。マシンを使わないヨガやバランス運動などのクラスもあるそうです。
高齢者向けとだけあって、心拍モニターと緊急停止ボタンがついています。

年を取ってからの筋力低下は転んで大けがの原因になりますし、最悪寿命に関わります。意識的に鍛えるほかありませんからね...。

身体的なトレーニングだけでなく、メンタルトレーニングゲームも用意されています。神経心理学者によって設計されており、計算や記憶のトレーニングができるようになっているそうです。

Facebook上で“HEYDAY - Strength training for the 55+というコミュニティもつくられています。55歳以上が対象で、アクティブエイジングに関する記事やトレーニング情報が共有できるそう。

3. fizYou:MSD予防のスポーツプログラム

企業名:fizYou
URL:https://www.fizyou.fr/
設立年・所在地:2020年・ブーローニュ=ビヤンクール(フランス)
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

fizYouは、従業員の健康を促進するために、ハイレベルのプロスポーツ専門知識を健康ソリューションとして提供しています。
職業病の88%は、肩こりや腰痛等の筋骨格系障害(MSD)が関連しているそうです。運動やストレッチを行うことでMSDの予防となり、座りっぱなしのPCワークから発生しやすい身体的不調も改善されます。fizYouでは、このMSDの予防を目的とした健康プログラムを作成。プロテニスプレイヤーのフィジカルサポートをしていたCCOのFlorian Patalagoïtyの経験から、職員向けにアレンジした運動習慣を提案します。

契約は法人で行うサブスク型のサービスとなっており、従業員はアプリを無料でダウンロードしてスタートする、というシンプルな設計です。従業員は、ビデオコンテンツを観ながら運動やストレッチを行います。
「1日のこのタイミングで●●をするといいよ」とレコメンドもしてくれます。行う運動も数分程度なので、スキマ時間に実施しやすいですね。

動画もどうぞ。座り方ひとつでも変わるんですね…。ガチなトレーニングやストレッチでなく、何気ない日常動作でのTipsも紹介しています。

前述したように、CCOのFlorian Patalagoïtyはプロテニスプレイヤーのフィジカルサポート経験者です。あの有名なSerena WilliamsやVenus Williamsも担当。


4. Working Den:リモートワーカー向けフィットネスツール

企業名:Working Den
URL:https://www.workingden.com/
設立年・所在地:2020年・ロンドン(イギリス)
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

Working Denはリモートワーカー向け健康ソリューションを提供するSaaS企業です。リモートワーカーが身体的にも精神的にも健康でいられるように、エクササイズやリラックスサウンド、リモートワークを行う上で知っておいた方がいい脳科学Tips等の紹介を行っています。

Working Denのサービス内容は創業者Daniel Hall自身の経験が基礎となっています。2012年から在宅リモートワーカーとして働き始めたDanielは、今日問題となっている「燃え尽き症候群」や「重度の鬱病」をパンデミック前に先駆けて経験。アドバイザーのBertie van Wykと出会い、リモートワーカーが陥りがちな身体的及び精神的の問題を解決するソリューションを構築することにしました。

サービス内容は無料コンテンツと有料のソフトウェアがあります。見てみるとわかるのですが、無料コンテンツだけでもかなり充実しています。

無料コンテンツ

有料ソフトウェア
メンタルヘルス評価を最初に行い、評価結果をもとにリモートワーカーが1日を通して使用できるような設計プランをオンラインで提供します。

  • 目の疲れを軽減する通知システム(20分ごとに20秒画面から目をそらすように通知)

  • 1日のタスク管理&整理リマインドメッセージ

  • エクササイズアラート(45分ごとに、デスクを離れて足伸ばして休憩するよう通知)

また、オンライン会議が主となるリモートワーカー向けに、会議で利用できるハンドサインも提唱しています。オンラインで複数名が集まると、意思表示が被ってしまって難しい点がありますね。ハンドサインは会議中でも発言者を遮ることなく画面越しに意思表示できそう。

5. nutriapptech:栄養士向けCRMツール

企業名:nutriapptech
URL:https://www.nutriapptech.com/
設立年・所在地:2020年・リマソール(キプロス)
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

nutriapptechは、世界中の栄養士向けのCRMソフトウェアおよびモバイルアプリケーションを提供しています。

クライアントの栄養情報の管理・分析、食事の計画、クライアントのフォローアップ、レシピ、予約など、栄養士のタスクと顧客情報管理を簡素化できるようになっているそうです。現在17の国で利用されているんだとか。
食事は毎日発生するもので、個々の身体状況に応じた食事計画と体重等の身体情報の追跡が不可欠です。センシティブかつ膨大な量の顧客情報管理に悩まされる栄養士にとって、いつでもどこでもPCかモバイルアプリで管理できるようになるのは、かなりの業務改善になりそう。

栄養士は、自身のクライアントにnutriapptechのモバイルアプリをダウンロードしてもらうことで、クライアントの体重や食事情報を手元のソフトに連携できます。また、クライアントのnutriapptechアプリにリマインダー通知や食事計画のレコメンドを送れます。

料金は月€30~(日本円で約4,000円 2022年1月時点)と良心的な価格設定です。

常にアップデート&小規模改善を重ねており、近々Googleスケジュールとも連携できる模様。

現在は栄養士向けに特化していますが、開業医をはじめとした医師による活用も見据えているそう。画一的ではなく遺伝子情報等の個人差を加味してパーソナライズされた食事療法が広まればこういったツールは需要がありそうです。

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いかがでしたでしょうか?マガジン内の他のデジタルヘルス記事も、ぜひお手すきで見てみてください。

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