ショートストーリー「ちっぽけな片想い」
少しだけ。現実離れ
少し、かゆ〜くなる。
ショートストーリー。
「ちっぽけな片想い」
作 弓川信男
ある30歳半ばの女が居た。
彼女は仕事に一生懸命で真正面でぶつかる少しサバサバした性格。
幸せってなんだろ?ってたまに思うこの頃。
ひとつの片想いをした。
~行きつけのBARでお酒を呑みながら物語ははじまる~
(女)はぁー。始めは尊敬だけで、凄いなーこの人って思ってただけだったのに。完全に好きになっちゃった。
あんまり得意じゃないんだよな、人を好きになるって。仕事も集中できないし早く片付けたいな。
ーカランコロンカラ~ンー
(店員)いらしゃいませ。あっ、どうも。
(男)とりあえずビール、あっ、来てたんだ!お疲れ。
(女)あっ…。お疲れ。(うわー好きな人が来ちゃった)
(男)どうしたの?
(女)いゃっ…別に。いつも1人なんだね?寂しいー!
(男)お互い様でしょ。
(女)あっ、そうだね。ねぇ?いつも思ってるんだけど。彼女とか好きな人とかいないの?
(男)んー。居ない、、、。別に今はいいわ。仕事で精一杯。自分で精一杯。
(女)それって恋愛から逃てる事にならない?
(男)逃げてるよー。そんな気持ちのままで愛する人が出来たら運命でしょ。
(女)キモい 苦笑。
(男)人それぞれだけど。人を想うって凄い事だよ。
(女)私も誰かに想われたいなー。ねぇ!貴方、空いてたら私じゃ駄目?
(男)あはっ(笑)勘弁してくれよー。そんなサバサバした強い女、お断りー。
まぁ人として尊敬はしてますけど。
(女)あっ、そう。ケーチ!
(男)ケチで結構(^^)マスター!今日は帰る。お金置いとくね。お釣りはいいわ。一杯分ぐらいしかないでしょ?彼女になんか呑まして。
(店員)かしこまりましたm(_ _)m
(女)ゴチでーす。
(男)じゃまたー。
「カランコロンカラーン」男は出た。
(女)ふぅー。なんか…。フラれた感じ。呆気ない終りだったなー。
(店員)。。。
(女)何よー⁈何見てんのよ⁈
(店員)いゃ、良い顔してらしたので。
(女)良い顔⁈私、さっきフラれたのよ!なんで?
(店員)スッキリした顔をしてらっしゃる。
(女)そう?
(店員)人を好きなるという事は苦しい事です。それが今終わって苦しみから解放されましたから。
(女)人を好きなるって苦しいんだ?じゃ何が幸せなの?
(店員)幸せなのは 人を愛する事です。
(女)ふーん。好きと愛するは違うんだ。
(店員)人を好きになるという事は自分だけの欲だけで人を想う。それが片想いです。片想いは所詮、自分だけの事です。愛するという事は相手を想い、思いやる心が愛するなんです。
(女)自分だけの事か…。1人で楽しんでソワソワして苦しんで。なんか、馬鹿みたい 笑。はぁー!なんかスッキリした!
(店員)今、誰を想っていますか?
(女)えっ…何よ…。
(店員)今、誰を想い何を思ってますか?
(女)そりゃー!…あいつの事を…。でも!もぅ私なんかじゃない…他の人のほうが幸せになれるんだろーなって…やっぱりあいつには幸せになってほしいし…って思った。
(店員)相手の幸せを願う。それもまた。
愛する気持ちのひとつですよ。
(女)えっ、そうなの?
(店員)愛した相手にはどんな形であれ、何かの想いが返ってくるもんです。お客様のその想い、まだ終ってないみたいですよ。むしろ今、始まったばかりです。
(女)マスター…。さっ、私もそろそろ帰るわ。
(店員)はい。先ほどの彼の一杯分はどうしますか?
(女)いい!それは置いといて今日はゴチにはならない。
(店員)何故…ですか?
(女)2人の想いが繋がらなかった時に最後のアイツの想いとして頂くわ。
(店員)かしこまりました。ご馳走にならない事を願います。
(女)ありがと。
(店員)お礼なんてやめて下さい 。そうなれば我々のお店が儲かりますから。
(女)ふふっ。 私も、このお店が儲かる事を願います。
(店員)お気を付けて。
~終わりと思っても終わりじゃない時がある。それがまた厄介でもある。
恋ってのは時にイジワルなもんです。
でも、それが1番。
人を美しくさせる〜
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