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鶴見明世・藤村龍生『スピリチュアル・コード──鶴見明世のシャーマン世界』

☆mediopos2680  2022.3.19

占いの原理については興味があるが
とくにじぶんで占いはしない

タロットもそのひとつだけれど
ほかの占いにくらべ
そうしたツールには
ある種シャーマニスティックな
無意識に関与する力が強く感じられるのもあって
それに取り込まれないように気をつけている
どこかわからないところに無意識がリンクさせられ
そこから見知らぬものが入ってくるからだ

少し前にユリイカから
鏡リュウジ責任編集による
『タロットの世界』がでたところだが
そのときにも絵札がある種のゲートとなって
つながっていそうなものには
ある種の距離をとるように気をつけていたりもした

鏡リュウジ氏には学問的な知識の視点が強くあり
そのことである種の危険防止装置が働くので
少しばかり安心して受け取れるところがあるけれど
タロット関係のものやスピリチュアルものの多くは
できるだけ敬遠するようにもしている
珍しく本書からは呼ばれたような気がしたので
興味をひかれ読んでみることにしたけれど正解だったようだ

タロットにはいろんなヴァージョンがあって
おそらくつながるところが異なっている
たとえば「マルセイユ版」などは
キリスト教的なゲート感が強くあり
それ以外のものにつながるのを拒み威圧するような
狂信的で強引な力を感じたりもする

本書によれば
ほんらいのタロットのソースはずっと古く
人類発祥の時代まで溯って伝えられていた
さまざまな古代の知恵が集められ
その原形ができあがってきたようだ
そしてその後さまざまな変遷をたどりながら
現在のようないくつかの版が成立してきたのだという

本書の著者である鶴見明世氏及び藤村龍生氏によれば
タロットに問うと
それが「鏡」のようになって
「あなたはこうだよ」と見せてくれるのだという
まさに「か・が(我)・み」であって
それが占いの基本であり
その基本が見失われない限り
占いがネガティブに働くことはない
しかも言語的な思考のフィルターが少ない分だけ
深いところでじぶんに向き合えたりする

その意味では
スピリチュアルな神的なソースからの
ある種のメッセージにしてもそれは
「その人が「誰であるか」にかかわってくる」ものとして
じぶんに向き合うためのものにほかならない
それは決して神からの命令や指示のようなものではない

鶴見氏は「ほとんど神話以前の地球的神格」である
玄武・青龍・朱雀・白虎という「四神」と
コンタクトしてきているということだが

そうした存在は「太古の時空を開くことで、
わたしたちがみんな「地球の夢」として生きている
ということを思い出させてくれる」のだという

わたしたち人類は地球で生まれ育ち
そしていまや地球環境の問題を問わざるを得ないなか
さらに「主義」や「利」でさまざまに対立し続けている

それも「地球の夢」のひとつではあるとしても
それはある種の悪夢でしかなくなっているが
悪夢をつくりだしてきたのも人間であるならば
悪夢を超えていくのも人間でしかない

地球とともに
良き夢を見られる時代をつくるためにも
一人ひとりがじぶんに向き合えますように

■鶴見明世・藤村龍生
 『スピリチュアル・コード──鶴見明世のシャーマン世界』
 (羽鳥書店 2022/3)

(藤村龍生「はじめに」より)

「鶴見明世は、不思議な人である。
 一般的には、卓越したタロット・リーダー(占い師)として有名である。
 小学生のときにタロットに出会って独学でタロットを学び、(・・・)リーディング歴は40年以上にも及んでいる。しかも、日本国内だけではなく、ドイツ・スイス・フランスなどヨーロッパでも、数年にわたって、タロット・リーディングを行っている。
 だが、それだけではない。鶴見明世は、ごく幼いときから、頻繁にいわゆる幻視的ヴィジョンを視る人であって、とりわけ1996年の臨死体験以来、ヴィジョン能力を通じて、さまざまなスピリチュアルな神格とのコミュニケーションはできるようになり、そうした神格とともに、さまざまな人、さまざまな場所の霊的な問題に、いわゆるシャーマン的に対処することも行っている。
 とても興味深いのが、彼女にかかわる神格が、この数千年のあいだに人類が形成してきたさまざまな宗教文化の形式にかならずしも合致しない、人類の歴史以前にまで溯る古代の神格であることである。たとえば、玄武・青龍・朱雀・白虎といういわゆる「四神」。だが、彼女は、それを古代中国でまとめられた四神像として理解し関与しているのではなく、その形式を超えたところで、それぞれの存在の独自のあり方を、みずからの経験を通して、知っているのである。
 そこには、キリスト教・佛教・イスラーム教といって、もちろんきわめて強力なのだが、地球における生命の歴史という観点からすれば、とても新しい最近のものである宗教が、あるいは抑圧し、封印してきた、地球のもっとも古い神的な存在の地平が垣間見える。
 「人新世」というような言い方も、最近ではされるようになってきているが、21世紀に入って、人類の歴史が転換期に突入してきていることは、誰にも意識されはじめている。そして、地球環境問題は、全人類にとっての切迫した課題である。誰もが、自分たちが住むところが、「地球」というひとつの環境=システムであることを意識せざるをえなくなってきている。そのとき、われわれのこれまでの歴史のダイナミズムの基盤であったそれぞれの「宗教」の枠を超えて、もういちろ、「われらの地球」の神秘的存在を感覚しようとしなければならないのではないだろうか。
 本書の対談に込められた思いは、それに尽きる。」

(鶴見明世 あとがき「勇気をもって流されること」より)

「情報化が進み、地球温暖化も激しく進行し、さらにはコロナ禍も重なって、世界は、人類は、時代は、大きく変わって行きます。わたしも、これまでのように、ただ「占い」をご提供するのではなくて、自分が経験している世界のことを少しでも人々に伝えなければならないのではないか、と思うようになりました。また、実際、多くの方から、そういう要望も寄せられるようになってきています。
 やはりこの時代、人間は、どうしても誰もが、三次元のこの世だけではなく、異次元の世界とかかわって生きているということを、正しく知るべきではないか、と思うのです。「スピリチュアル」という言葉葉、世に溢れているけれど、その多くは現世利益や自己満足を満たすもので、「とても都合が良いスピリチュアル」になっているように思えます。それではいけないのではないか。もっと複雑な、もっと広大な世界で、それはあるということを伝えなければならないのではないか、そう思うのです。わたしはある意味では「異端」かもしれませんが、けっして「異常」ではない。ただ空を見上げるだけではなくて、足元の地面を、「地球」を感じてもらいたい。求めるべきは、じつは、何かをゲットして欲を満たすことではなく、「勇気を持って流されること」。そのような思いが、本書の対談を通じて、少しでも、届けられたらと思っています。」

(「Ⅰ 鶴見明世の原点/独学でタロットを学ぶ」より)

「藤村/一般的に、人が「占い」を求めるときって、自分の人生の将来についてポジティヴなことを言ってもらいたいからではないですか? そういう気持ちがありますよね。たいていはピンチのときですから。でも、そういうときって、その人の生き方の全体というか、存在の仕方全体が問題になっているわけです。でも、本人は、危機の、嵐のまっただなかで、自分が何であるか、よく見えない。そこで、たとえば、タロットに問うわけです。すると、タロットは、その具体的な問いに即して、「あなたの存在はこうだよ」と返してくれる。けっして、そこで問う人とは別にどこかに一般的な回答があって、それが出てくるというのではなくて、まるで「鏡」のように「あなたはこうだよ」と見せてくれる。それが「占い」の本質だと思っているのですが、ちがいますかね。
(・・・)
鶴見/そうなんです。ある問いを投げたら、タロットが検索して回答をもってくるというのではなくて、タロットのほうが、問いかけている人がどういうあり方をしているかを「検索」にかけるみたいな感じがありますね。でも、皆は、たとえば御神籤を引くみたいな感覚でリーディングを求める人も多かったのですが、最近は大きく変わってきているのを感じています。わたしのもとにお出での方々に、自分にはわからない出来事の展開、未来だけではなく今現在の確認や、場合によっては自分の遠い過去のあり方まで知りたいというお考えでおみえになる方が増えています。そこにはご自身を鑑みるという行為が内在していると思いますが、そういう方にとっての「自己肯定」という方向になる視点からのリーディングを提供しています。」

(「Ⅰ 鶴見明世の原点/独学でタロットを学ぶ」〜タロットの起源を問う②白虎が答える」より)

「鶴見/[リーディング]一般に言われている歴史とは異なっている・・・・・・言われているのはまったく違っている・・・・・・キリストの死もタロットには関係ない・・・・・・「黙示録」も関係ない・・・・・・マリアの原形である隠された存在の知恵よりももっと溯るのだ・・・・・・。(・・・)(そして、タロットの起源は)エジプトをも超えているんだ(・・・)ばらばらになって漂っている知を集めようとしてタロットの原形ができて行ったのだ(・・・)・・・・・・エジプト以前、人類発祥の時代まで溯って・・・・・・そこで伝えられていたものがあるのだ・・・・・・そのときからすでにある知・・・・・・なぜこの星(地球)に生きていくのかという問いと答えがそのなかにあるのだ・・・・・・
(・・・)
鶴見/[リーディング]地球の歴史は二分されている。人類以前と人生が出現してからと・・・・・・人間という形をした存在がもたらしたのがタロットの知だ・・・・・・」

(「Ⅱ 臨死体験、そして四神の世界へ」より)

「藤村/よく考えてみたらわかりますが、お話に出たDNAということなら、それは、地球に生命が誕生したときから続いているんですね。誰のDNAもみんなそうです。DNAレベルでは、われわれはみんな太古から存続してきているのです。もしそれと同じように、「魂のDNA]というものがあるとしたら、それだって、まさに太古の地球からずっと続いてきているはずですね。だからDNAという遺伝情報の次元で視たら、われわれは誰もが、「玄武」までは行かなくとも、少なくとも「白虎」くらいには太古の存在んですから。
 このことをほんとうに、われわれの誰もが自分のことととして感じとらなければならない時代に入ってきています。
(・・・)
 だからこそ、この時に、さまざまな宗教体系、神話体系といった人類の文化のベースとなっていたものよりも、もっと古い、ほとんど神話以前の地球的神格が、人類にコンタクトしてきたということに、深い意味があるのではないか、と思ったりするのですが、いかがでしょう?

鶴見/これもまた難しい質問です。すみません、わたしは、藤村さんのように、思想的に整理するように自分の考えを形成してきたわけではなくて、あくまでもその場その場の事態に、そのつど必要な作法をもって対処してきただけなのですが・・・・・・でも、いま、あえて、何か一言ということになると、わたしの頭に浮かぶのは「地球の夢」という言葉です。
 わたしのファンタジーかもしれませんが、「地球」ってまるいですよね。球ですよね。地球はまわっていて、そのどこにも「てっぺん」はないですよね。ひとつの「てっぺん」があって。、それが「支配」したり、「裁き」をもたらしたりするのではなく、それぞれの人がみな同じように「てっぺん」なんだと。「まるい地球」に極があるとすれば、それは、まんなかの見えない中心、そして、それが、強いて言えば「愛」だと思いますね。「愛」と言っても、「隣人を愛せよ!」みたいな命令形になる「愛」ではなく、哀れな、傷ついた魂をただただじっと抱きかかえるだけのような「愛」ですが・・・・・・わたしがしてきたことは、究極的にはそういうことだけだと思っています。ただじっと抱きかかえる、それも、これも奇妙な言い方ですが、胸に抱きかかえるというよりは、子宮に抱きかかえる、そしてそのとき「子宮」が「地球」なんです。
 「地球に抱きかかえる」・・・・・・それが「地球の夢」。
 四神は、そういう「地球の夢」を思い出させてくれる、そしてそれが、ひとつの「花」として開くようにしてくれる・・・・・・それが「祝福」ですね、ある場合には「浄化」ですね。
 それぞれの生命というものが、きっとすべての生きものを含めて、「地球の夢」としてあるんだ、ということを、一人ひとりが、ご自分の慎ましい、しかしたったひとつの存在において、実感する。そして、それだからこそ、いたがいが共鳴しあい、つながりあえる、時間の流れを超えて、つながりあえるということを感じとる・・・・・・四神はそういうことを助けてくれるんだと思います。わたしたちに、太古の時空を開くことで、わたしたちがみんな「地球の夢」として生きているということを思い出させてくれるんだと思います。」

(「Ⅲ ヒーリング、世界を舞台として」より)

「藤村/明世さんがかかわってらしたスピリチュアルな存在は、けっして、神社であれ、教会であれ、すでにどこかに祀られてある「神」だったしたわけではなくて、ほんとうに「一対一」の関係を通して現れたスピリットだったようですね。
 鶴見/そうですね。スピリチュアルな存在というのは、究極的には、その人が「誰であるか」にかかわってくるんだと思います。「万人共通の神様」というのも存在するのかもしれませんが、それぞれの人が誰であるのか、はみんなちがっているんです。
 藤村/「その人が誰であるのか」−−−−それは誰もが、それぞれちがった仕方でスピリチュアルであるということですよね。誰もが、きっと本質的に、スピリチュアルなんですよね。信仰にあるなしに関係なく。
 それは、どれほど文化が異なっていても共通する普遍性ですよね。
 鶴見/はい、そのとおりだと思います。」

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