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2022年1月の本棚

明けましておめでとうございました。

今年も月イチでの更新を目標に、当社比でもう少し中身のあるものにしていけたらいいな、という所存です。頑張ろう。頑張るものでもない気がするけど。



ショーハショーテン! 1巻 / 浅倉秋成・小畑健(集英社)

『バクマン。』のお笑い芸人版。ラジオの大喜利企画で何度も読まれているネタ作りの天才高校生・畦道(あぜみち)と元子役で演技力・表現力がズバ抜けている高校生・太陽のコンビがお笑い芸人の頂点を目指す物語。

マンガの中で「漫才」を取り扱うのってかなり難易度高そうに感じるけど、特有の「間」なども計算されて描かれていてしっかり面白い。2022年の新刊1冊目に選んだのは正解だったかもしれない。(ネタそのものに笑えるかどうかは個人差アリ)


Dr.STONE 24巻 / 稲垣理一郎・Boichi(集英社)

天才プログラマー・SAIを仲間に加え、「コンピューター」開発に取り組む千空たち。途方もない数のメモリーを作る為に地球各地の仲間たちと人海戦術でクラフトしていく。移動手段も通信手段も充実してきたし、地球のどこにいても協力し合えるようになってきている。もはや現代を超えているのでは?ってくらい。

日本に凱旋した一行はダムを駆使した水力発電で月へ行く為のロケット開発に着手。いよいよ宇宙が近づいてきた。30巻くらいまでには完結しそうかな?TVアニメ3期の放送も待ち遠しい。


SAKAMOTO DAYS 5巻 / 鈴木祐斗(集英社)

中国マフィアからの情報により、スラー側の猟奇殺人犯たちの存在を知った坂本商店ファミリー。ジャンプ作品らしい「各所で敵と1対1で戦う」やつが繰り広げられてベタだけど面白かった。ベタだけど。シンも予知みたいな能力が覚醒してかなりレベルが上がってきた。これもまぁベタではある。


アオのハコ 3巻 / 三浦糀(集英社)

大喜と千夏先輩の同居関係を知ってしまった雛ちゃんが調子を崩してしまう。そんなこと知りもしない大喜は普段通りに接するけど、それも苦しい雛ちゃんが可愛い。報われてほしい。

それぞれの思いを胸にインターハイに臨む面々。千夏先輩がやっぱり「先輩」だなーって思わせるシーンが多々ありつつも、雛ちゃんと大喜の歯に衣着せない関係に嫉妬したりと、色んな面が見られて最高。報われてほしい。


逃げ上手の若君 4巻 / 松井優征(集英社)

時行たち逃若党は北信濃の悪徳国司に虐げられている諏訪神党たちを逃がす「撤退戦」の手助けを任される。しかし、死ぬ覚悟を決めた神党たちは一筋縄では行かない「死にたがり集団」だった。戦で命を落とすことが美徳とされてきたこの時代で、時行の「逃げ生きる精神」が彼らの姿勢を変えていく。

一方、荒廃した鎌倉では足利直義率いる強者たちが支配の手を広げつつあった。足利勢が強大すぎて逃げ切れる気は、まだしない。


トリリオンゲーム 3巻 / 稲垣理一郎・池上遼一(小学館)

AI花屋の売上爆増を狙い、歌舞伎町に潜り込むトリリオンゲーム社員のハルとガク。作戦は成功するも、大企業ドランバンクに目を付けられ、事業を丸パクリされた挙げ句、あっけなく敗北を喫する。

大企業のメディア戦略に対抗すべく、メディアの力を手に入れたいハルは「ソシャゲ開発」に「タレント確保」と次から次へと弾を持ってきては実行に移していく。

原作が同じ稲垣理一郎先生なだけあっ社会人版「Dr.STONE」みたいな様相を呈してきた感じがある。ロードマップも描いちゃってたし。次は何をしでかすのか楽しみ。


潮が舞い子が舞い 7巻 / 阿部共実(秋田書店)

今回も変わらず面白い海辺の街の高校生たち。収録話の中から印象的だったセリフを抜粋していくやつやります。

●第67話:一万田「薫る風 友と纏いて 地を流れ 桔梗の空へ 潮と纏いて」●第68話:赤桐「他人が勉強してる間に得た知識に救われることだって大いにあるだろ」●第69話:右佐「イキればいいんだろ!イキれば!」●第70話:刀禰「だから自分の思ってること主張するために他人の言動を好き勝手解釈して使うなよ!」●第71話:タッさん「大人になったら年齢なんか関係ないわい 若こー思われるか老けて思われるか自分次第やど」●第72話:五十嵐「柿境ちゃんもかわいいよ 顔面が現代アートみたいで」柿境「私の顔面メッセージ性えぐいじゃん!斬新な世相斬りしてそうじゃん!」五十嵐「バンクシーに落書きしてもらったみたいに美しいよ」柿境「じゃあ元はただの壁じゃん」●第73話:犀賀「この女鴉め!かしこくてしかもかわいい愛しているぞの意」●第74話:水木「百々瀬は読めるわけじゃないけどダンジョンの中のセーブポイントくらい安心する」●第75話:氷室「水木先輩あきまへん」●第76話:水木「フロアが風の谷に伝わる伝説みたいになってるじゃないですか あとは青い衣まとってヤンキーのドタマの上歩んだらもうナウシカですよ」●第77話:タッさん「学生時代に積み上げたもんは一生や よー学んで よー遊べや」

こう見ると、刀禰率高めだったかな。ちょくちょく鋭いことを言うジジイのタッさんが刀禰のおじいちゃんだということも発覚した。あとは相変わらずの右佐の人気っぷり。キャラの名前が変なのが多いから振り返りの時間が大切だなと思った。


僕の心のヤバイやつ 6巻 特装版 / 桜井のりお(秋田書店)

バレンタインからナンパイ(山田をナンパしてくる先輩)の卒業式までを収録。バレンタインや放課後映画デート、山田の仕事見学に卒業式での送辞と盛り沢山だったけど、卒業式後の保健室での山田の告白がもう全てを持っていく程のヤバさだった。

「山田は僕が好き」のサブタイトルだけでご飯3杯はイケる気がする。ナンパイも市川と同じくらい真剣で、その姿を山田がちゃんと見てあげていたっていうのも良かった。登場人物全員の想いが溢れた巻でした。


酒と鬼は二合まで 2巻 / 羽柴実里・zinbei(スクウェア・エニックス)

ひなたと同じ一族の鬼・みかげに襲われたナオリ。色々と複雑な鬼の一族の事情も聞きつつ、ひなたとナオリは、鬼が飲むと人間になれるという「神変奇特酒」を探しにとある山へ。ほのぼのとした線で描かれる「酒×鬼×女の子」マンガ第2巻。

梅酒の牛乳割り、味が想像できないけど今度試してみようかな。


可愛いだけじゃない式守さん 1~11巻 / 真木蛍五(講談社)

読もう読もうと思っていたらいつのまにか二桁以上の冊数が刊行されていて、遅ればせながらドカッとまとめて読んだ。

生粋の不幸体質の和泉くんの彼女・式守さんは優しくて可愛いくて人気者。そんな彼女が時折見せる”イケメン気質”に和泉くんは翻弄されっ放しだけど、和泉くんの純粋な愛情表現も式守さんには効果バツグンで。

【不幸だけど愛情全開な彼氏】と【キュートでクールなハイペック彼女】の尊いだけじゃないラブコメ漫画。デートの度に色んな服装・髪型をしてくれる式守さんが可愛い。

登場人物は基本みんな良い子たちだけなので読んでいて嫌な気持ちにはならないけど、それが逆にちょっと「薄っぺらく」感じて、受け入れ難い要因にならなくもない気もした。4月からTVアニメも放送されるそうで、それも含めて今後が楽しみ。


きみとピコピコ 2巻 / ゆずチリ(秋田書店)

オタクがギャルとゲームするやつその1。ゲーム部の夏合宿といえば、旅館で徹夜でゲーム三昧!一生使っても全てのゲームを遊び尽くせないのはマンガも一緒だな。まぁこの世の大体は一生を費やしても味わい切れないんですけど。

部長と鶴先輩の関係の方が面白そうだと思っていたら、最後にアゲハさん家がヤクザということが判明して一気に意味不明になった(?)これでもかってくらい流行り要素をぶっ込んでくる。


ギャルゲーマーに褒められたい 1巻 / げしゅまろ(KADOKAWA)

オタクがギャルとゲームするやつその2。Twitter発のやつ。バトロワゲームが上手くなりたい引きこもりがちの男子高校生がコーチをお願いしたプロゲーマーは同じ高校のギャルだったという陰キャの妄想を具現化したみたいな内容。

バトロワゲームそのものが少し嫌いなのと露骨なエロが多めで正直結構キツかった。いやこの点は購入前から分かっていたことなので、とりあえず1巻を読んだ上で何か思うところがあるかもしれないし…と購読したけど、読む前と読んだ後で感想はあまり変わらなかった。


ブランチライン 3巻 / 池辺葵(祥伝社)

今回も心にしまっておきたい言葉ばかりだった。

仁衣への贈り物を買う後輩の山田と岳。15年以上の付き合いになるイチと占い師の女性。家族でプールに行ったこと。姉妹の中で最も逞しい(のかもしれない)茉子。お墓参りと父親の存在。母の経験、四姉妹の考え方、その全てを受け止めて、自分の世界を見つけていく岳を、少し羨ましく思う。


最果てのソルテ 1~2巻 / 水上悟志(マッグガーデン)

『惑星のさみだれ』の水上悟史先生が描くSFファンタジー。孤児の少女ソルテが仲間たちと共に世界の果て、魔界にあるという死者の国を目指す物語。

魔法汚染が進み、魔法が禁忌とされている世界。ソルテの目の前で死んだサリエラという名の謎の女性。彼女に託されたペンダントから現れた「2周目の旅」をする妖精セレン。死にたがりの不死身王子フィロ。精霊病でモグラ男の姿になっているソルテの謎多き叔父ブラック。魔界調査隊や神罰騎士団といった他の勢力。「決断と勇気を必要とする行動 それらすべてが冒険だ」

まず各話の最後にタイトルコールが入るタイプのマンガ、大好きです(ここ大事)。冒頭、単なるファンタジーかと思っていたらそんなことはなさそうな気配が1話の終わりには既にあり、2巻の後半と特別読み切りで「え?え?え?、、、ええええ!?!?!?」みたいなことが判明し、思わず唸るしかなかったのは流石だなと思った。こんなにワクワクできることが、とても楽しい。短編集や他の過去作とかもちゃんと読みます。

『惑星のさみだれ』のTVアニメも大変楽しみです。


のボルダ 1巻 / 鬼頭莫宏(新潮社)

『ぼくらの』『のりりん』の鬼頭莫宏先生の新作はボルダリングジムが舞台。常に課題に向き合い、自分と向き合い、壁を登るという趣味を楽しむ人たちの静かなスポーツマンガ。高校生の男女の回が甘酸っぱすぎて最高だった。

ボルダリングは過去に数回だけ、誘ってもらってやったことがあるけど、難易度が高くて筋肉痛に泣いたイメージ。でもおこがましくも、このスポーツの醍醐味みたいなものは感じ取れて、それが作中で言語化されていたのが嬉しかった。

近年競技人口も増えて人気スポーツになっている「ボルダリング」に触れるきっかけにもなりそうな良いマンガでした。静かに楽しめるスポーツが好きです。


君に会いたい 1巻 / 売野機子(新潮社)

雪の国の二人の王子は火の国の王女に会う為に城を抜け出し、国境を目指して雪の中を無翼のドラゴンを連れて旅していた。魔法、襲い来る魔物、城からの追手、見たことない景色の数々。「君に会いたい」一心で歩む少年の物語。何というか、とても綺麗なファンタジーでした。余計なものが含まれていない感じ。

売野機子先生の過去作品も読んでみたい。


ゴゴゴゴーゴーゴースト 1巻 / 蛭塚都(KADOKAWA)

社内不倫で弄ばれ、人生のドン底にいた傷心OLの明智ウシロ。自宅で酔い潰れ、頭を打った拍子に、自身の守護霊を名乗るオネェ幽霊・正子が見えるようになったウシロは彼女(彼)の力を借りて自分を弄んだ男を「祟る」べく動き出す。

主人公・ウシロの性根が腐っていて、原動力も最低なのでロクな結末を迎えなさそうだけど、失うもののない、ある意味「無敵」となった人間が一番恐ろしいので今後の展開が気になる(そんな張り詰めた内容ではなく、あくまでコメディ)。

そもそも不倫の片棒担いだのはお前だからな?という感想は置いておいて、今の所はスカッとする内容で面白い。


ミューズの真髄 1巻 / 文野絞(KADOKAWA)

憧れていた美大の受験に失敗し、毒母に縛られる毎日を送っていた会社員・瀬野美優は、絵を描くことを諦め切れず、キャンバスという名の盾を片手に裸足で家を飛び出した。人生やり直し系マンガ。

街で出会った怪しいチャラ優男や器用な不器用エリートといった男共とこれからどう絡んでいくのか楽しみ。人によっては結構心抉られるので心して読むべし。


BUDDY CAT 1~2巻 / ぶきやまいちこ(少年画報社)

猫が進化し、言葉を喋り服を着て二足歩行している世界。クールな頭脳派、ハチワレ猫のエイトと大柄な肉体派、三毛猫のミケの二人の刑事が猫本来の習性や身体能力通りの行動を取ってしまう「先祖返り」の謎を追いかけて奔走する獣人バディーマンガ。キャラクターのケモ度は5段階で言うところの「2.5」くらい、多分。

こう言っちゃアレだけど、メス猫がいちいち可愛くてある意味な”危険な”マンガかもしれない。ケモナーな人にも、そうでない人にもオススメです。

あと1巻のあとがき四コマでも触れられていたけど、エイトとミケがまんま『猫の恩返し』のバロンとムタなので、ああいうテイストが好みの人にはさらにオススメです。バロン大好きだからエイトがとても魅力的だった。


からかい上手の高木さん 17巻 / 山本崇一朗(小学館)

1月からTVアニメ3期も絶賛放送中。西片が素で見せる優しさが高木さんには一番効果的ってなんで本人は気付かないかな~(そういう漫画だから)。たまに出てくるサブキャラ回も楽しい。北条さんが作中一番好きなキャラクターです。劇場版の詳細も早く知りたいな~


君は放課後インソムニア 8巻 / オジロマコト(小学館)

今を懸命に生きるガンタとイサキ。天文部としての夜間観測会はあいにくの雨だったけど、嵐の夜の学校とか、それはそれで最高にテンションが上がるシチュエーション。その雰囲気に乗せられてか、ガンタもイサキに改めて想いを告げる。7巻のラストと対照的な今回のラストも良かった。イサキ長生きしてくれ…

そしてまさかのTVアニメ化&実写ドラマ化決定!どんな感じになるのか楽しみ。


破談から宜しくお願い致します 1巻 / 水島ライカ(スクウェア・エニックス)

筋肉大好き28歳の朝緋智也のお見合い相手は12歳も歳下の財閥令嬢・月ノ院瑠璃。好印象だったが、流石に歳が離れすぎている…とお見合い当日に破談を申し入れたつもりが、どうしたわけか執着されてしまい、なし崩し的に交流していく。

マッチョ紳士とちょっとストーカー気質のお嬢様の歳の差ラブコメマンガ。なんかこういうタイプのマンガばかり読んでいる気がしなくもないけど気のせいかな?


花とくちづけ 4巻 /  七都サマコ(講談社)

海旅行に文化祭とイベント盛り沢山だった。もう二人とも過去に会ってるし親公認だしで弊害がなさすぎて面白い。ただ彼氏の仕事上のパートナー♂も一緒に3人で住んでいる状況ってどうなんだろ?いいのか?いいのか。


ハマる男に蹴りたい女 1巻 / 天沢アキ(講談社)

完璧なエリート人生を送っていた主人公・設楽紘一は職と家庭を一度に失い、友人の誘いでとある下宿の管理人をすることになる。その下宿の住人・西島いつかとは実は過去に因縁があったり、意外と家事を楽しくこなしちゃったり、三十路男の振り回し振り回されの管理人ライフラブコメ。

所謂「お暇いただきます系マンガ」の男女逆ver.って感じ。主人公もヒロインもプライドが無駄に高くて、これからどう関わっていくのか楽しみです。


ハクメイとミコチ 10巻 / 樫木祐人(KADOKAWA)

1年の内の最初にして最大の楽しみはこの『ハクメイとミコチ』の新刊発売。今年も最高を大幅に更新する大満足の内容でした。ということで、湧き出る想いを綴っておきます。以下収録話の内容と感想ネタバレしかない。

●第74話【雨宿りと鼻歌】雨宿りで鉢合わせたハクメイとコンジュ。音痴なハクメイの為に鼻歌の特訓をつけようと興奮気味のコンジュとタジタジなハクメイの対比が可愛かった。自分も音痴だからハクメイの気持ちはよく分かる。●第75話【師弟と風車】ハクメイの元に歴史ある大工組合「甲羅木組」から引き抜きの話が来る。「石貫會」で一緒に仕事をしてきたイワシは師匠として、友として、そっとハクメイの背中を押すのだった。二人の関係が素敵。●第76話【労いの宿】4巻で登場した温泉旅館「コヌタの湯」に泊まることになったハクメイとミコチとその仲間たち。明るい内から近場の旅館に泊まるという現実でもかなりの贅沢の極みを疑似体験できて幸せだった。温泉行きたい。つづく。●第77話【湯煙の夜長】つづき。呑戸屋姉妹も合流し、晩ご飯に舌鼓を打った一行は、貸し切り露天風呂「樹上湯」へ。『ハクミコ』は毎巻必ず所謂「早く”これ”になりたい」シーンが登場するけど、今回はこのシーンでした。見晴らしの良い樹上の露天風呂とか入ってみたいな〜。あと風呂回なだけあって普段あまり描かれないキャラクターの全裸描写が多くて「ニッチなえっちさ」を見た気がした。●第78話【初めての港町】ジャダ、初めてのアラビの街散策。マキナタでのんびり美容師業を営むジャダにとって、騒がしい港町は面食らう場面の連続。初めて訪れる土地の中に「自分の感性に触れるもの」を見つけられた時の感覚はえも言われぬものがあるね。●第79話【空色の種帽子】故郷を離れる若者へ年長者から贈られる「種帽子」。土地や世代によって様々な型が存在する種帽子はこの漫画を彩る要素の一つ。ハクメイとミコチは、ハクメイの破れた種帽子を修理しに職人の工房を訪れる。謎多いハクメイの経歴を紐解くように素材や製法を探っていく。種帽子の存在そのものも大好きだけど、工房の職人さんとお弟子さんの関係がこれまた良くて暖かい気持ちになった。●第80話【昔の話】種帽子の一件で、今までなんとなく聞きそびれていたハクメイの過去について気になってしょうがないミコチ。見かねたハクメイは淡々と語り始める。先生のこと、父様のこと、旅に出た日のことを。なるべくして旅人になったハクメイの昔の話。当時は悲しいものだったかもしれないけど、今のハクメイを形成する大事な根っこになっていて、もうね、大号泣ですよ。自分でもちょっと引くくらい泣いてた。

これ、書いていいのか分からないし、本当になんとなくだけど、作品の完結が近いのかもしれない、と今まで読んできて初めて感じた。連載10周年・10巻という節目で、感傷的になっているだけかもしれないと思いたい。この作品に出会って約7年。もはや己の一部みたいな気持ちでいます。これまでもこれかも大好き。(別にまだ終わらない。)


殺し屋は今日もBBAを殺せない。 5巻 完結 / 芳明慧(小学館)

BBAが30年前の公安機動特殊捜査隊隊長時代に捉えた男・新藤キョウシロウの脱獄を機に始まった最終決戦。BBAの過去の仲間たちが招集されていく流れがめちゃくちゃ好き。最後の戦いも血湧き肉躍る感じが良かったです。

戯れにも見えた。死闘にも見えた。そして最後もやっぱり「殺し屋は今日もBBAを殺せない」。


花は咲く、修羅の如く 1巻 / 武田綾乃・むっしゅ(集英社)

島育ちの春山花奈は昔から「朗読」が大好きだった。島外の高校に進学した彼女はその”読み”の才能を買われ、放送部へ半ば強引に勧誘される。そこで出会った癖の強い部員たちと、共に目指すは全国大会「NHK杯放送コンテスト」の決勝の舞台。

これは、自分に自信のない少女が「好き」の力を信じて一歩踏み出す物語。

「放送部」と言っても部門や活動内容も様々で、1巻を読んだだけでもその奥深さが伝わってきて面白かった。『響け!ユーフォニアム』シリーズの武田綾乃先生の初マンガ原作ということで手に取ってみたけど、大満足の一冊でオススメです。1巻発売記念PVもとても良かったので一見一読の価値あり。


SCRIBBLES 1 / 森薫(KADOKAWA)

『シャーリー』『エマ』『乙嫁語り』の森薫先生が過去に雑誌等の付録小冊子として世の中に放出されてきた極上の落書き(SCRIBBLES)たちをまとめたファン必携の一冊。ワイド版とB6版の2種類刊行だったけど普通にB6版を購入。『ハルタ』に付いてきたものはいくつか持っているけど、こうやって改めてまとめていただけるのは大変ありがたい。

来月2月には早速2冊目が出るらしいので今から楽しみです。詳しい内容や紹介は「青騎士」公式noteをチェックだッ!↓↓↓


園宮さんの婿事情 1巻 / 岡畑まこ(リブレ)

超セレブ学校の生徒会長を務める園宮スミレは、責任感が強く、おまけに大の男嫌い。ある放課後、不良に絡まれていた彼女は、他校の男子高校生・高瀬チカに助けられる。トキメキかけたスミレに対して彼が放った言葉は「僕のことーーお婿さんにしてくれない?」という衝撃(意味不明)の一言だった。

お嬢様と庶民?の身分差ラブコメ。キャラクターも展開もよくある部分はありつつも、話がサクサク進んで楽しく、読みやすかった。作者の方の初のコミックとのことだけどこれからに期待大!

チカの掴み所のない飄々とした有能キャラぶりが個人的にはかなり好みな設定。振り回される園宮さんも可愛い。


お近づきになりたい宮膳さん 4巻 完結 / 秋タカ(スクウェア・エニックス)

無事付き合うことになった宮膳さんと松林くん。不良としての自分の名が知られている以上、彼女である宮膳さんにも危害が加わるかもしれないと髪を黒く染め直し、堂々と付き合う姿勢を示した松林くん。二人の距離はこれからもどんどんお近づいていくんだろう、というところで完結。かなしい。

2年後エプローグが読めたのは良かったけど、やっぱりちょっと駆け足感は否めなかったかな。宮膳さんの親とか出てくるかと思ったけど。


山田金鉄短編集 全軍奮闘! / 山田金鉄(講談社)

『あせとせっけん』の山田金鉄先生初の短編集。半分くらいがヤンキー(というかアウトローな主人公)もので先生の嗜好がよく伝わってきたけど、やっぱり『あせとせっけん』が真骨頂だなと感じた(それはまぁそう)。【テンカの花嫁】が好きでした。

『あせとせっけん』が2月からドラマ化ということでちょっと気になりますね。新連載『かさねと昴』も楽しみです。『あせとせっけん』よろしく「オフィスラブ×ちょっと変な性癖」もので期待しかない。


サクラ、サク。 3巻 / 咲坂伊緒(集英社)

琴乃のクソ元カレのせいでめちゃくちゃ面倒くさいことになっていて結構クソ展開だった。こんな奴実際いたら引くわな。一回全員で集まって話し合ったほうがいいよ、マジで(少女マンガに対する元も子もない感想)。

今後、中立ポジションの井竜くんが掻き乱していく流れっぽいけど、若干ヤな性格していて、読者としては素直に騒げないかも。三角関係の行方は気になる。


黄昏星のスイとネリ 2巻 完結 / 徳永パン(KADOKAWA)

荒廃した地球でのんびりと宿を営むスイとネリ。と、宇宙出発まで宿に泊まっている学生のシダ。みんなで銭湯に行ったり、お祭りに行ったり、今回も可愛かった。

「Q.面白い?→A.可愛い」を体現したようなマンガなので、万人にオススメはできないかもしれないけど、僕は好きです。シダとのお別れ描写がなかったのはちょっと良かった。連載お疲れ様でした。


いとなみいとなめず 6巻 / 水瀬マユ(双葉社)

幼馴染の梓月が今回も出しゃばってきていてかなり不快。彼女の行動原理が清への重い想いなのは理解できるけど、その結果が完全に澄に対する悪意でしかないから最後どう決着つけさすのか。清にビシッと言ってほしいところだけど…。ドギマギする澄は可愛かった。


フールナイト 3巻 / 安田佳澄(小学館)

ヨミコが襲われ、アイヴィー事件について躍起になるトーシロー。転花院と警察の対立関係や貧困者の実情、転花技術の是非、と色々暗くて生々しい。アイヴィーの謎が分かりかけたけど、まだ事件は終わっていない。


TUYOSHI 誰も勝てない、アイツには 1巻 / 丸山恭右(小学館)

美大受験4浪のコンビニバイト・川端強。最強の実力を持ちながらその素性は謎に包まれている彼の元には日々最強を求めし腕っぷしたちが勝負を持ちかけてきていた。しかし誰も勝てない、アイツには。

13巻も出ていて笑ったけど一体何をやっているんだ…


キミと越えて恋になる 1巻 / 柚樹ちひろ(集英社)

獣人が人間と共存するようになった社会。人間の通う高校に特待生として編入してきた獣人・飛高繋に出会った主人公・朝霞万理。繋の存在に最初は戸惑うも彼の優しく誠実な姿勢にしだいに惹かれていく。芯の強い繋は万理のニオイには抗えないようで、非常に、良い!!!!!(これ以上は何も言うまい。)繋のケモ度は5段階で言うところの「3.5」くらい、多分。


恋は世界征服のあとで 1巻 / 野田宏・若松卓宏(講談社)

ヒーロー戦隊「ジェラート5」のリーダー、レッドジェラートこと相川不動と悪の秘密結社「ゲッコー」の戦闘リーダー、死神王女こと禍原デス美の二人は相容れない組織の壁を越えて、こっそりと禁断の交際をしていた!戦闘中でもお構いなしにデートの相談をするような二人は周りにこのままバレなずにイチャイチャできるのか!?

実は福岡出身で都内の高校に通う女子高生で手芸部所属なデス美が可愛い。あとシンプルに「禍原デス美」という名前の語感が好き。


兄だったモノ / マツダミノル(コミックスマート)

死んだ兄の彼氏に恋をした。しかしその男性には今、「兄だったモノ」が取り憑いているーーー。

兄の悪霊の描写が明らかに怖くて出てくる度にゾッとする。次のページに出てこないか、ゆっくりスクロールして確かめながら読んでます(電子版)。

主人公の女子高生・鹿ノ子も、兄の彼氏の聖も、全員ちょっと狂っていて、なかなかに歪な愛の物語って感じだった。他の登場人物も謎がありそう。派手ではないけどしっかり怖くてじわりと面白いホラーマンガ。


明日ちゃんのセーラー服 1〜9巻 / 博(集英社)

『ゆめくり』で博先生を知って今作も2巻くらいまでは紙で買って読んでいたんだけど、引越しのタイミングとかで色々整理した際に手放してそのままになっていた。この1月から放送中のTVアニメの出来がとても良かったので、改めて紙で揃えて再読も含めて最新刊まで読んだ。で、途中で読まなくなってしまっていたことを後悔した。

田舎の名門女子中学校・蠟梅学園に入学した明日小路(あけびこみち)。セーラー服に憧れて母の母校に入学したものの、昔と違って制服はブレザーになっていた。そんな事実を吹き飛ばすほどパワフルで愛おしい小路を中心に、ゆっくりと、色鮮やかに流れる少女たちの青春。超オススメ。紙で読むと吉。

基本的に内容は全部眩しいんだけど、5巻での「夏休み・家族旅行」で一番それが顕著で危うく失明しかけた。そして6・7巻の「夏休み・東京旅行」でぽろぽろ泣いた。最新9巻の「お月見会・恋について」も大好き。やはり筋トレは全てを解決する。

マンガを読む際、通常は無音だけど、その作品が映像化されていればそのサウンドトラックや主題歌を、されていなければなんとなく雰囲気が合うやつを聴きながら読むことも結構ある。個人的にこの作品には『おおかみこどもの雨と雪』がベストでした。自然豊かでキラキラ輝いている雰囲気が似ているからかな、と思ったけどよく考えたら大抵のマンガに合いそうな気もする。放送中のTVアニメのサウンドトラックも早く聴きたい。

今月発売された博先生のイラスト集も、とてもとても良かったです。



雑記

という1月でした。今月は何と言っても『ハクメイとミコチ』の1冊に尽きますが、他にも色々と読めて豊作でした。

投稿タイトルはとりあえず『2022年○月の本棚』で行きたいと思います。それに伴って去年の分にも頭に「2021年」をこっそり付けました。変わり映えしないですが「本棚」という単語・存在そのものが好きなのでそこは外したくない気持ち…

あと小さな目標、というか決まりとして今年は【読んだその月中に投稿する(例:1月のものは1月中に投稿する)】と【「漫画」表記ではなく「マンガ」表記で統一する】も心がけたい。

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