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驚愕の曠野  (著)筒井康隆 「驚愕の邂逅」と「変遷」

事業再編銘柄 小説

 あなたは、自身が投資をしている企業の沿革を、ある程度把握しているでしょうか? 日本には、創業から数十年と続く長寿企業があります。中には、100年200年を超える企業もあります。海外と比較をしても日本のそれは群を抜いています。2位のドイツに大きく差をつけています。

(理由は様々ありますが、日本企業は永続発展させることに意義を見出し、終身雇用体制や、退職金制度の充実に努めています。他にも外部環境として、侵略や戦争と平和に関連する要因もあります。興味がある人は各自で調べてください)

 これは並大抵のことではありません。経済の景況は容赦なく変化し、他国との争いは激化し、地震や台風といった災害も乗り越えられる対応力が不可欠です。荒波の中、創業時からその企業形態を保ち続けていることができずに、変化を遂げることで存続していく企業もあります。

『驚愕の曠野』の舞台は、荒れ果てた地です。環境は恐ろしいほど悪く、生き残るためにどうすればいいのかすらわかりません。それでも物語は淡々と続いていくのです。

 まさに企業が事業の再編を幾度と繰り返し、もはや元の原型がなくなったとしても存続していくようなものです。

あらすじ
何度死んでも魔界に転生してしまう絶望的運命を著者十八番の超虚構で描く表題作。

引用元:(著)筒井康隆 (作品名)驚愕の曠野―自選ホラー傑作集〈2〉 (新潮文庫)
 

著者の小説はバラエティに富んでいて、文学的な作品からエンターテイメントな作品まで、一概に語ることが難しいほど幅の広さがあります。笑えるコメディからハートフルな暖かい物語、そしてやはりSF作家というイメージが強いのではないでしょうか。

 大まかに『驚愕の曠野』はホラーに分類されます。冒頭からおねえさんの語りが雰囲気を作っています。どこか遠い場所から話しかけているような距離感があり、現実とは異質な世界に踏み入れたと瞬時に勘づきます。他は知りませんが、私が持っている「河出書房新社」の『驚愕の曠野』は本の中段から書き出されています。上段部分は余白なのです。すでに一筋縄ではいかないことがわかります。

 何やらクセのありそうな登場人物(?)は少なくありません。読んでいて、魔界かどうかもわかりません。イメージとしては、芥川龍之介の『羅生門』が近いと思いました。競合他社がひしめくマーケットも実は変わりがないかもしれません。創業当初の事業は縮小し、いずれ跡形もなく消えてしまうこともあります。企業が永続的に発展していくためには取捨選択が必要な場面もあり、そうしなければ企業自体が消滅する可能性も十分にあり得ます。

 創業当初、任天堂は花札やトランプの製造でした。伊藤園は日用品、DHCは翻訳業務をしていました。事業形態の変遷でまた蘇り、そして繰り返していきます。

 おねえさんが死んでしまったので、

 途中からぼくがかわりに読みましたけど、

 うまく読めなくてごめんなさい。

 それであのう、ぼくが読めなくなったりしたら、

 かわりの子が、また読んでください。

 ぼくよりうまく読める子の方が多いんだから。

引用元:(著)筒井康隆 (作品名)驚愕の曠野 (河出書房新社)

 私は一時期、ゲーム銘柄に入れ込んでいました。ガンホーが”パズドラ”で大ヒットし株価は爆発的に上昇をし続けました。その他のコロプラやドリコム、クルーズといった銘柄も後に続きました。

 今や”モンスト”で知られるミクシィは創業当初、求人情報サイト「Find Job!」の運営をしている会社でした。私が記憶にあるのは、SNS「mixi」です。当時は若者がこぞって登録をしていました。懐かしく感じます。

 そんなことも忘れて、時が経ち株式投資やトレードに熱中していた私の前に”モンスト”をひっさげ現れたときには、言い難い感動を覚えました。少しですが、私は迷わず投資をしました。

 変化に対応すべく、転生を繰り返す事業再編を今後も続き、現在ある企業が姿形を変えて、私たちの前に現れることを心待ちにしています。

著者紹介
筒井康隆
1934(昭和9)年、大阪市生れ。同志社大学卒。’60年、弟3人とSF同人誌「NULL」を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が「宝石」に転載される。’65年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。’81年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、’87年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、’89(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、’92年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。’97年、パゾリーニ賞受賞。’96年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

引用元:「BOOK著者紹介情報」

こんなトレーダーにおすすめ
・ファンダメンタル重視タイプ
・長期投資家
・思い入れタイプ

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