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四辻御堂物語~水龍の巫女と妖狐の罠~(アヤカシの世界へ⑤)

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以下本文


 渚が澪の実家に行って4日目。未だ何の連絡も無い。かっこよくメッセージを送った手前、こちらからまた連絡するのも憚れる。澪の家柄を考えれば大丈夫だろうとは思うが、それでもやはり不安が大きい。あの人たちの考えることややることは時として異常だ。万が一、渚にもしものことがあったらと考えるだけで心臓が忙しなくなる。

「宮路? 顔色悪いけど、大丈夫か?」
「あ、あぁ。大丈夫だ。すまない、すぐこれ終わらせるから」
「どうした? 風邪でも引いたか?」
「いや、ちょっとな」
「あれか? 娘さんのことか」

 篠崎は同情するような、同志とでも言いたげのような顔で覗き込んできた。同期入社で同じ部署に配属されてから、なんだかんだで仲良くしてきたこいつには、やはり隠せないか。

「まぁな。近頃難しくて」
「わかるぞ。うちも娘が最近やたらと反抗的でな。見た目も派手になってきてて、俺のことなんかまるで糞でも見るみたいによ・・・・・・。父親ってのは辛いな」
「お前のとこも大変そうだな。でも奥さんがちゃんと面倒見てるんだろ?」
「まぁな。どっちかと言えば娘は嫁に似てるせいか、最近は嫁も娘と一緒になって・・・・・・。家に帰るのが憂鬱だよ」
「それは・・・・・・なんて言うか、こう言ったら悪いが、悲惨だな」
「いや! その通りだ! 俺は一生懸命家族の為に頑張ってるのに、あまりにも悲惨! あまりにも無情! 宮路ぃ。今度飲みに行こうぜぇ」

 今にも泣きそうな声を上げてしな垂れかかってくる篠崎をあやしながら考える。もし、澪が居てくれたら、渚とももっとコミュニケーションを取れていたのだろうか。それとも篠崎のように、反抗期らしい反抗期に悩んだのだろうか。
 渚はとても良い子だが、澪が居なくなってからずっと心を閉ざしたままのような気がする。父親というのは、どんな案件よりも難しい仕事だよ、澪。

「悪いな。今、娘は具合が悪くて学校休んでるんだ。早く帰って看病してやらなきゃ」
「ありゃ。それは大変だ。頑張れよ、お父さん」
「ありがとな」
「じゃあ残った仕事は俺に寄越せ」
「いや、それは悪いよ」
「いいんだよ。ここで恩を売っておけば、あとで飲みに付き合ってくれって堂々と言えるだろ?」
「わかったわかった。全部落ち着いたら付き合うから。すまないな」
「いいってことよ!」

 颯爽と歩き去る篠崎の背中は、頼もしくもあり、寂しそうでもあった。家に居場所が無いというのは、やはり辛いのだろうな。
 あまりお互いに家族のことは話していないが、篠崎とは気も合うし、今度渚にも話してみんなで食事会のようなことをしたら、女の子同士も気が合うかもしれない。それで何か変わるというわけではないかもしれないが、1つの出会いで人生が大きく変わることだってある。俺のように。
 今、渚は何をしているんだろうな。危険なことをしていないといいのだが。


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