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プライバシーと18歳成人

(2018年)長男が4月に18歳になりました。
その日のうちに、いつものかかりつけの医院から、
「お誕生日おめでとうございます。息子さんは18歳になりました。今後は、ご両親は息子さんの医療記録を見ることはできなくなります。インターネットで閲覧できるのは会計のインフォメーションだけになります。」
というメールが届きました。

アメリカでは18歳になると、選挙権ももらえ、陪審員にもなれ、親の許可なく結婚することもできるし、レンタカーやアパートなどの様々な契約書にもサインでき、タバコを吸うこともできます。男の子は、軍隊の徴兵のために登録する必要もでてきます。

余談ですが、お酒は21歳まで飲むことはできませんが、車の運転免許は大体の州で16歳から取得できますし、サウスダコタ州などでは何と14歳から取得できます。

今のところ、インターネットで息子の高校の成績を見ることはできますが、大学になったらこれも本人の許可なくして親が勝手にみることができなくなるそうです。

今から4半世紀以上も前のことですが、私が大学生の時は、日本では親に大学の学費の請求書が届き、大学の成績表においては、「親展」で保護者あてに送られて来ていました。最も、日本では(当時)成人は20歳なので18歳の「未成年」の学生の情報を親に開示するのは当然といえば当然ですが、成人した学生にですら、成績表も学費の請求書も保護者あてに送られて来るのが普通でした。20歳になって変わったことといえば、成人式があって、法律上も堂々とお酒を飲めるようになったことだけだったと記憶しています。

アメリカでは、大学生になったら、18歳の大人である以上、自分の健康管理、学校の成績、時間割、学費、などすべてのことに大人としての責任を負わなくてはいけないのです。

第一、近くのコミュニティー・カレッジなどに進学するのでなければ、大学進学と同時に親元を離れて寮に入るのが普通なので、勉強も、朝起きることも、3食バランス良く食事を取ることも、部屋を掃除することも、すべて自分の責任で行う必要があります。

遠くに住んでいる保護者は、子供の成績、健康、学費も含んだ経済状況をチェックしたくても、子供の許可がなくては知る由もありません。

最も、「税金を納める上で親の扶養家族になっている生徒のインフォメーションは、大学は保護者に開示できる」という規定もあるそうですが、ほとんどの大学が一律に開示しない、という姿勢をとっているそうです。学校が保護者に連絡を取るのは、「生徒に自殺の危険があるとき」および「21歳以下の生徒がお酒を飲んだり、ドラックを使用した場合」だけだそうです。(参考文献:”Beyond a Parent’s Reach: When a Child Legally Becomes an Adult” by Alina Tugend, October 31, 2014. https://www.nytimes.com/2014/11/01/your-money/when-a-child-legally-becomes-an-adult.html

親元を離れて大学に行く息子や娘の健康状態や成績を知りたいのであれば、「成人した大人」同士の話し合いを親子でもち、情報を開示するよう交渉して許可を取る、という親子のコミュニケーションが必要となってくるのです。

The Stellar Journal 2018年4月掲載
https://www.stellarrisk.com/ja/privacyofaneighteenyearold/?fbclid=IwY2xjawFIDJdleHRuA2FlbQIxMAABHU7qZTCqdffzeGzU71_EENXDTrKUSD4161k9KLVJzKbKlNRqH04Ala381w_aem_F4BHAo1b9TsYRsaeh9ejUA

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