見出し画像

【ライブ】 2021.4.23 SuiseiNoboAz

コロナ禍において、何度目かの緊急事態宣言が発出され適用となる直前。
2021.4.23の夜。
渋谷TSUTAYA O-EAST。
SuiseiNoboAz。

誰に向けてでもなく、自分が忘れないために備忘録として書いている。
文字を打ち込んでいる今も、当たり前だが記憶は少しずつ薄れていく。
漠然とした感動は間違いなく人生この先も残るだろうけど、書いておきたいと思った。
自分が覚えてる限りの細かい部分と感覚を。

とにかく一心不乱に書いているだけなので、加筆修正も後ほど施すでしょう。
順序もクソもなければセットリスト云々や曲に対する解説もうまく書けないことでしょう。



SEが鳴った時点で、アカン。
アカン日だと気付いた時すでに遅し、自分に足りてなかったものが脳で分泌されすぐ涙に変わる。
足りてなかったと自覚する。
ライブが。爆音が。

石原さんもMCで言っていたけど、やっぱり会わないと。会わないとダメだ。

SUPER BLOOMから始まるライブ。
「誰もがいつか死ぬ」という節が印象的。
石原さんは普段そんなに大きい声の人ではないけど、ライブでは結果的に声帯を引きちぎるかの如く言葉を発する。
後半に進むにつれて声にもファズがかかっているかのよう。
目の前にある絶望も希望も、体裁で上塗りすることなく発する。
人の営みを愛する言葉が、雄々しくも優しく聞こえる。
その言葉の輪郭が好きだ。

背後に大きく映し出された映像、デカ箱よろしくの照明、
そして、デカイだけではない以上に馬鹿デカい最高の爆音。
もはやボアズそのものが馬鹿でかいファズを踏んでいるかのような音。

ガン弾きされるギター。

ガン踏みされるファズ。
gakiamiでファズが踏まれた瞬間は、ギターが爆発したのかと思う。
カッコよすぎ死してしまう。つまり死ぬほどカッコいい。

未確認飛行物体(今回T.D.B.B〜の前には、世界まる見え的な番組のUFO目撃談VTRの吹き替えが流れていた)とか、新ドラマーをうちの若いのって紹介したり、仁義なきのサンプリングとか、SFと任侠の世界と現実がミックスされたような世界も好きだ。
月面漂流釣行記では、映像と音が未来・過去を行き来するような、サイケデリックで宇宙的な世界へ。

ボアズのワンマンは、時間と空間をトリップする航海のようだ。

初めて見た松田さんのドラムは正確でありながら、まとわりつく泥のような湿りもある。
前ドラマーのヤノさんとは明らかに違うキャラクターを持っている。
しかし、その湿りがボアズの世界へ引き込むような手招き手引きに変わり、没入の引き金となっている。
しなやかな叩き様を持っていて、すごく良いドラムだった。
バンドアンサンブルとしても、「新メンバー」というような初々しさなど僕は微塵も感じないほどに、ボアズだった。

高野くんのギター。
元々は美しさを奏でる、耽美的な印象が強かった。
ボアズにおいてはある種のバグとして機能していると思う。
彼らしさ、という滲み出てしまうエゴの部分と、SuiseiNoboAzのギターを弾く高野くんというアンバランスさが堪らない。
ギタリストとしてのプレイも勿論だが、高野くんがいる、ということが同じくらいかそれ以上に大事だと思う。
鍵盤を演奏するのも、今のボアズにとっては大きな武器になっている。
ファズで歪んだ世界をたしかに彩っている。

河野さんのベースは強靭なバネを持ったウサイン・ボルトのよう畝りまくる。
手数が多いことがすごいのではなく、あのフレーズを畝り続けられる筋肉とグルーヴ感がすごい。
ビートミュージックとしての側面が強い最近のボアズでも、そのグルーヴによって、肉体で奏でるロックバンドとしての美しさが何倍もの魅力になっている。
ベースラインでドンパチを繰り広げる、クールでキレまくった石原組若頭のようである。(上下関係をつけているわけではない)
ちなみに、喋るとめちゃめちゃ優しい。

マーチンをガン履きしていた福山タクさんのサックスも無茶苦茶よかった。
ボアズとジャズは特に最近結びつきが強いように感じる。
音源ではエディットされた(らしい)音も、生の演奏で聴くとジャズバラードのように甘くじわりと響いてくる。
サックスという楽器が、ボアズにとって必然的な関係性にあるのは、その肉体性にあると石原さんから聞いたような、、記憶がある。(記憶曖昧)
自分が吹き込んだ息が音になる楽器。
まさに息が吹き込まれていくように、ボアズの音が生き物として更なるふくよかさを持つ。
次回作以降にもサックスでの参加を期待している。

Kuroさんのコーラスも然り。
ボアズは血生臭く男臭い世界の印象もあるだけに、石原さんのいうように女性が参加するのはとても珍しい。
その歌声は美しくメロウに、そしてグルーヴしている。
以前、石原さんは「ミュージシャンで誰が喧嘩が強いか」という話をしてくれた。
(すごく割愛するけど、)喧嘩が強い≒音楽家として良い意味でヤバイ、という話。
石原さんはブライアン・ウィルソンがめちゃくちゃ喧嘩が強いと言っていて、腹を抱えて笑いつつも、心底納得した自分もいた。
そういう観点で見ても、Kuroさんは喧嘩が強そうだ。
あくまで比喩ではあるけど、めちゃくちゃ強そうだ。

そして、MOROHAのアフロ。
MOROHAがボアズに抱く思いは、僕なりに知っているつもりだ。
だから彼があの場に出ること自体がすごく嬉しかった。
アフロが左ポケットに突っ込んだ拳には、ゴリゴリに力が入っていたと思う(想像)。
太ももつねってるようにすら見えた。
彼もまた、言葉の人として舞台に上がり、ボアズのライブに熱狂しつつも戦ってもいるのだ。
あのタイミングあの場所で、最高のライブだったと思う。
アンコールのE.O.Wに続いていく、あまりにも素晴らしい道筋が見えた。
アフロにも、ボアズにも、僕は拳をつきあげた。

あっという間の2時間強。
耳鳴りが強烈に残るなか、見に来ていたミュージシャン達としばしの会話。
久しぶりに会う人たちばかり。
会う人全員に「髪切ったから誰かわからない」と言われる。
そんな会話もまた、幸せだなと思えた。

やっぱり会わないと。会わないとダメだ。

写真は、東中野にある「覆めん 花木」のラーメン+わんたん2個
ここ最近で一番グッときたラーメンでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?