なろうで異世界転生が気づいたら下火になってたと思ったら急にメジャーに戻った話【ノベレコ通信番外】
動画にもしたが、noteで書いた方が拡散性も高いと思われるのでこちらでも記事にする。
なろうランキングに転生が帰ってきた!
小説家になろうに詳しい人なら知っている話だが、小説家になろうのジャンル別ランキングは、2016年5月末から異世界転生・異世界転移作品を掲載せず、それらの得票を別個集計でカウントしていた。
それが、今年の8月23日から、7年ぶりにジャンル別ランキングの方にも転生転移作品が掲載される様になった。
その背景にはおそらく、ここ数年で急激に進んだ異世界転生の得票率の衰退があるのだろうと考えられる。
こちらが当サイトで集計した、2023年7/30〜8/6の間に更新されたハイファンタジージャンルかつ異世界転生タグのついた作品の週間ポイント得票率である。
なろうでは1人あたりが投票できるポイントが1作品につき最大12までなので、6万5千ポイントは結構な量が投じられていると見えるが、次の表を見て欲しい。
先月の小説家になろうは圧倒的に異世界恋愛ジャンルにポイントが入っており、ハイファンタジーの異世界転生はその1/5まで割合が縮小していた。
異世界転生ではないハイファンタジーの得票率も、異世界転生の倍ほど存在していた。
つまり、十年かけて築きあげられてきた「小説家になろうと言えば、異世界転生ハイファンタジーのサイト」というイメージは、現地の実情とは既にかけ離れていたのだ。
それじゃあ昔はどうだったのか?
データが完全には残っていないので正確ではないが、
分離直前の2016年5月3日の週刊ランキングではランキング上位でデータの残っていた76作品のうち、34作品が異世界転生だった。
残っているデータだけで45%、残りのデータによってはおそらく5割ぐらいが異世界転生だったと考えられる。
2019年に行われてたインタビューによると、小説家になろうは取り扱ってるジャンルの印象固定化を避けたがっているので、2016年に行われた異世界転生ランキングの分離処理も、その印象固定を避けるための一環だったのだろうと推測できる。
ところで一ヶ月前の週間ランキングのジャンル分布がこちらだ。
異世界転生のランクイン率は一割少し。
存在してない訳ではないが流石に最大勢力というには厳しい量だ。
そして大ジャンルは七割が異世界恋愛。ランクインの四割が婚約破棄。
異世界転生全盛時代よりもジャンル偏ってるじゃねーか!!!
成程、これは確かに集計形式を再考するべき環境であろう。
そして集計形式の変更から半月程が経った、9月10日の転生ハイファンタジーのデータがこちらだ。
なんと得票数が一ヶ月ほど前の倍ほどになっている。
ジャンル別ランキングに掲載されるようになっただけで、5万ポイント近くの追加票が投じられる様になったのだ。
だがジャンル内でのポイント帯の分布はさほど変わっておらず、
ただ週間で1万以上のポイントを集めた作品が0件から3件に増えている。
つまり、異世界転生ジャンル全体が急に読まれるようになった訳ではなく、ランキング上位に行くような異世界転生作品に入るポイント量が急に一気に増大したのだと考えられる。
このことから、小説家になろうでポイントを入れる層について以下のことが推測される。
ハイファンタジーのジャンル別ランキングは見るが、異世界転生・転移ランキングを積極的に見に行く程ではなかった層が大きかった
ジャンル別ランキングに載っていれば、それが異世界転生・転移であることはあまり気にせず読んでポイントを投じる層が大きかった
即ち、ポイント投票を行う層に多いのは、ハイファンタジーランキングぐらいの大きい単位では調べるが、異世界転生・転移ぐらいの単位になると積極的に見に行く訳ではない、大雑把な単位で流行作品を調べる人たちである
この仮説ははっきり言って自分にとってはかなり都合が悪い。
人気が出たジャンルは個別のランキングを用意することで、そのジャンルを読みたい人は探しやすくなり、ランキングに載れる作品数も増えて席の奪い合いが軟化し、得をする人が増えると考えていたからだ。
データの話に戻ろう。
ハイファンタジーの転生ジャンルに票が入っている率は、
転生転移以外のハイファンタジー全てとほぼ同等にまであがっている。
転生転移を抜いた場合のハイファンタジーでの流行ワードはこの辺りだ。
転生時代から流行と言われる主人公最強が約3割、
昨今の流行と言われる追放ざまぁがそれぞれ2割5分から3割程度だ。
一方で転生転移のみでのハイファンタジーの流行ワードがこちら。
追放もざまぁも特筆するべき程の数は出てきていない。
これら二つのランキングが合流した結果がこちらだ。
現在の流行であると言われていた追放・ざまぁともにランクイン数は大幅に減少し2割未満になっている。
そして肝心の異世界転生のランクイン率は約5割。
分離前の水準に速攻で近づいてるじゃねーか!!!
ハイファンタジージャンルは、転生をジャンル別ランキングに掲載するようにしただけで爆速で往年の異世界転生サイトの雰囲気が取り戻されているのである。
この異世界転生を入れるとざまぁの量が減る減少は、異世界恋愛ジャンルでも発生している。
流石にハイファンタジーほど一気に異世界転生色に戻った訳ではないものの、それでも3割6分。最大勢力をざまぁから奪い返している。
ところで総合ランキングはというと、
大ジャンル比率自体はあんまり一ヶ月前と変わっていない。
異世界転生比率は4割で、
先月4割ほど占めていた婚約破棄も同等程度。
悪役令嬢が同じぐらいの量を占めている。
今のなろうは案外異世界転生のサイトではないよ、という環境は再び異世界転生が強いサイトへと戻ったようだが、
主力ジャンルが異世界恋愛であるサイトだという環境はもうしばらくは続きそうだ。
ランキング以外のところからも作品を探してみたいと思った場合は、うちのサーチエンジンを利用してみて欲しい。
(結局最後は宣伝かよ!)
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