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神戸からのデジタルヘルスレポート #26 (Happy Couple/mentia/Homemade/Nutrivise/oDoc)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

今回は第26回です!
元気にデジタルヘルススタートアップを紹介していきます:-)

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1. Happy Couple:恋人同士の親密度を高めるクイズ形式アプリ

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企業名:Happy Couple
URL:http://www.happycouple.co/en/
設立年・所在地:2014年・サンフランシスコ
直近ラウンド:Seed(2017年9月)
調達金額:$614k(Vertical.vcなど)

Wellbeingをテーマにした記事やPodcastで「よりよい人生のために必要なことは?」的な項目があると、そこにはもれなく「良好な人間関係をもつこと」と書かれています。少し前にベストセラーになった『嫌われる勇気』でも、「すべての悩みは人間関係の悩み」と書かれている通り、人の幸せ・不幸せの基盤には常に人間関係があります。

Happy coupleは、恋人・パートナーのことをもっと知るためのクイズ形式のアプリ。1日5問まで自分自身の考え方や伝えたいことをクイズにし、それにパートナーが相手の正解を予測しながら答えることでお互いの理解を深めていくことを目指します。クイズをきっかけに会話が生まれ、お互いの理解が深まることでアプリ上でのレベルが上がっていきます。

恋人同士といっても、所詮は他人同士。価値観や文化の違いがあると思います。このアプリのいいところは、一緒に暮らしていくうえで共有しなければいけない考え方や価値観を、クイズというより簡便で身近な方法で、知ることが出来るというところです。直接聞くことが難しいことでも、クイズを通してなら簡単ですよね。クイズに正解するごとに、パートナー同士のアプリ内でのレベルも上昇していくというゲーム感覚で利用できるような仕掛けも施してあります。

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Happy Coupleには現時点で71万人のユーザーが登録しており、566万もの会話がこのアプリ上でされています。このアプリは、お互いのことを知るきっかけ、話し合うきっかけを与えてくれるアプリですね!

2. mentia:ゲームベースの認知症ケアプラットフォーム

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企業名:Mentia
URL:https://www.mentia.me/
設立年・所在地:2017年・サンフランシスコ
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

認知症の進行をどのように防ぐのか、症状を改善していくにはどうしたらいいのか、全般として高齢化が進行する世界の重要課題の1つです。日本でも、2025年には高齢者の5人に1人、合計700万人が認知症患者になると予想されています。一方で、認知症に有効な薬はいまだ開発されておらず、運動療法に関してもこれといった有効なエビデンスがないのが現状です。

そんな中で、ゲーミフィケーションの技巧も盛り込みながら認知症課題に取り組んでいるのがmentiaです。mentiaは、"Deva World"という仮想の世界の中にいくつかの課題を盛り込み、それを高齢者に取り込んでもらいます。タブレットやPCがあればプレイできるので、設備の整っていない在宅やデイサービスでも認知症ケアを行うことが出来ます。

ゲーム感覚で楽しむことが出来るので、長続きしやすいという利点もあります。実際に、76%もの利用者が、このゲームを行った後、楽しかったと報告しています。さらに、実際の認知機能についても84%の対象者がスキルセットベースの改善を、78%がコミュニケーション能力の強化が報告されています。

認知症の主な症状は、ざっくりいうと記憶障害で、覚えたことを忘れてしまいます。しかし、楽しい、苦しい、いやだという感情は残りやすいことが分かっています。どのケア・治療においても、「楽しい」という感情が伴うかどうかは、治療やケアの効果に影響を及ぼす重要な要素です。そういった要素を盛り込んだプラットフォームによるケアは、在宅やデイサービスといった日常生活を支援するサービスの中に盛り込みやすいと思います!

3. Nutrivise:健康管理を支援するアプリケーション

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企業名:Nutrivise
URL:http://www.nutrivise.com/
設立年・所在地:2011年・パロアルト
直近ラウンド:M&A by Jawbone(2013年6月)
調達金額:$750k(EchoVC Partners、LaunchCapita)

「Nutrivise」は、"a nutritionist in your pocket"をコンセプトに、アプリで健康管理ができるサービスを提供していました。ユーザーは、生体認証データ、健康目標、場所を入力することで、その人に合ったレストランをお勧めしてくれるというサービスです。ユーザーは、実際に食べた料理に関して、どのくらいヘルシーであったかなどをコメントができ、その意見を他ユーザーがみて参考にすることもできます。シンプル&素敵。

同社は、2013年にJawboneというフィットネストラッカーを提供する企業に買収され、NutriviseのCEOはJawboneの栄養担当プロダクトマネージャーとして参画しました。また、Jawboneは同時期に、栄養管理アプリを提供するMassive Healthや生体認証製品開発を手掛けるBodyMediaなども買収しています。

しかしJawbone社は2017年に倒産危機が報じられ、いまとなっては"Failed Startup"として取り上げられてしまう存在に。

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いいサービスを開発していたとしても、買収された先や社会の潮流によってサービス自体が閉じてしまう...サービス運営の難しさ...

4. oDoc:肉体労働現場×医師の遠隔医療アプリケーション

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企業名:oDoc
URL:https://odoc.in/
設立年・所在地:2016年・インド/バンガロール
直近ラウンド:Seed(2019年2月)
調達金額:$1.2m(Techstars、GSMA Ecosystem Acceleratorなど)

oDocは、インドで展開するブルーカラー労働者と医師をつなぐ遠隔医療アプリです。肉体労働の現場では、労働災害や肉体労働による筋骨格系の病変が発生しやすいという特徴があります。こういった労働者を抱える企業にとって、労働者の生産性を向上させるための取り組みは不可欠であり、そういった取り組みを支援することに繋がるのがこのアプリです。

使い方としては、3step。シンプルなオンライン診療プロセス。
1. 患者がオンライン上での診察予約をする
2. 患者-医師が症状や必要なデータのやり取りを行う
3. 医学的な処置が必要な場合は、医師がアプリを通じて電子処方箋を発行する

料金は1従業員あたり$18/月で、24時間365日医師に相談を行うことができるようになります。そしてすばらしいのは、加入者の家族も同様のサービスが受けられる点。福利厚生としてめちゃパワフル。

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oDocに参加するすべての医師は当然資格保持者で、かつインターンシップ後少なくとも5年の臨床経験をもった人に限定されています。オンライン診療であるからこそ、非対面でも精度の高い問診・診察・診断ができる人材の確保が重要となります。

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直接対面での診察を行う前段階での、こういったアプリによる簡易診察はプライマリケアにおいて重要な役割を果たし、医療費の削減、労働生産性の向上などにつながることが期待されています。製造業の現場が多く残るインドにおいて、プライマリヘルスケアの大部分は今後5〜10年以内にリモート中心で提供されるとの予想があります。その流れにも乗って、どんどん伸びていきそう。

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こんな感じで、第26回でした。
noteマガジンにもしてみたので、もしよかったらフォローしてください:-)


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