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埋めたりせずに飛び越えてしまえ! 書きたいものとウケるもののギャップに悩まなくなるために

みなさんを創作沼に引きずり込むべく、すでに創作を楽しんでいる、いわば楽園の住人たちにインタビューをするこの企画「エデンの住人たち」。
インタビューは創作初心者のマシュマロ見習いが行っています。

「エデンの住人たち」第11回は読者の方のご要望にお応えして、水沢せりさん(@mzswxx)に再びお話を伺いました。

商業誌でもご活躍中の水沢さんが、自分の書きたいものと世間に求められるもののギャップにどう向き合っているのかをメインにインタビューを行いました!

今回はアンケート、マシュマロ式コラム連動記事です! ぜひそちらも合わせてお読みください!

「エデンの住人たち」を最初から読みたい方は以下の記事からどうぞ!

水沢さんの初回記事を読みたい方はこちら!

マシュマロ見習い(以下見習い):水沢さんは商業誌でも活動されているのですよね? 普段はどんなジャンルで書いていらっしゃるのですか?

水沢せりさん(以下水沢さん):ジャンルはライトノベル系のティーンズラブで、主なターゲット層は二十代~三十代の女性になります。媒体は電子書籍がメインです。

レーベルさんによってはラブシーンに規定が設けてあったりするので、そういった意味でもなかなかペース配分の難しい世界におりますね。
このジャンルに身を置くにさいして、あれこれと勉強すべく商業作家さんの作品に目を通してみたのですが、それらと比べればギャップは常々感じてます。

商業誌で感じるギャップ

例えば、大多数の女性が好感を持てるだろう大人しいヒロインや、甘くてふわっとした幸せなストーリーが書けないので、登場人物の属性とストーリー性とがヒロインに合わせてニッチな方向に寄ってくイメージですね。
あと、国の名前が出てくるだけでどんな国家かは特に描写されないということもありました。

これらの要素から考えるに、私の書きたいものと、こういった小説を愛読する女性が求めているものは違うのかも知れないなあ……と思うようになりましたね。ただ、無条件にヒロインが愛されて、ヒーローから愛を囁かれていればそれで満足なのか?と。

こう言葉にしてしまうあたり作家失格かもしれませんが、そんなふうに安易な作品ばかり摂取できる環境であるがゆえに読者に対して少しの不信感のような……嫌悪感のような……マイナスの感情すら、確かにあるんです。情景描写削ってセリフ増やして、ラブシーンも寒いセリフ言わせた方が良いのかしら?……なんて、真面目に突き詰めて原稿データを消した覚えがあります。

私もヒーローに愛されるヒロインは書きたいですが、きちんと愛される理由があって欲しいし、過程も人となりも、経験してきた過去だって大切です。個人的な意見ですがヒロインに感情移入できるか否かよりも、ヒロインが生き生きとしていない作品は退屈に感じてしまいますね。

見習い:水沢さんは物語のエンディングだけでなく、そこに至る過程や、キャラクターたちの歴史も大切にしていきたいと考えていらっしゃるのですね。そしてそこに読者の求めるものとのギャップを感じたと……。
書きたい小説についてもう少し詳しく教えていただけますか?

「自分の書きたいもの」を知る

水沢さん:たぶん「ゲーム作品を作る勢い」で小説を書きたいんだと思います。小説とシナリオの違いについて考えていたことがあって、そこからシナリオライターを目指したいなと漠然と思った時期があったんです。

世界観とか、国柄とかを細かく作ってしまうのはその時の名残りなのかもしれません。生活基盤などの足元がしっかりしていないと、キャラが立たないのでは?といったような、ある種の不安に駆られてるのかもしれないですね。

見習い:シナリオライターを目指していた時期もあったのですね!
水沢さんにとって違いは何でしたか?

水沢さん:ずっと続く一本道か、複雑に絡み合う五叉路とかの差だと思ってます。起承転結とか序破急に沿って結末まで書くのが小説で、その小説のなかでもあらゆる可能性を考慮……メタ的な言い方になりますが、フラグ管理をしながらストーリーを見せるのがシナリオかなって感じます。

あと、至近距離を映すのか、遠距離を映すのかっていうカメラワークの違いとか……小説とシナリオ、ある意味で対比的なジャンルなのかもしれないですね。

見習い:シナリオの場合、より広い視野で物語を眺めることになるので設定や、先ほど水沢さんのおっしゃっていたような「生活基盤」がしっかりしていないと空中分解してしまう、ということでしょうか。
現時点では「小説」を選んでいらっしゃいますが、ギャップがより大きくなってしまいませんか?

本当に「ギャップ」は存在するのか?

水沢さん:もう少し早くシナリオライターに興味をもっていたら、また違った未来が見えていたかも~とは思ってしまいますね。今でも憧れたりはしますが、小説は小説で楽しんで取り組めているので不満は無いです。

時と場合とか、ジャンルによりますが作者が自分で感じてるギャップは、読者さんからしたら「作者の持ち味」として美味しく食べていただけていることもあります。私は幸運にもそういった出会いがあったので、ギャップに関して難しく考えたり、埋めなきゃ!と必死にならなくて良いのかもしれないなぁと思えるようになりました。

見習い:自分の書きたいものを求めてくれる読者を実感したことで、書きたいものに対してより肯定的になることができたのですね!
それまではどのようにしてギャップを埋めていたのですか?

ギャップの埋め方

水沢さん:メンタル的なギャップを埋めるべく、できる範囲で色んな研究をしました。研究といっても最初はそのジャンルについて下調べして界隈の知識を得たり、数あるレーベルさんの特色を把握したり、作家さんの作品を買って文体や人物構造などを解体して要素を研究したり、くらいなのですけども。

私が居るのはヒストリカル調の作品なので、貴族とか宮廷と言った中世ヨーロッパ風の時代背景がメインになりますね。貴族とか宮廷っていうと華やかな舞踏会とか、ヒロインの意に沿わない政略結婚をイメージするかなあと思います。実際に他の作品を研究してみると、だいたいが身分差の恋愛を描いたものや、ハイスペックヒーローから目に見えた愛情表現をされる作品が多いと感じました。

文体はある程度なら矯正できますが、やっぱり猿真似だったり、付け焼き刃のテクニックでしか無いですし……作品の肝であるキャラクターの作り方だけは本当にどうにも出来なかったですね。

あれこれと実践しながら思ったのは…

——この先の購読者限定コンテンツの中身をチラ見せ!——

・どうやったらギャップに折り合いがつけられるのか?
・誰のために書くのか?

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