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[5分で読める]四辻御堂物語~水龍の巫女と妖狐の罠~(再会27)(無料試読あり)

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このお話のあらすじ

水の膜に連れられて着いたのは広くて白い空間だった。母の世話人に自分の部屋に案内された主人公は、そこでやっと母とふたりきりになる。


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以下本文


 その白い数珠をしっかり見る間もなく、水の膜がぐにゃりと動き出す。えっと思った時には地面をすり抜けて水の中を進んでいた。
 水の膜は一気に底へと進んで行く。こんなに深い湖だったのかと思い始めた時、湖の底が近づいてきた。水の膜はスピードを緩めない。

「お、お母さん? 底にぶつかる!」
「大丈夫」

 思わずお母さんの手をギュッと強く握る。湖の底が足に迫ってぶつかる瞬間、体中をぞわっと鳥肌が走り、私たちは地面の中に吸い込まれていった。
 一瞬暗くなったと思ったら、地面の底には大きな空間が広がっていた。白く明るい石造りの壁や床や天井で、その壁には一定の間隔で真珠のような白く光る玉がくっついている。いくつかの玉の下には扉もある。
 水の膜がまた「ぽよん」と白い床に着いて止まった。安全に止まると役目を終えたと言うように、膜は床の円の筋の中に染みこんで消えていった。改めて見ると天井が思ったより高く、奥行きもある。私は目が点になっていたと思う。

「渚、大丈夫?」
「え、あ、うん! 大丈夫。なんか、びっくりして。これもお母さんの術?」
「これは違うの。三芳みよしさんの術」
「おじいちゃんの!? やっぱり凄いヒトだったんだ・・・・・・」
「そうね。こういう術はあんまり得意じゃないって言ってたけどね」
「じじいは火の力だからな。これは金の力を強く持ってる奴が得意な術なんだ。まぁじじいぐらい長生きしてりゃ、このくらい楽勝だろうけど」
「じゃあ、将来クロ君もこういうことできるようになるってことなんだ・・・・・・」
「修行がんばります!!」
「ふふ、頼もしいのね。スオウ君も頑張らないと」
「いやぁ俺なんかで大丈夫かねぇ」
「むぅ。師匠は凄いアヤカシなんです!」

 ふんすふんすとしているクロ君がとても可愛い。最初に会った時、クロ君はスオウに命を助けてもらったと言っていた。命の恩人のそばに居られるというのは、やはり「ときめく」ことなのかもしれない。
 クロ君がスオウを見る目はいつもキラキラとしていて、そしてたまに「おかん」になっている。
 女性のアヤカシ2人が同じように水の膜で移動してきた。ここに着いた時にお母さんのそばに居たヒトたちだ。
 1人は青い着物を着た人の姿をしているアヤカシで、もう1人は黄色の着物を着た頭に2本の小さな角が生えているアヤカシだ。2人とも、当たり前のようにお母さんの両端に立つ。

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