(小説5分読書)四辻御堂物語~水龍の巫女と妖狐の罠~(こちらが四辻御堂です⑤)
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「あれ?ここは……」
色とりどりの花や青々と茂った草。そして海と間違えるほど広大な湖がキラキラと目の前に広がっている。波があれば海に来たと言われても信じてしまうだろう。砂浜は無いけれど、白く丸い石が湖を取り囲むように敷き詰められている。どうやら石は湖の中まで続いているようだ。
後ろに人の気配を感じて振り返ると、青い長髪のよく似合う、儚げな女の人が立っていた。
「よう来たの。ここは私の魂の世界じゃ」
「え?魂?私、死んじゃったの?」
「そうではない。ピンピンしておる。私がそなたの心をここに呼んだのだ」
「あなたが?私を?」
「そうだ。本当はもっと早くにここに呼べていれば良かったんだが。そなたの心は隙がなくての」
「はぁ……」
「そなたの心の糸がようやっと緩んだのでな、こうして呼ぶことができた。ま、どうやらあまり時間は取れぬがな」
「あの、あなたは?」
「私か?まぁ今はそんなことより、大事なことを伝える。時間も無い。手短に言うぞ」
「え、は、はい」
「そなたの母君、澪の体が、いや、命が危うい」
「え⁉︎お母さんが……?」
「澪と同じかそれ以上の力を持つ者の助けがいる。何か大きく禍々しい気配も感じる。すぐに澪の元へ呼び寄せるのじゃ」
「そんな、すぐにと言われても」
「まずは澪が生まれ育った家に行くと良い。そこでそなたの憂いの答えも見つかるだろう。そろそろ時間か。そなたと私は相性が良いようだ。いずれ、また会うだろう」
「待って!」
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