『弟切草』に愛を込めて
ホントは故障の原因になるからやめたほうがいいとわかっていながらも、いつもの癖でフーッと息を吹きこむと、カセットのすき間からホコリが舞って窓の光にキラキラと煌めいた。二十年選手の黄ばんだスーファミにガチリと挿し込み、POWERのつまみをカチンと上げる。瞳のように赤いランプが灯る。
その日の仙台はよく晴れ、静かな午後だったというのに、画面の中は土砂降りで、雷まで鳴っている。薄暗いブラウン管の中には薄気味悪い洋館がたち現れ、その手前では黄色い花たちが雨風に揺れている。赤く大きな文