スナフキンさんはどうする?
別れた人に会った別れた渋谷で会ったーー。
ずっとエンドレスで流れてるんです。頭の中を。
そう話すのは、今年で57歳を迎えた、目の焦点が合っていない、間欠性外斜視の、スナフキンさんだ。(以下スナフと書く)
スナフ:僕悩んでるんですよ。大事な人と別れちゃってさぁ。
会う人会う人、自分のストレスを語ってしまってたんですよね。そのストレスって1番近くにいてくれた、彼女に対する素直な想いだったんです。いい悪い、別にして。別に彼女が嫌いでさぁなんて言った覚えはありません。ただ、彼女の身の上とか、現在の状況とか語ったかな。それがどうも話した相手に悪く伝わっちゃうんですよね。結局あることないこと、僕が語ったことになってるんです。結果的には彼女の悪口を話し続けてたんですよ。それってきついですよ。彼女にとってはね。僕も立場を変えて考えてみたらやっぱりきつかった。人から悪く思われていたら逆にそれってストレスですからね。
スナフの右目の視線は、右外へ。左目の視線は左外へ向いている。何を見ながら語っているのかよくわからない。
何を見てるんですか?
スナフ:人によく言われるんですよね。私の目を見て話しなさいと。格好だけでも、相手の鼻を見て話す癖をつければいいんですけど。記者さんのお顔を見ながら話しましょうか?
スナフの視点が私の顔に合った。おや、こうなると、結構イケメンである。
斜視は長いんですか?
スナフ:子供の時からその兆候はありました。けど、ここまでひどくなったのは統合になってからかな。大切な人は僕のことイケメンて言ってくれるんですよ。世界中でこんなこと言ってくれるの彼女しかいません。推してもらってたんです。ここまで僕のことをわかってくれているのは今も昔も彼女しかいませんね。
夢はありました。けど、なかなか実現できない。今になってみりゃー、100%思いが叶うって事はなかったんですよね。せいぜい50%が良いところ、それを彼女に求めちゃってたんです。厳しくしたかな。
そろそろ眠剤が効いてきました。ちょっとろれつが回らなくなってきてるでしょ。いつもこの辺から書き始めるんですよ。記憶と言うより薬のせいで本能で書いてしまうんです。彼女好きですよ。とってもいい子です。
さっき5時間近く電話しました。ポリアモリーについても話したんですが、一対一の結婚と言うのが常識だけど、同時に複数を愛してしまうこと。当事者全員が了解していれば問題ないんだけど、そうでなければ浮気とか不倫とか言われちゃうんですよね。それで誰かが傷つけば、本来のポリアモリーは成立しない。いろんな考え方があって、奥が深いんですよ。今度オンラインと小豆島のチケット取りました。僕なりに納得いくところまで研究したいんです。当日が楽しみですね。
彼女とは、別れても好きな人。皮肉ですけど、ちょうど今いい距離感取れてます。
時刻は、午前5時。近くの山から野鳥のさえずりが聞こえてくる。
スナフ:例えば30代の男性のズボンを、いきなりボケて引きずり下ろすかもしれない、というノリがあったとき、ちょっと待って、僕57、理由にならないからやめてやめてと笑ってズボンを押さえて逃げ回る。そんな雰囲気が彼女との間にはあったんですよ。作り話ですけどね。そんな時のいたずらっ子の彼女が大好きだった。ちょっとわかりにくいかもしれないけど。それが僕にとっての心の家だったんです。気がつくのが遅すぎました。もう別れてるんですからね。そりゃ寂しいですよ。けど、やっちまったのは僕なんだから誰にも文句は言えない。僕、反省って言葉が苦手なんですね。誰かを傷つけました。その原因は何なんだろう?どんな言葉、どんな行動で傷つけてしまったんだろう?それがわかった時初めてごめんなさい。そのプロセスがはじめてわかってきたんですよね。実際彼女は誰からも悪く思われるような言動は一切してなかったんですよ。なのに、僕がどこかで作り話を加えていって、彼女の悪い噂を広めてしまった。だから、彼女はストレスを感じて別れたんです。もう枠組みの復元は限りなく無理と彼女は言ってました。その言葉を受け入れるのには、僕も傷ついた。けど、言わせたのは僕だった。結局全部自分に戻ってくるんですね。自己理解さえできない人は、他者理解は無理。人とつながっていたいと思うなら、まず己を知って人を知ること。自分に素直になること。たろうさんは、自分を疑えと言っていました。自分が嫌だと思うことを人にはしない。人が喜ぶことを彼女はできる人です。彼女は気遣いの天才。僕の先生です。まだまださよならはできないなぁ。これからも彼女には、お世話になると思います。
ロス・インディオス&シルビア:別れても好きな人
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