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神戸からのデジタルヘルスレポート #93(検査・ラボ系)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

2022年は、昨年2021年に創業したデジタルヘルススタートアップを取り上げていきます。毎週木曜日朝配信を予定しています!

今回は検査・ラボ系をテーマに紹介いたします。

1. SAFE Health Systems:オンデマンドの検査診断プラットフォーム

企業名:SAFE Health Systems
URL:https://safehealth.me/
設立年・所在地:2020年・ロサンゼルス
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

SAFE Health Systemsはメイヨークリニック傘下で設立されたオンデマンドの検査診断プラットフォームです。

プロバイダー(医療者)向けのサービスで、EHRなどの電子健康記録との相互運用性の高さが特徴的です。在宅検査キットや商用ラボとの連携、保険請求までををシームレスに管理することができます。

簡単なオンラインでの問診も可能。比較的単純な疾患(性感染症、インフルエンザなど)の検査がメインになるようで、コロナの中和抗体検査も提供しています。

セキュリティもしっかりHIPAA、GDPRなどクリアしています。プロバイダー大手の遠隔医療取り組み事例としても要チェックです。

2. Click My Lab:スピーディーな出張検査手配サービス

企業名:Click My Lab
URL:https://www.clickmylab.com/home
設立年・所在地:2020年・コーチン(インド)
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

Click My Labはインドで出張検査サービスを展開しています。

オンラインで多種多様な検査を予約でき、当日に指定した場所まで検体採取に来てくれます。在宅検査もOK、オフィスで社員一斉検査という使い道もありそうです。派遣されるのは有資格者なので採血もできるのが自己検査と違っていいところ。コロナの迅速抗原検査(ラピッドテスト)にも対応しています。

対応している検査は
・コロナ抗原検査
・コロナ抗体検査
・糖尿病検診
・腎機能検査
・肝機能検査
・甲状腺機能検査
・がんスクリーニング検査(乳がん、子宮頸がん、直腸がん、肺がん
・空腹時血糖・食後血糖
・尿中アルブミン検査

などなど健康診断的な項目から自由に追加できるようになっています。予約も支払いもオンライン(現地支払いも可)で、結果は翌日中にウェブサイトで確認・ダウンロードできるというスピーディーさ。カスタマイズ性の高さと迅速さがいいですね。

3. RoboMed:内視鏡カプセル

企業名:RoboMed
URL:https://robomedco.com/
設立年・所在地:2020年・ヘルシンキ(フィンランド)
直近ラウンド:Seed(2021年9月)
調達金額:€35K

RoboMedは、ヘルシンキを拠点にカプセル内視鏡を開発している企業です。従来は口や肛門、鼻から先端に小型カメラ等を搭載した管を挿入し、検査を行っています。手技者のスキルによって検査にかかる時間や患者の負担が左右されるため、属人性の高いものとなっていることが課題でもあります。RoboMedの開発するカプセル内視鏡は、カプセルを通常の薬を同様に検査対象者に飲んでいただき、検査を行うことができるというもの。これだと管の挿入の苦痛がかなり軽減されるそうです。

Instagramで映像でも紹介しています。

カプセルでの映像だけでなく、生検(患者の患部の一部を採取)が同時に出来るが特徴です。カプセルの中にカメラだけでなく生検針が含まれているため生検が可能になっているそうです。技術の詳細、サンプリングの回収方法については、開発中なのか詳細がまだ明らかにされていません。しかし、このカプセル内視鏡によって小腸等の内部の状態が視え、同時に生検での病理発見もできる、というのは画期的ですね。

RoboMedは、"TechBBQ"というスタートアップイベントで、北欧で最も期待されるスタートアップ8社として選出されています。
※TechBBQ:北欧のスタートアップエコシステム構築&スケール支援グループ。コアパートナーにawsやKPMGが参画

4. Spear Bio:超高感度タンパク質バイオマーカーを検出する試薬

企業名:Spear Bio
URL:https://www.spear.bio/
設立年・所在地:2021年・ウェストン
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

Spear Bioは、超高感度タンパク質バイオマーカーを検出するため、試薬ベースの技術を開発している企業です。「超高感度タンパク質バイオマーカー」とは、現在研究によって解明が進められているバイオマーカーの一種です。従来の定量測定では測定できていない分野であり、これまで原因不明といわれてきた疾患の解明や疾病の早期発見に役立てるとして期待されています。

従来の定量測定では、基礎研究や創薬の開発における血清、血漿、唾液、脳脊髄液などの生体サンプルに含まれる「疾患関連分子バイオマーカー」と呼ばれるものが主流でした。人間のタンパク質は40万種類あるといわれており、30万種類は検出できない微量なバイオマーカーであるといわれています。

コロナ禍でニーズの高まるセルフ検査や遠隔医療での診断において、少量のサンプルから超高感度に検出する測定方法を構築することが重要となっています。Spear Bioの技術は微量で検出が可能な技術、とのことなので、今後の展開が期待されています。

創業者でCEOのMichael Natanは、Ultivue IncOxonica MaterialsNanoplex TechnologiesのCEOを経験しています。バイオテック企業のキャリアを積み重ねており、この分野で25年以上のベテランですね。

共同創業者のもう2名は中国系のハーバード大学出身者です。分子科学、生物学のスペシャリスト。


ザ・スペシャリストな人たちが集まって創業していますね。タンパク質のバイオマーカーは癌の検出にも役立つとも言われており、注目度が高い分野です。今後の発展が楽しみです。

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