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「毎日学級通信の鬼」昔の担任の先生の話


年が明けてnoteを書き始め、ふと高校の時の担任の先生のことを思い出した。日本史を教えてらっしゃった西嶋先生。声の高い、スポーツ刈りの小柄な方だった。下の前歯が無いので、僕らは「おじいちゃん」などとアダ名をつけていた(もちろん大変失礼な話だ)。西嶋先生は「ちょっと変わったこと」をほぼ毎日してらっしゃった。

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手書きの「学級通信」みたいなものをクラスで配布していたのだ。横向きのA4サイズのわら半紙に、文字や絵がびっしり詰め込まれていた。話題はまさに「なんでも」だった。聴いたラジオのこと、通勤途中の出来事、家庭訪問のエピソードなど。年度が終わる頃にはこの「通信」は大変な量になった。そして何と言っても、名物の「似顔絵」が特徴だった。面相筆で生徒や他の先生の顔をササッと描く。

この「似顔絵」がなんとも謎めいた雰囲気で、とても人気があった。時間をかけたとは思えないような、脱力したタッチのシンプルな線。しかし似ているのか似ていないのかというと、どこか似ているのだ。顔を描かれた生徒は「嫌やぁ〜似てへんわぁ」などと言いながらも、嬉しそうだった。学年集会では、先生は体育館の端に立って、話を聞いている(または聞いていない)生徒の顔をちらちら盗み見て描いていた。

今思えば、先生は時代の先をいっていたんじゃないかなと思う。SNSやnoteはおろかインターネットも無いときに、ご自分の表現したいことを自分のスタイルで自由に表現していたのだ。しかも手書きで、ほとんど毎日。「発信の継続のコツ」についての記事はたくさんあるけれど、先生はそんなのは関係なかったんだろう。

先生はただ、やらずには居られなかったように見えた。「イイネ」や「スキ」の数なんてカウントしようがないので、人気の指標がモチベーションではなかったのは間違いない。他の誰もやってなかったことだし、「ウケる」方法もご自身で試行錯誤してらっしゃったのではないだろうか。

いまどうしてらっしゃるかな、と思って検索してみると、似顔絵の大道芸人として活動してらっしゃるようだ。なんと教室を持って人に教えたりなんかもしてらっしゃる。僕が高校の頃から、かれこれ20数年。凄いよ、西嶋先生。

こちらは、西嶋先生が登場している記事。



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