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【異国の地で文化体験と英会話】ひとり旅 in Hawaii⑦青い空と海とjellyfish

セットしたアラームよりも先にハッと目が覚める。
時刻はAM5時。
カーテンを開けて外を覗くと、はい、真っ暗。

もう一度ベッドに潜り込むもすぐに目が覚めてしまう。
5時10分、カーテンを開けて外を覗くと、見事なまでに、真っ暗。

7時までにアラモアナビーチに着いてないといけないという緊張感が半端ない。



ハワイで迎える初めての朝

そんなことを繰り返して5時台はまだ暗いことを学ぶ。テレビをつけるとローカルアナウンサーが陽気にお届けする天気予報とローカルニュース。それを見ながら朝食のバナナをいただく。

ハワイのバナナ。小ぶりサイズで皮は濃い黄色に青みがかっている部分もあり、味は濃厚な酸味と旨味がガツンと効いていて美味しい。日本で食べるものとの違いに驚いた。萎れかけたお花に水を与えるように、Aさんからのお土産(バナナ)が私を元気づけてくれる!!

問題のアラモアナビーチまでの移動手段、走ることにした。
バス?時間通り来るのかもわからないし確実に乗れる保証もない。勝手のわからない異国の地で頼りになるのは結局、原始的な方法。

水着を中に着込み、ラッシュガードを羽織り、荷物を持ち、ランニングシューズに足を通して靴紐をキュッっと結ぶ。
1階のフロントには昨夜とは違う男性スタッフが一人。声かけると快くビーチタオルを貸してくれ、笑顔で見送ってくれる。

6時過ぎ、外はもうだいぶ明るくなり、人通りもぼちぼち増えている。
道は昨日歩いたから大丈夫と思っていたが、1本違う道を通るだけで全てがわからなくなりいきなり迷って引き返して時間ロス&そこから猛ダッシュ。
途中、早朝ランニングの人を何人も見かけたが、気持ち良さそうに走る彼らをよそ目に修行のごとく大荷物を抱えてドタドタ必死の形相で走っている私は、strange観光客だ。

走っても走っても辿り着かない。息は切れるし蒸し暑さが追い討ちを掛けてくる。
考えることをやめて足を動かし続ける。果たしてちゃんと目的地に辿り着けるのか?焦りと不安しかない。丁寧に塗られた日焼け止めは容赦無く滝汗に流されていく。

走ること40分・・・ジャスト7時アラモアナビーチ西側SUPレッスン会場到着!
ハァハァ息も絶え絶えに無事、現地人インスタラクターと会うことができた。
あぁぁもう今日のひと仕事は終えた。本当に疲れたレッスン開始前。
そして、辿り着いた先は朝から眩しい。

ガッツリ日焼けした肌が海の男を物語るおっちゃんインストラクター。日本語を上手に駆使する彼だが、英語勉強中であることを伝えると喜んで英語交えて話してくれた。正直このまま休憩していたい私はなんとか会話で引き延ばそうとしたが、、、マンツーマンSUPレッスン開始のゴングが鳴る。

アクティビティその2:初めてのSUP

Stand Up Paddle 略してSUP(サップ)はボードの上に立ってパドルを漕ぐハワイ発祥のマリンスポーツ。ボードはサーフボードよりも大きく分厚いため安定感がある。

まずは砂の上で、ボードから落ちた場合の対処法とパドルの使い方の練習。そして実際に海に入り、ボードを浮かせて最初は立膝でボードの上に乗ってみる。
進むためにパドルで水をかくのは、想像以上にものすごい力が必要。さらにバランスを保つためには足の踏ん張りが必要。立膝なので太ももの筋力をこれでもか!というほど使う。でも力を抜くと風に流されて意図せぬ方向へあっっという間に流される。
行きたい方向に進むためには、風を知ることが大事。木葉の向き。波の動き。
「この波はオーストラリアからやって来たものなんだ」おっちゃんが教えてくれる。

右、左、前から、後ろから、回転、、とパドルの漕ぎ方を使い分けるのだが、訳が分からなくなる。頭で考えず体で覚えるしかない。しばしの練習とたくさんの彼の助けにより、なんとか立って漕ぎ進めることができるようになった。
だけど私の体力は限界に来ていて、海に足を投げ出しボードの上に座って流されるままに流されるだけの時間が一番ホッとする。


必死に踏ん張るアラフォーの姿


終盤、海中からぴょこんと顔を出すホヌ(ウミガメ)にも出会え、約1時間半のレッスン終了。結局一度も海に落ちることはなかったが、早朝ラン&SUPで3ヶ月分の体力を一度に使い果たしてヘトヘト〜。しかもこの日は普段よりも波が強いようで、見た目以上に過酷なエクササイズだった。中年が軽いノリでやるものではない。
そんなわけで、終了後に飲んだ冷え冷えアップルジュースの甘みが壮絶美味しい。

まだ9時だが、太陽はギラギラ照り付け腕が痛い。タフな海の男と笑顔で別れ、少し歩いたビーチ沿いのベンチで休憩することにした。
ここで出会ったおじいさんとの癒しのひと時が、忘れられない思い出となる。

ベンチでの一期一会

疲れ果ててほぼ放心状態。歩いたり止まったりしながら日陰を探す。
日陰を求めて緑の多い方へ移動すると、ポツンと立っている人がいる。離れたところにも同じように立っている人。ほとんど動きはなく、くたびれたリュックサックを背負っていたり布を巻きつけたり。最初は分かっていなかったが、ホームレスだ。
Aさんからホームレス情報は聞いていたが、なるほど、風景に溶け込むように彼らはいるのだ。一見わからなかったのは、風貌が外国人なのでちょっとオシャレに見えた故に。
でもよく見ると、立ち位置は自ずとエリア分けされているように見える。
奥まっただだっ広い静かな緑の敷地にまばらにホームレス、その手前の道路とさらに手前の歩道、ビーチに活気溢れる一般人。

だから、一見良さそうに見える緑の敷地に佇むのはホームレス以外に私一人という状況で、慌ててビーチ方面に戻ってきた。彼らは別に何かをしてくるわけではないのだが。

ビーチに面する歩道にはいくつもベンチが設置されている。
とりあえず木陰のベンチを探して歩いた。
ようやく良さそうな場所を見つけたので腰を下ろす。もう動けない。
ボーッとする。ただただボーッとする。最高の贅沢。


ベンチからの眺め 絵になるライフセーバー


しばらくして、白いTシャツに短パン、肩に届く程の白髪混じり無造作ヘアに帽子を被ったおじいさんがおもむろに私の隣に座った。手には新聞紙。

ホームレス!?・・・か??
怪しい人???・・・ではない???

やや緊張感が走る横で、彼は新聞を読み続け、たまに足を組み替えてのんびりしている様子。時々腕時計とスマホを覗いている。
結局何もしてこないし害はないだろうと、気にするのをやめてまた海を見ていた。

30分は経っただろうか。そろそろ移動しようと立ち上がる。
隣のおじいさんに「Good by!」と声かけて立ち去ろうとすると、柔らかい笑顔で挨拶を返してくれた。簡単な挨拶でも話しかけるとそこから会話が始まる。せっかくなのでもう一度ベンチに腰掛けた。

彼は red flag について教えてくれた。今日は red flag が立っているから泳げないんだと。よく見ると遠くではためいている赤い旗。

「 Red flag why?」 拙い英語で聞いてみる。
「I don't know…maybe Jelly fish!」

ジェリーフィッシュ? 耳慣れない単語。
なんだろう。魚?
ググってみようと、つづりがわからないから聞きながら。

「 Spell?  What? G E ?」
「J、 E、 L、 L、 」と丁寧に教えてくれた一音ずつ打ち込み検索すると、手元のスマホ画面に現れたのは、、、

「Oh! クラゲ! This is danger! 」

カラフルなスマホ画面をおじいさんに見せて分かり合う。
「Yes!」

まず思いついた単語を並べ、疑問詞を冒頭に持ってくるなどという高度技術はまだ身についていないこの頃。それでも出会ったばかりの異国人同士でコミュニケーションを取ることは意外と簡単だった。テクノロジーの進化は偉大。

それからしばらく彼との会話を楽しむ。

英語勉強中で日本から旅行に来ていること、一人で来たこと、初めての海外、ハワイは良い所、特にこの場所は人の多いワイキキより落ち着いていてとても良いとジェスチャー交えて笑顔で伝えると、ワイキキは観光客が多いけどここは地元民が集う場所と教えてくれる。

さらに、昔日本へ旅行して京都と東京を巡ったことや、フラダンス講師の奥さんが只今レッスン中で彼女を車で送迎する任務を担っており、迎えに行くまでこうやってベンチに座って時間潰しをしていることを話してくれた。どうりで時計やスマホを何度もチェックしていたわけだ。

彼は私に合わせて簡単な英語を使いゆっくりと話してくれ、聞き返しても丁寧に答えてくれる。とっても優しいジェントルマン。年齢は70前後だろうか。運転やスマホ駆使などから認知機能と身体機能面では丈夫さがうかがえるが、会話を続けるとその理由がわかる。

ハワイの食べ物はなんでも美味しいしなんでも好き。特にフルーツはマンゴー、パパイヤ、パイナップル。普段から朝食でよく食べていると。

趣味は登山やハイキング。今までにたくさんの山に挑戦してきたと。
近くのおすすめスポットを聞いてみると、ワイキキ方面東側のなだらかな山を指差して「あそこに見えてるダイアモンドヘッドは何度も登ったね。そんなにハードじゃないから初心者にもおすすめ。絶対登った方がいいよ!」と念を押される。

偶然隣に座っただけで思いがけずたくさんおしゃべりできた。そろそろ帰ると別れを告げると、ジェントルマンな彼も妻から連絡が来たと言い去っていった。
とても楽しい素敵な時間をありがとう!!

1時間前までの放心状態からすっかり心癒された私は幾分軽くなった身体をエイっと起こし、帰りのバス停を目指して再び歩き出した。

翌日私はダイアモンドヘッドに登ることになるのだが、頂上での絶景は想像以上で、おじいさんの言葉は本物だった。もう一度会って感想を伝えたいけど、それは叶わない。でもいつかまたハワイへ戻ったら、このベンチに座りに行きたい。


青い空と青い海 癒しのアラモアナビーチ



次回は、初めてのバス体験。親切な女性に助けられる話





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