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うまくいっている事は変えるな~ケアマネ見聞録~

その昔、僕の属していた職能団体で
「ソリューションフォーカストアプローチ」(以下SFA)という
援助手法(面接技法)が紹介されました。
んー、ケアマネ業界でたまに呪文のように繰り返される「ストレングス」に
似ているような、でも違う、そんな感じです。
SFAは援助技法で
ストレングスは援助者の視点のことですかね。
しかし、どの業界もそうなのか知りませんが、カタカナ好きですよねー


SFAの考えていること

S何かしら課題や問題を抱えてしまっている場合、
たいていはその「原因」を追究し改善しようとしますよね。
Aという課題がBという原因によって生じているのだから、Bを取り除いてしまおう。
この場合、原因Bばかり見てしまうので解決方法がなかなか見えずらい。

あまり健康をかえりみない人がある日体調を崩したとします。
病気が見つかり、治療が開始となります。
「なんでこんなになるまで放っておいたの?」とは
よく聞くセリフですね。
病気になったことの原因を「体調不良を放っておいたこと」と捉え
そこを追究していくわけです。
「帰ったらまた不摂生するに違いない。まずは性格を直さないと」
等と始まったらもうバトルの日々です。バトルフィーバーです。

SFAの考え方は「解決(された先)」をまず見ていきましょう、というものです。
上記の例で言うと
「この病気になるには不摂生が原因なんですよ。ところで、元気になったらどうしたいですか」
「そうですか、じゃあ元気になって外を歩けるように頑張りましょうね」
という感じになるでしょうか。

SFAはあくまで解決された未来の話をするので
「問題が解決されたときのあなたはどうなってる?」
「うまくいったときのことを教えてください」
「解決したときの未来に向かって、どうやったらたどり着けるか」
「まずできることは」
という感じの流れになります。

すべてのケースがこれで解決するわけでもないでしょうが
(と、書きつつ、案外ほとんどのケースはこの考え方でいけそうです。)
原因を探って、原因を取り除いてから、解決へのステップ
という考え方を従来の課題解決だとすると
前二つがいらない分、支援経過も短期間で済むと言えます。

これまで起こったことは全てOK

昔、SFAを解説した本を読んだんですが、その中でいくつか面白い言葉がありましたのでご紹介します。

「これまで起きたことは(良いことも悪いことも)全てOK」

確かアジア地方の王族か何かのお話だったように記憶しております。
自分が何かしらで理不尽に罰せられようとされてる場面でも「これまで起きたことはOK」という異常なるポジティブシンキング。
結局、偶然の展開で罰は解除となり、それも「OK」だったという。
あの出来事が無ければ今の私はいないのだから過去は全てOK。
そんなお話だったように思います。
これって、過去を肯定しているとも取れますが、むしろ
「起こったことは起こったこと。これから起こる未来が大切」
という考え方にも取れます。

うまくいっている事は変えない

「うまくいっていないことは何かしら違うことをしろ。うまくいっていることは変えない。」

やめればいいのに毎日毎回同じことを繰り返してません?
そのくせウダウダ言う。やめりゃいいのに、って伝えるとウダウダと続けちゃう。
ちょっと変えれば、ごそっと変えれば、違う展開が出ていい方向に回るのに。
「うまくっていないことは何かしら違うことをしろ」です。
ただ、この言葉はちょっとしたワナを含んでいて
「うまくいっていないから辞めちゃえばいい」まではまあ良いとして
そのあとの「違うことをしろ」が抜けることがあります。
うまく行っていないなら、目線を変えて違うアプローチでやってみる、という考え方の方がむしろしっくりきます。

で「うまくいっていることは変えない」です。
これって、モノや場所、人に対しては難しいです。
変わりゆくものだから、こっちが変えなくても変わっちゃう。
変えないものは、自分の習慣とか、手段とか目標とか。

例えば、帰る時に必ずコンビニによる習慣がある場合。
職場が変わったり、コンビニが閉店したりとかよくありますが
職場が変わっても道中にコンビニがあればそこを行きつけにし
コンビニが閉店していたら別のコンビニやお店などを利用する。
などと言った場合ですかね。
コンビニに立ち寄ることがいつの間にか日々のサイクルになって
安定した日常が保たれているのだとすれば
変えない方が良いわけです。
うまいたとえが思いつきませんが。

コンビニ毎日行って甘いモンばっかり摂ってるから
オマエの腹は先鋭的なんじゃないんか
という腹の、もとい耳の痛いツッコミは受け付けていませんが
それを課題と捉えると、その解決がバッキバキの6パックなんだとすれば
コンビニに行く行為が「うまくいっていない事」なので
コンビニの代わりにジムに行く、等と変えてしまえばいいわけですなあ。

以上

まあ、ここまで書いててなんですが
個人の努力でそこまで変えていけたら、たぶんその人は日常的に課題の少ない人。
支援者が行うのは、目標設定。
解決された未来に見えるものを一緒に見て、ともに歩むことです。
※ちなみにSFAはブリーフセラピーの流れをくんでいる部分もあるそうです。
長い時間を一緒に歩んでいく、という最後の行はSFAの考えからは外れてるのかもしれません。

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