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会話を成立させる方法(結論:自分の話を無理矢理聞かせるべき)

 私は、会話をするのが下手だった。
 人間関係を円滑にするには、何かしらの世間話をする必要があるのは分かっていたが、実際に世間話をしてみても、会話が盛り上がることはなかった。
 自分には会話の才能がないのか。
 もしくは、話題を選ぶセンスがないのか。
 それとも、相槌のテンポが悪いのだろうか。
 ひたすら理由を考え続けた結果、ある日ようやく気づいた。
 私には、自分の話を無理矢理聞かせる能力が不足していたのだ。
 中学生や、高校生だった頃を思い出してほしい。
 先生がくだらない趣味の話をしてきたとしても、あなたは話を遮らなかったはずである。
 なぜなら、話を遮ったことによってその先生に目をつけられてしまえば、内申点を下げられたり、授業でわざと難しい問題の解答を指名される危険があったからだ。
 また、サッカー部等に所属している「クラスのリーダー」から世間話をされたときも、あなたや他のクラスメイトは、早く話が終われと思いつつ、それを態度に出さないようにするために、相槌を打ちながら会話に応じていたはずである。
 なぜなら、会話を無理に遮ってその者から不快な人間と認定されれば、クラス内での立場が危うくなるおそれがあったからだ。もしくは、そのような危険はなかったとしても、あなたは、なんとなく、話を遮るのが怖かったのだ。
 逆に、あなたは、あまり会話をしたことのない地味な生徒から突然世間話をされたとしても、会話中にあくびをしたり、もしくは生返事をするにとどめて早々に話を終わらせていたはずだ。
 なぜなら、会話を遮ることによって生じる不利益が何もなかったし、また、話を遮ることに何も恐怖を感じなかったからだ。
 また、あなたは、親しい親族や交際相手が、以前と同じような話を繰り返していても、基本的には、話を遮らなかったはずである。
 なぜなら、あなたは、相手に対する愛情から、会話を遮ることに抵抗を感じていたからである。
 これらのことから、一つの答えが導かれる。
 それは、会話を継続させたり、盛り上げたりするには、「会話を遮ってはならない」というストレスを相手に感じさせることが必要になるということだ。
 この考え方に従って、世間話を継続させたり、盛り上げたりしようとする際には、例えば、「イキってる」人間のような、ハキハキした大きな声で話すこと、ドヤ顔のような笑顔を作りつつ相手の目をしっかりと見ること、相手に相槌を直接的に要求する言葉を頻繁に挿入することを意識するのが良いと考えられる。
 「会話を遮ってはならない」というストレスを相手に感じさせることが全てなので、仮に、芝居がかっているような印象を相手に持たれたとしても、それは問題にならない。むしろ、芝居がかっているような人間の方が相手に対しより多くのストレスを与えられるので、より一層会話を遮られにくくなるだろう。
 あなたの周囲の「陽キャ」に当たる人や、そうでなくても、誰かとよく世間話をしているような人には、上記の要素が当てはまることが多いのではないかと思う。そこで、次のような発言を参考に、世間話をしてみるのをおすすめする。
 あなた:「おはよう!野球とか見る?あんまり見ない?」
 相 手:「見ないかも」
 あなた:「そうなんだー!へー!野球嫌いなんだ?そうなんでしょ?」
 相 手:「うーん、嫌いっていうか……」
 あなた:「「嫌いっていうか……」ってどうしたの?実は野球ファン?」
 相 手:「まあお父さんは阪神ファンだけど」
 あなた:「阪神いいよね。っていうか君なんか元気なくない?」
 相 手:「そんなことはないよ(苦笑)」
 あなた:「もっと元気出した方がいいって!うん。松岡修造みたいにさ」
 相 手:「それは元気すぎでしょ笑」
 
 上記の会話は、相手があまり会話に参加したがらないのを、こちらの声の大きさ等で圧を感じさせるとともに、疑問文を多用して無理矢理会話に参加させた上で、さらに、「元気を出した方がいい」と励ます形式を装って、会話を遮るような態度をとらないよう釘をさしているものである。
 このように、世間話は、会話を遮らせないようにさえ意識すれば、どんなにくだらない内容でも、会話を継続させ、盛り上げることができるのである。
 
 
 
 
 
 

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