novel_032

偏差値37の体育科高校卒が小説家を目指す物語。

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最近の記事

朝2

 当時の私から見た母は、なんと言うかそうですね、朗らかで無垢と言いましょうか。     たまに子どもの私から見ても間が抜けていると思える節もあり、しっかりしてると言うよりは、ふわっとしてる感じです。 夏の空に浮かぶ真白な雲がふわふわと浮かぶように、何することもなく漂っているだけかと思うと、良く見ると微妙にもくもくと立ち上る様に形を変え掴み所を見せない風は我ながら良い例えだと思います。  それから、夏の入道雲の様にどこか圧倒的な存在感があった気がします。  母は否定をし

    • 2021年1月13日  あの日も今日と同じようにとても寒い朝でした。もっと正確に表現するとすれば、当時の私にとっては真冬の早朝に起きること自体が稀なことで、記憶に残っている限りでは初めての経験だったということです。実際には同じような、あるいはそれ以上に寒い日ももちろんあったと思います。ただ、私にとってはあの日の朝が最も記憶に残る朝でした。そのせいもあってか、その刺すような寒さもまた、今も尚私の中に強く残っているのだと思います。  そう言えば、あの頃には目覚まし時計がありまし

      • 習慣

        橘花 玲。  旧字体で表されたこの氏名を見れば、私が姓名単一表記が義務化された2052年よりも以前の生まれだと言うことがすぐにお分かりいただけたかと思います。  結婚という制度も廃止され、氏名を分ける意味が薄れたこともあり、今では私のように名字と名前を一緒に名乗る人はほとんといないでしょう。もちろん、向こうへ行く際にはこれでは許可が下りませんのでその時は改めなければいけないのは十分わかっております。  しかしながら、現時点でそのような思惑は一切皆無であることを先にお伝え

        • 動物園のような学校

          はじめまして。 突然ですが、私は動物園のような学校に在学しておりました。 「意味がわからない」 そう思われた方がほとんどだとは思いますが、これから説明しますのでご安心ください。 私は幼少から身体を動かすことが好きでした。 上から女、男男男の4人姉弟の長男で、 思えば既にこの頃から家の中は動物園のようだった気がします。 男3兄弟と言うこともあり、普段からじゃれ合うように身体を動かして遊んでいました。 日が暮れるまで森で遊んだり、川を延々と下ってみたり、下水道を探検し