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ブラジルのファヴェーラから学ぶ、地域に根ざした青少年育成のチカラ

(この記事は2016/04/11に書かれたブログ記事をリニューアルさせた内容です。)


1. ブラジルのファヴェーラとその現状

ブラジルには「ファヴェーラ(Favela)」と呼ばれるスラム街が存在し、そこでは犯罪や貧困が深刻な問題となっています。ファヴェーラで育つ子どもたちは、教育を受けられず、ドラッグや犯罪、非行に巻き込まれることが多い現実があります。このような社会的な問題に対処するため、ブラジル政府は「プロジェト ソシアウ(Projeto Social)」という社会貢献活動を義務化し、地域社会に根ざした支援を行っています。


バルセローナ エスポルチーヴォ カペーラの会長とトップチーム監督

2. 「プロジェト ソシアウ」の取り組みとその意義

「プロジェト ソシアウ (Projeto Social)」とは、青少年を犯罪から遠ざけ、健全に育成するための社会貢献プロジェクトです。サッカーやその他のスポーツを通じて、地域の子どもたちに正しい価値観を教え、社会とのつながりを持たせることを目的としています。この取り組みは、単なるスポーツ活動にとどまらず、教育や生活指導を含む広範な支援を提供します。

私がサンパウロ滞在中に支援を受けた「バルセローナ エスポルチーヴォ カペーラ (Barcelona Esportivo Capela)」は、まさにこのプロジェクトの一環として活動しているクラブです。ここでは、子どもたちが定期的に集まり、練習に参加する姿が見られます。練習の前に担当コーチが私を紹介し、日本での仕事内容や来訪の理由を話すと、子どもたちは興味深く耳を傾け、学びの機会を得ました。


3. サッカーを通じた地域貢献活動の実例

「バルセローナ エスポルチーヴォ カペーラ」の取り組みは、地域社会と深く結びつき、クラブが地域の憩いの場として機能している良い例です。子どもたちは、スパイクを持ち、出席簿にサインをした後、貸し出された練習着に着替えて練習に臨みます。練習が終わると、更衣室で着替え、練習着を返し、自由な時間を過ごしてから、全員に「Tchau!!(バイバイ)」と挨拶して帰る光景は、まさに地域社会に根ざした活動の成果を示しています。

このように、サッカーを通じて地域貢献を行う活動は、単なるスポーツの枠を超え、子どもたちに必要な教育や社会的スキルを提供しています。ブラジルでは、このような取り組みに対して一般企業のスポンサーシップも盛んで、地域と密着した活動が支えられているのです。



4. 日本の育成年代の現状と問題提起

日本の育成年代におけるスポーツ教育は、一定の成果を上げている一方で、いくつかの問題も抱えています。特に、競技志向が強すぎるあまり、子どもたちがスポーツを楽しむという本来の目的が失われているケースが多いのが現状です。さらに、学校や地域のクラブでの活動が、過度に競争に偏り、精神的なサポートや社会性の育成が不足しているとの指摘もあります。

日本の育成環境では、スポーツが結果を重視するあまり、個々の子どもたちの成長を十分にサポートできていないことが多いです。特に、経済的に恵まれない家庭の子どもたちが、競技に参加するための資源やサポートが不足していることも問題です。競技レベルの向上を目指すあまり、全体としての支援体制が後回しにされている現状が、子どもたちの健全な成長を妨げていると言えるでしょう。

5. 地域社会との連携の重要性

ブラジルの「プロジェト ソシアウ」のように、地域社会との連携を強化することは、日本の育成環境においても重要です。スポーツクラブや地域団体が協力し、子どもたちに対して包括的なサポートを提供することで、より健全な育成が可能になるでしょう。地域社会が一体となり、子どもたちに対する理解と支援を深めることが、スポーツを通じた社会貢献の鍵となります。

ブラジルのファヴェーラでの取り組みから学び、日本でも地域密着型の育成支援を実現することが、より良い未来を築くための一歩となるでしょう。地域社会との連携を深め、スポーツを通じて子どもたちの成長を支える仕組みを作ることが、今後の課題であると考えます。


このときの出来事を別途note記事「主張」することでバランスをとる国」で詳しく紹介しています。


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