雨宮千夏

雨宮千夏(あまみやちなつ)です。小説書いてます。兼業小説家目指してます。

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最近の記事

《エッセイ》MDを聴いていた頃

今の学生はどうか分かりませんが、私が高校生だった15年近く前の話。 当時はまだスマホもなくて、音楽を聴くのはMDプレーヤーだった。 今の子は知ってるのかな。 とにかくMDに、TSUTAYAで借りたCDを録音していた。 高校はチャリ通で、片耳イヤホンで宇多田ヒカルや倉木麻衣を聴いていた。 私が中学生の頃、クラスメイトが授業中にMDを聴いていた。 ブレザーのポケットにMDディスクを入れて、イヤホンコードをセーターに通して裾から出して、頬杖をつくようにして聴いていた。

    • 《エッセイ》テスト

      小学生の頃、テストをしたという記憶がかなり少ない。 夏休みとか冬休みは漢字ドリルや計算ドリルをやった記憶はあるのだけれど、授業中にテストをしたということがなかなか思い出せない。 その中でも、一年生か二年生の頃のテストはちゃんと憶えている。 たぶん、そのときの私は、どうしようもなくテストが嫌だったんだろう。 テスト中に答えも書かずに、テスト用紙に鉛筆で「バカ」と書いたのだ。 テストのバカ。 テストなんか嫌いだ。 その授業の終わりにテストは回収された。 その日の放課後、

      • 《エッセイ》鏡に映るもの

        小学生の頃、母親の使う鏡が汚れていたので、洗うことがあった。 私はその鏡を見ながら歯磨きをするのだ。 小学生だった私は、歯ブラシで前歯の裏をシャカシャカするたびに鏡に飛び散って汚くなっていた。 台所に立ち、鏡に洗剤をつけて洗っていた。 私が洗っている姿を見た母が言った。 「鏡洗っても、映るものは一緒だよ?」 「鏡は綺麗になっても、映るものまで綺麗にならないよ?」 小学生ながらショックで、いまだに憶えている。 その頃から、自分を鏡で見るのが苦手になった。 歯磨きし

        • 「星空のしたを、きみと歩けたら」《短編小説》

          星空のしたを、きみと歩けたら第一章 一学期  静寂な空間は人を萎縮させる力がある。無言の圧力が私を襲う感覚に近い。一学期の委員会決めは毎年苦痛だった。最後のほうになると、誰もやりたくない委員会が残って、誰か手を上げてよと言わんばかりの雰囲気になってしまう。  それはまるで、私自身に命令されているのではないかと錯覚してしまうのだ。誰かが手を挙げれば、このピリピリした空気から解放される。私はその誰かにならないといけないような、よく分からない責任感にかられて、手を挙げてしまう

        《エッセイ》MDを聴いていた頃