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(小説5分読書)四辻御堂物語~水龍の巫女と妖狐の罠~(こちらが四辻御堂です③)

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「有難うクロ。そうだ。この前ちょっと高級そうなクッキーを頂いたんだ。棚の中に入れてあるから好きなだけ持っておいで」
「いいんですか!?」
「少し長い話になるかもしれないからね」
「やったー!」

 こんなにあどけないリアクションをするクロ君が、私よりもずっと年上の大正生まれなんて信じられない。この時間のクッキーも信じられない。でも、クロ君が持ってきてくれた紅茶はとても良い匂いがする。さっきとは全然違う匂いだけど、確かにクッキーが食べたくなる。

「あんたもクッキー食べるだろ?」
「……うん」

 食欲には抗えなかった。

「頂いたって言ったけど、まさかどっかから盗んだんじゃないでしょうね?」

 精一杯の抵抗を試みる。我ながらなんて幼稚なのだろう。

「失礼な。ちゃあんと好意でもらったもんですよぉ。あっしは人から感謝されることが多いんでね」
「うわぁ、胡散臭い」
「はっ!そのうちわかる。さて、まずはどこから話そうか。やっぱり人間族とアヤカシ族の話からかね」

 スオウはぬらりと立ち上がって、壁際の大きな作業台のような場所を片付け始めた。どれをどかす時も、「ごめんよ」、「ちょっと失礼」、「そんな顔しなさんな」などとブツブツと言っている。
 粗方スペースが空くと、クロ君が持ってきた大きな巻物の最初の部分を広げて見せてくれた。

「さ、これが人間族とアヤカシ族の昔の姿だ」

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